二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.146 )
日時: 2011/04/17 13:21
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)

第12章 無色のセカイ


始まりは、無だった。
そのあとに、不思議。
疑問。
信頼。
大切。
それが『俺達』とあの人との関係。

『俺達』の世界は、はじめはずっと無色で何もなかった。
何の取り留めもない世界。
みずぼらしい世界。
終わっていた世界。
色のない毎日。
色のない感情。
色のない世界。
色のない『俺達』。
その全てにあの人は色を与えてくれた。
彩りを与えてくれたんだ。
全てに色を付けてくれた。
そこで、『俺達』ははじめて世界や、自分を見たんだ。
はじめて世界を美しいと思った。
『俺達』に名前を与えてくれた。
『俺達』に知識を与えてくれた。
『俺達』に希望を与えてくれた。
『俺達』にたくさんの物を与えてくれた。

『俺達』にいろいろなことを、教えてくれた。

ゴミ屑みたいな『俺達』を、必要としてくれたんだ。

うれしかった。
うれしくて、思い出すたびに顔がほころんでしまう。
捨てられたゴミを、リサイクルしてくれたんだ。
あの人は、『俺達』を見捨てないでくれた。
『俺達』に笑いかけてくれた。
感謝している、とっても。
形に表せないくらいの大きな感謝の気持ち。
宝箱にずっとずっとしまっているんだ。
でも、いつだって忘れていないんだ。
あの人への感謝の気持ち。
この宝箱だけは盗まれないようにしないと。
『俺達』とあの人の思い出がいっぱい詰まっているから…。

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.147 )
日時: 2011/04/18 18:05
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
参照: .http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode


出会いは、汚くて、暗い、ジメジメした空間だった。

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「た…び?…たびってなに?」

「いろいろな場所に行くこと。こことは違う場所に行くんだ」

「なーんで?」

「俺がそうしたいから」

「なん、で?」

「…旅するの好きだから」

「…なんでぇ?」

「…う…宇宙が好きだから」

「…うちゅー?」

「この空の向こうにあるんだよ」

「ふーん、へんなの」

「なにが?」

「なんでそらのむこうにも、せかいがあるの?」

「世界っていうか、世界の玄関みたいな感じじゃないのか?」

「…ふうん」

「いずれお前たちも見ることになるけどな、これからうぜーぐらい見ることになるけどな」

「…?」

「お前たち全員俺についてくるんだよ」

「?」

「さっき言っただろ。俺達はもう仲間だって」

「?」

「…なぜにそんな不思議そうな目するんだよ」

「なかまってなに?」

「一緒にいろいろな物事おこなうんだよ」

「…」

「…わからんか?」

「…」

「どうした?」

「きたなくないの…?」

「は?」

「あなた、は、きたなく、ないの?」

「お前たちのこと汚いなんて思わないよ。むしろすごいって思ってる」

「…すご…い?」

「よく生きててくれたなって」

「…」

「俺はさ、そういうの嫌いなんだよ。差別とか」

「…?」

「汚いなんて思わないよ。俺は、思わない」

「…はじめて」

「?」

「きたなくないーっていったんお、あなたが、はじめーて」

「…そうか」

「いろんな、ひと、きもちわるい、いらない、とかいってくる」

「…そういってくる奴の方がよっぽど汚い」

「…なんで?」

「いつかわかるよ」

「いつか?」

「そう」

「…あなたは、だから、たびをしてるの?」

「え?」

「きらいな、なかに、いたくないから…?」

「…そんな感じ」

「…」

「とにかく、お前たちは俺と一緒に旅するんだよ。宇宙のあちらこちらに、奥にいる奴も全員な」

「…」

「あ!てかお前らに名前あげないとな!いつまでもお前じゃあやだろ」

「なまえ?」

「名無しじゃやだろ」

「…に?」

「自分のことも呼べないんじゃ不便だろ」

「もの」

「?」

「あたらしい、もの、くれるの、か」

「…お前らにはたくさんの物やるよ。物無しじゃあなくしてやる」

「…」

「ほい。そこに整列。順々に名前つけてやるよ」

「…」

「ん?なんだ?」

「ーのこと、すてない?みすてない?」

「当たり前だろ」

「ずっとぉ?ずっといっしょ?ぜんいんーいっしょ?」

「そうだ。ずっと一緒だ。俺達はもう仲間だからな」


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名前を物だと思っていた『俺達』を見てどう思ったのだろうか。

どうしてあの人は、ゴミ屑のように汚い『俺達』を助けてくれたのだろうか。
あの人は、一人でも旅ができたはずだ。
なぜなのだろうか。
でも、一緒に旅をするんだと言ってくれなければ、きっと今頃、ボロボロになって死んでいただろう。

助けてくれて本当にうれしかった。
救ってくれて本当にうれしかった。
必要としてくれて本当にうれしかった。

あの人は、『俺達』をずっと守ってくれていた。
『俺達』のために、ずっと戦ってくれていた。
あの人は、とっても強かった。
だけれどもあの人は、戦いを嫌っていた。
誰かが傷つくことを嫌っていた。
でも、『俺達』に戦い方を教えてくれた。
生きるためには仕方がないと。
悲しそうに言っていた。
戦うことは、本当に困ったときだけじゃないとつかってはいけないと言っていた。
それ以外のピンチは知識を使え、と。
策を練って実行しろと。

あの人とは、ずっとずっと旅をしていた。
いろいろなお宝求め、いろいろな星を見てまわった。
『    』として名をはぜたけれども、対して意識などはしていなかった。
『    』という名前は、仲間の証であり、友達の証であり、兄弟の証であり、家族の証だった。

あの人は、ずっと『俺達』のために戦っていてくれた。
だけれども、あの人は今、自分の求めるもののために戦っている。
あの人は焦っていた。
それが災いして、危険な策しか実行できなかった。
『俺達』に極限戦うなと言ってきた。
それほどに、あの人が欲しいものは、危険な物なのだろうと錯覚した。
だからこそ、『俺達』も戦おうと思う。
あの人のために。

あの人は戦っている。
今も戦っている。


大切だったんだ。
『    』という存在がとっても。
大切すぎたんだ。






そして、…。




















Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.148 )
日時: 2011/04/18 19:52
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
参照: .http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

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雷神を思わせるような迫力の掌。
ほどばしられる閃光のような電撃。
目を疑うほどのスピード。
あれに当たったら間違いなく勝負がついてしまう。

星の戦士。

なんでそんな必死な表情で、叫ぶように拳を振るっているのか。

でも、あの攻撃は、よけられない。
避けることの不可能の一撃必殺。
これが戦士の切り札か。
痛感している場合ではない。

『やばい、これはまずい』

当たったら確実に、決着がついてしまう。
ダメだ。
それはいけない。
そうしたら。
秘宝が。
秘宝が手に入らない。
それよりも。
仲間。
仲間が。

ごめん。

俺の、弱さが招いたことだ、これは。
プププランドの戦士たちにはさすがにかなわなかった。
今思うに、なんかすっごいバカなことした気がする。

ごめん。

この勝負は、間違いなく俺の負けだ。
なぜなら、もう体が限界だ。
フルスロットルでやって終了。
動けない。
やっぱり仮面の騎士との戦いと、自称大王の戦いでかなりこたえた。
しかも、そのあとに星の戦士となると、もう無理だ。
あきらめたくはなかった。
ちょっとばかし、意識も吹っ飛ぶくらいにバトったけど、ダメだった。

ちくしょう。

どうして。
どうして守れないのだろう。
あいつらを守るために、ここの秘宝を求めた命はったのに、仲間まで怪我させてしまった。

結局は、失敗だった。

まさか、ここまでだったとは。
言い訳するつもりではないが、プププランドの戦士がここまで強いなんて。
油断はしていない。
でも、もう終わる。

即座の防御指令も全て無に帰す。
星の戦士の拳は、どうにも防げない。
策を練っても。
くぐりこんでくる。
守りを張っても。
突き破ってくる。

星の戦士たちの守りたいものを、俺達は危険にさらした。
その代償なのか。

なぜだろう。
力が欲しかったのに。
あいつらを守れる、力が欲しかったのに。
どうして、こんなところで終わってしまうのだろうか。
遺跡に秘宝があるとわかっていたのに。
それすら届かなかった。

俺の望みは、何も果たせなかった。

…お互い辛い命運だよなぁ、星の戦士。
でも、勝者は、お前だ。

…お前の大切な仲間たちを、危険なめに合わせて悪かった。

秘宝のためなら、何があろうとかまわなかったんだ。
なんて悪だ。
一介の盗賊団が、こんなふうに思っちゃいけなかったんだ。
…秘宝が欲しかったのは本当だけど。

はははははははは。
ちくしょう。

星の戦士。
お前の心は、結構気に入った。


スピン。
いいかげん『オイラ』っていうのやめとけよ。
男だと勘違いされまくりだぞお前。

ストロン。
飯食いすぎ。
今以上に太るぞ。

ドク。
最初に会ったとき、子供だと勘違いして悪かった。
お前はじいさんだったな。

チューリンたち。
数がずいぶん増えたな。
まあ、仲良くやっていてくれ。





皆。


悪かったな。


今回は、俺のわがままに振り回されて。


いや、今回だけじゃないな。


ずっとだったな。


でも。



俺はお前たちに会えてよかったぞ。




『ドロッチェ団』として旅できて。




本当に、よかった。





俺の力不足があだになったな。





お前らはがんばって戦ってくれたのに。



ごめんな。





腹部に衝撃がはしる。




自分の声とは思えないくらいの、くぐもった声がのどからもれる。



激しい衝撃と、痺れるような圧力。



耐えられず、暗転していく意識。



暗くなっていく視界。




…力。




力が欲しい。





大切なものを守れる力が。




ずっと守れる力が。





























『ソノ望ミ、カナエテヤロウカ?』







暗黒の声が聞こえた。