二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.18 )
日時: 2011/03/25 17:24
名前: 月兎 (ID: A2bmpvWQ)

「どうしてわしのことさそってくれなかったぞいか!?」

迷惑大王…デデデ大王の第一声はそれだった。
扉もノックせず、レンの家に勝手にはいってきたのだ。

「へ…陛下…今はそれを言っている場合では…」

「黙れっ!わしの言葉を遮るでないぞい!」

デデデは自分の側近である、エスカルゴンにものすごい形相でどなりつける。

その間住民たちは、「一体何がおこっているんだという」表情で見ている。
トッコリもフームも、ポカンとした表情を浮かべている。
カービィは、自分のランチタイムに没頭しているのか、気づいている様子すらない。

「こ…これはこれは陛下とエスカルゴン殿…」

「レン!どうしてわしをこの昼食会に誘ってくれなかったぞいか!?」

デデデは、恐ろしい表情を浮かべ、レンに詰め寄る。
レンは、おびえながらも必死にデデデをなだめようとする。
今にもデデデがハンマーを振り回さんとしているからだ。
家を壊されたらたまらない。

「は…半年前に陛下を誘ったとき、『愚かな人民達とは一緒に飯を食いたくないと』言ったからで…」

「そんなこと知らんぞい!知らんぞい!知らんぞい!」

デデデは、駄々をこねた子供のように、地団駄を踏む。
それだけでも、家がミシミシと音をたてる。

「おい!デデデにエスカルゴン!なにしに来たんだよ!せっかく楽しく
やってたのに!」

しびれを切らしたのか、ブンがデデデたちに向かって叫ぶ。

「あ!そうだ!言わないと!」

エスカルゴンは何かを思い出したようだった。
それを口に出そうとしたが、できなかった。

「わしは飯を食いに来たんだぞーーーーーーーーい!!」

という、デデデの怒鳴り声にかき消されてしまったからだ。

「ちょっ!陛下!違いますよ!ていうかさっき昼食はとりましたゲスよ
!」

「うるさーい!わしはここで飯を食べるんだぞい!」

「ああ!もう!うっさいなあ!重要なことなんだから話させろよ!たっくもう!」

エスカルゴンは暴れるデデデを取り押さえる。
それはどこからどう見ても、変な人にしか見えない。
住民たちがそれをうるさそうに眺めていたその時。

「カービィ!」

外からカービィを呼ぶ声が聞こえた。

「ん?」

やっと食事にひと段落ついたのか、カービィはその声に反応する。

「あ、メタナイト!どうしたの?」

メタナイト卿は、外でデデデの車に乗っていた。
どうやら待っていたみたいだ。

「なんか珍しいね。メタナイトがデデデの車に乗ってるなんて」

「無駄話はあとだ。早く乗れ。重要なことなんだ」

「はーい」

カービィは、窓を開けて、外に飛び出す。

「陛下!エスカルゴン殿!我々は遊びに来たわけではないんですよ」

メタナイトは、ほとんど漫才状態の二人を呼びつける。

「ふう…メタナイトがついてきてくれて助かったでゲスよ…」

エスカルゴンは、駄々をこねるデデデを強引に引きずって、車に乗り込もうとする。

「メタナイト卿!なにかあったの!?」

フームは外に飛び出す。

「すまないが…今一言で言えるようなものではない」

メタナイトは、カービィを車に乗せる。

「私も行く!」

フームは、カービィの隣に乗り込む。

「お!おい!フーム!」

トッコリも、車に乗り込む。

「姉ちゃん!」

「ブン!あんたは待ってなさい!」

外に飛び出さんとしていたブンを、フームは止める。

「ああ!もう!こんなに乗っちゃって!」

エスカルゴンは呆れたように言う。
そしてエンジンをかける。
ほどなくして、騒々しいエンジン音が鳴り響き、その音とともに、車が
プププランドのメインストリートを走って行った。

住民たちは、ポカンとし、「今、何がおこったんだ」と、クエスチョンマークを浮かべていた。

ブンは
「姉ちゃんだけずるいよ!」
と、悔しそうにすねていた。




住民たちは、あとわずかで起こる危機のことに、誰も知る由もなかったのである。

この平和が・・・。