二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照600突破★  ( No.213 )
日時: 2011/05/04 20:03
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)


「よぅ…し!!」

スゥゥ…と、空気を吸い込み、カービィはガッツポーズする。

ダークゼロは、かなり下まで落下し、フラフラと、なんとか体制を取り戻しているのが確認できる。

「あんた…そんなことできたのかよ…いったいどんな口してんだよ…」

「あり?ボクの能力知らないの?」

「コピー能力のことなら知っていたが、まさか吸い込みでコピーするとは…予想外だった…」

誰であったとしても、あんなに大量にあった氷柱を一瞬で口に収めて、しかもそれを全て融合させて個体を生み出せば(いわば、コピー能力星をつくる)誰だって驚くだろう。
現に、カービィの後ろにいる盗賊は、驚いている。

「!」

「ユルサン!ユルサンユルサン!ヨクモヨクモ!ヨクモオレヲ傷ツケルナンテ!!アッテハナラン!!!ナラアアアアアンン!!!」

バチ!バチチチチ!!

ダークゼロの体が、電気を帯びている。
それも、高圧な。

「シネエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

空気がショートする。
雷が、地面から槍のように放出される。
串刺しになったら、常人なら即絶命だろう。

「っ!」

ガッ!!

鈍い音が、焦げ臭い匂いと一緒になって聞こえる。

ワープスターの角に、槍が当たったのだ。
ジュウウ…と、ワープスターの焼き焦げる音が、耳障りな音で感じる。

そこを狙っていたのか、ダークゼロは、さらに槍を投擲する。
バランスを崩して、傾いたワープスターに、またも攻撃が加えられる。

「ワープスター!!頑張って!!」

カービィの気合の声に反応したのか、黄金の光を散らし、槍の攻撃を防ぐ。
光が防御壁の役割をしているのだ。

「だぁ!!」

ドロッチェも、トリプルスターを使って、槍を防ぐ。
カービィもドロッチェも少なからず、雷の影響を受けたが、気にしてはいられない。

「ええい!!」「ビリビリ鬱陶しいんだよ!!」

バン!

サラサラした砂のような形状に、槍は粉砕された。

ワープスターの上で、カービィとドロッチェが、素早く攻撃態勢を構えている。
かかってこいと言っているかのように。

「ナゼダ…!ナゼダナゼダ!計画ハ完璧ダッタハズダ!コイツラヲ殺シテ!遺跡ノ秘宝ヲ奪ッテ!コノ星ノ住民ヲ皆殺シニスルハズダッタノニ
!!ナゼダ!ドウシテ狂ッタ!!一族ノ最強ランクデアルオレガ!!!
ナゼダ!!ナゼダアアアアアアアアアアア!!!!」

ダークゼロが、黄金の光に包まれた空を見上げて、絶叫する。
狂ったように、叫ぶ。

「…モウヨイ…モウイイ…」

落胆したように、つぶやく。
その刹那、ダークゼロは、目をカッと見開く。
目の色は、さっきまでピンクに近い色だったのが、体と同じ、暗黒色に染まっていた。

「!?」

その変化に、カービィたちは驚く。
なにか、嫌な予感がする。

「モウヨイ…計画ナド…モウゴミモ同然…」

見開いた目に、ゆっくりとコアが作られていく。
何か、すごくでかいものを一発撃とうとしているのか…。
ゴゴゴゴゴ…!と、怖気のはしる音が、響く。
それも、どんどん大きくなっていく。
コアも、音も。

「計画ハ、モウ破棄ダ…秘宝モ…モウイラナイ…コノ星ゴト破壊シテヤル!!!!」

「な!?」

ダークゼロは、秘宝を手に入れるために、ポップスターの破壊はしなかった。
しかし、秘宝をあきらめたら、ポップスターは破壊しても全然良いものとなる。
ダークマター一族は、星破壊を生業としているのだから、ポップスターも破壊できてしまう!

「ふざけるな!!」

「ギャハハ!モウ秘宝ナドハイラン。オマエタチヲブッ殺セレバイイ!
マモナクコノコアカラ破壊ノ一撃ヲ発射スル!ソウシタラオマエタチモコノ星ノ住民モ!コノ星スラ!宇宙ノ藻屑ダ!!!」

ダークゼロは、実に愉快そうに、冷酷な宣告を言い放つ。
コアは徐々に大きくなっていく。
まるでブラックホールだ。

「ドロッチェ!ワープスター!止めに行こう!」

「オット、無駄ダ!コノコアヲ中心トシタダークエネルギーノ吸収ニヨッテウカツニ近ズイタオマエタチノカラダガバラバラニナルゾ!ギャハハ!!」

「なんだって…!?」

氷水をかけられたように、戦慄する。

「ギャハハ!楽ニ死ニタキャソコニイナ!モットモ!楽ニ死ナセルキナドサラサラナイケドナァ!!!」

そんな間にも、コアはどんどん大きくなっていく。
コアのまわりは、時空を歪められたのか、景色がウネウネと揺らめいている。
あそこに行くと…体がバラバラになる…。
でも…このままでは…!

「ドロッチェ…」

「なんだ…」

「この星と、この星の生命全てに、命を賭けられる?」

「一味がいる。賭けられる。どちらにしても、この星には迷惑かけちまったから」

「…もしかしたら…本当に死んじゃうかもしれないけど…」

「もともと、俺は死んでてもおかしくないものだ」

「…あのコアを、ボクはどうしても止めないといけないんだ」

「俺もだ」

「…ワープスターで、コアまで高速でいく」

「歪んだ時空につぶされないためにだろ?」

「うん」

「じゃあとっとと行こうぜ」

「成功するかはわからないよ…!」

「じゃあ成功させろ」

「うん!!」






ワープスターが、フルスロットルで発進される。

ワープスターは、歪んだ空間にとびこんでいく。

ワープスターは、音速を超える。


Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照600突破★  ( No.214 )
日時: 2011/05/04 20:19
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)



ねえ。

ねえカービィ。

君にはたくさんの仲間がいるのサ。

君のことを信じている仲間。

君のことを愛している仲間。

君は仲間に恵まれているのサ。

君も仲間を信じて愛しているんだろう?

宝箱の中の宝物以上に。

だからこそ、仲間を失ったら、君はショックでパンクするのサ。

誰1人として、かけてほしくないんだろ?

だったら、守らないと。

だったら仲間を、ちゃんと守らないと。

ぼくは誰であろうと、問答無用で無差別に殺す化け物なんだよ?

君はぼくを倒さないと。

仲間を守らないと。

ほら、君はぼくを殺さないといけないのサ。

ぼくみたいな存在がいるから、仲間が消えていっちゃうんだよ?

皆皆、殺されるんだよ?

ぼくに殺戮されるんだよ?

殺さないの?

どうして?

なら、ぼくが君の仲間を殺しちゃうよ?

どうするの?

ねえ。

どうするの?























マルク。

ボクは。

それでも君を殺したくない、なんて言ったらどんな顔するんだろう。

半年前の記憶。

よみがえってくる記憶。

こんな状況だからこそ、よみがえってくるのかな?

わからない。






マルク。

ぼくは。

仲間を守るよ。

でも、できれば誰も殺したくないんだ。

誰の命も、奪いたくないんだ。

こんなこと言ったら、『なんて馬鹿なこと言ってるのサ!』て笑われちゃうね。

でもね。

ボクはこれでいいんだ。

























誰も傷つけたくない。










皆を守りたい。













それは不可能かもしれないけど。






少しでも







可能になってほしいな。










皆を、愛しているから。








ポップスターの皆も。







今までかかわった人すべて。






もちろんマルクもだよ。





















━━━━━━━━━━いってきます。

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照600突破★  ( No.215 )
日時: 2011/05/04 21:02
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)


「があああああああああああああああああああああああああ!!!」

2人ぶんの方向が、〝歪んだ空間〟に響き渡る。

「!?ナニィ!?バババ馬鹿ナ!!コ、コアノ周辺ヲコエテクルナンテ
…!!?」

ここは、ダークゼロのコアが生み出した、歪んだ空間。
じきに、ここから星1つ消滅させる一撃が放たれる。

「やった!!!こえられた!!」

「趣味の悪い空間だ…!」

音速をこえたワープスターは、人体をバラバラにするほどの圧力のかかった空間を、何とかこえたのだ。

「コアは破壊する!!!」

ワープスターは、コアに向かって突っ込む。

「ム!無駄ダ!ココココアニハ厳重ナ防御ガ…!?」

ガガガガガガガガガガガガガ!!!!

防御壁すらぶち破ろうと、ワープスターがドリルのように、食い込んでいく。

「ククククククソ!!クラエ!!」

ダークゼロは、さきほどの雷を放つ。
バチリ!バチッ!と、空間に走る。

「この!!」

ドロッチェがすかさず、トリプルスターで防ごうとするが、電気はトリプルスターにすら通電した。

「ぐ!!うううううううううううううう!!!」

体中が焼けていく感覚。
すさまじい痛みを、ドロッチェはこらえていた。

「ドロッチェ!!!」

「早く!コア…を…!!なんとか…しろぉ!!」

カービィに電流がとばないように、ドロッチェが身を挺しているのだ。

「ワープスター!!!」

今コアを破壊すれば!

「サセナイゾ!!」

ダークゼロが、正面きって、ワープスターにぶつかる。
激しい衝撃で、ワープスターがグラリと揺れる。

「ら…あああああああああああああああああああああ!!!」

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

光と闇のぶつかり合いになっていく。
あまりにも巨大な戦闘音。
あまりにも圧倒的なオーラ。
摩擦で火花が、尋常じゃないほどにあふれている。


ダークゼロとワープスターのぶつかり合い。
それでさえ、空間が歪む。
コアすら、歪む。

「ワープスタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「シネエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

ダークゼロとカービィの、のどがつぶれる勢いの咆哮。
大地を、揺るがす。

「…!」

ようやく痺れから解放されたドロッチェは、薄らいでいく意識で、とんでもないことに気がついた。

カービィがおされている。

わずかだが、ダークゼロの勢いの方が強い。

このままでは…!

思わず、血がにじんでいる左手を見る。

トリプルスター。

旅をしている最中に、見つけた武器。

自分の愛杖。

これでなら…!


「くうううううううううううううううううう!!!」

カービィ自身も、おされているということがわかっていた。
このままではもたない!
このままでは…!

「カービィ!!」

ドロッチェが、カービィの名を呼んだ。

「これを!!!」

シュっと、何かがカービィに向かって投げられた。

トリプルスター。

弧をえがいて、とんでくる。

カービィは、突発的な判断で、トリプルスターを吸い込んだ。

そして、コピーした。

「トリプルスター!!!」

トリプルスターカービィ。
右手に、トリプルスターを持ち、体の周囲には、3つの星が、カービィを守護するように、浮いている。
金色の光が、爆発的に増えていく。

これでなら!

これでならいける!!!

「…ッ!!??」

ダークゼロは、直感した。

勝てない、と。

ここで、終わりだ、と。

だけど、ダークゼロもまた違った意味で、あきらめなかった。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

渾身の勢いで突進してきた。
これで最後だと、行動で語るように。

突進してくる。
なぜか、カービィには、すごくスローモーションに感じる。

とっても、スローモーションに。



☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡


がんばって!

がんばってカービィ!!

信じてる!

あなたならこの星を!皆を救えるって!

負けないで!!

カービィ!!!

☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡

皆の思いが、伝わってくる。
涙が、ポロポロとこぼれていく。
それすらゆっくりに思える。

皆が、ボクを信じていてくれる。
今だって、ドロッチェがボクを信じて、トリプルスターを渡してくれたんだ。
皆が、信じて祈っていてくれてる。

ボクを、信じてくれている!!



「トドメダアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


守るんだ!

皆を!

星を!

全てを!

守るんだ!!



「だらああああああああああああああああああああああああ!!!」






トリプルスターが、全ての力を込めて、振り落される。

その攻撃は、コアに直撃した。

一瞬の、静寂。

そして、大爆発したような、轟音。

全てが、真っ白に染まる。

音を音として、とらえられない。

耳がぽっかり、無くなってしまったような錯覚。

ダークゼロが、広がっていく真っ白な世界で、悲鳴をあげて消滅していく。

ワープスターが、真っ白な世界にのまれていく。

ドロッチェも、のまれていく。

自分も、のまれていく。




真っ白な世界に。















そして、何も聞こえなくなって。











何もわからなくなった。













「ボクは…まもれた…かな…ぁ…?」









不思議と、悲しくなかった。