二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照700突破★ 完結間近!!  ( No.239 )
日時: 2011/05/08 20:02
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)


突然空気が変わった。
さっきまで、マイナスイオンの滝のそばにいるような感じだったのに、急に清潔な薬品の匂いに変化した。

あいにく、この病院臭い匂いは嫌いだ。

なんとなく、死んだような気分になるから。

だからと言って死んだことはない、はず。

ここはどこだろうか。

俺の意識は、ぼんやりとしている。
霧がたちこめているようなような意識。
そんな危なっかしい意識の中、動いているのかわからない脳を、なんとか使用している。

目の前が真っ暗。
というか、ただたんに目を閉じているだけだろう。
がんばれば、起きれそうだ。

よかった、まだ死んでいなかった。
あのマルクとかいうやつが言った通りに、ちゃんと戻れたようだ。

ゆっくりとだが、体の感覚がわかるようになっていく。
痛みはない。
麻痺しているのだろうか。
それとも、体のどこかが犠牲になったのだろうか。
まあ、しかたがない。
もともとの失態は、俺だったんだから。
…右腕だったらちょっとショックだ。

…?

泣き声が聞こえる。
小さくて、今にも消えてしまいそうな声。
随分泣いたのか、声がかすれている。

聞き覚えのある声。

あぁ、あいつだ。

あいつは、強がっててもかなり泣き虫だからな。

ごめんな。

あいつの涙は、俺のせいで流されているのだから。


☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡


「おいしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

カービィは、小さくて丸い体にこれでもかというほどに、包帯やシップなどが施されている。
見たところかなりの重傷者だが、今の状況でそんなことは信じられないだろう。

なぜなら、カービィは常人…否、超人でもありえないほどの量の料理を、機械のようにどんどん口の中に収めているのだから。

「カ、カービィ…お前よくそんなの食べれるなぁ…」

「ホント…こんなに小さな体なのに…まあ、いつものことだけどね」

「オイラ…見てるだけで胃がもたれるぜ…」

ブンにフーム、そしてトッコリ。
その他にも、アドレーヌやリボンやメタナイト卿、カワサキなどの住民たち、珍しくデデデ大王にエスカルゴンなど、プププランドに住むほぼ全員が、壁があらあらしく破壊され、外が完全に丸見え状態のレン村長の家で、食事会を行っていた。

決戦から4日たった後のことだった。

あのあと、ダークゼロは消滅し、ボロボロになって倒れていたカービィとドロッチェは、メタナイトによって無事に救出された。
奇跡的に一命を取り留めることができたのだ。
今日になってやっとカービィは意識を取り戻し、重傷なのにも構わず、空っぽの胃袋を今現在満たしているところである。
やはり、カービィの元気の源は、食事であることが強く印象づけられるだろう。
さっきまで生気を感じなかった表情が、みるみる明るくなっていく。

ガツガツムシャムシャムシャバクバクバク━━━━━━━…

アニメの効果音でしか使わないような音が、あたりまえのように聞こえてくる。

「おかわりいいいいいいい!!ハナ!おかわり!早くぅ!」

皿の上に盛られた料理を、一気に流すように口に収め、まだ飲みきってもいないのに、ハナにおかわりをせかす。

「はいはい、ちょっと待って。あらら…あんなに作ったのに…もうほとんどなくなってきたわ…また作らないとね」

「僕手伝うよ〜♪」

「カワサキは作らなくていいの!何度も繰り返し言うけど!」

「え〜?いつも思うけどさ、どうして僕は作っちゃいけないの?」

「それはお前の料理が、ま…ムグッ!」

「ストップ!タンマ!ガング!言っちゃ駄目!!」

『まずいから』と、思わず言ってしまいそうになったガングの口を、アドレーヌが急いで手で塞ぐ。

「アドー!正直に言ってやってもいいんじゃないのかー?」

「ガス!今言ったらこの家がさらに破壊されるわよ!」

「ええ!?それはやめておくれえええ!これ以上わしの家を壊さないでおくれええええ!!」

「「それにしてもひどい状態になっちゃたよね」」

「なんでゲスか?ロロロ、ラララ。まさかこんなふうに壁を突き破った私が悪いって言いたいのゲスか?」

「「ええ?そ、そんなことは断じて言ってないですよ!」」

「…どうせならもっときれいに突き破ってほしかった…」

「できれば静かに…わしゃ心臓が止まりかけたぞ…医者が死にかけたんだぞ」

「お前たちうるさいでゲス!!しかたないじゃないでゲスか!!わざわざ助けにきてやったのに!」

「エースカールゴーン♪どうしてわしの車があんなにも破損しているんだぞい?」

「ギクッ!そそそそれは…!!」

「だいたいどうしてわしの許可なく使っているんだぞい…?」

「だだだだってそれは…!勝手に…しかもこんなことに使うなんて言ったら…大王様絶対に貸してくれないゲスから…黙って…」

「エスカルゴオオオオオン!!!ちゃんと弁償するぞおおおい!!」

「ひええええええ!!!おおおおおおお助けをおおおおお!」

デデデは、愛車を破損された怒りに顔を真っ赤にさせ、逃げ回るエスカルゴンをハンマーを振り回して追いかける。
そして、外のメインストリートを悲鳴と怒声のハーモニーに包ませてしまう。

そんなほのぼの(?)とした光景に、一同は楽しそうに笑う。
一同の体には、誰しも少なからず治療された跡が残っている。
皆が一丸となって戦った跡だ。