二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照700突破★ 完結間近!! ( No.242 )
- 日時: 2011/05/08 20:40
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
怪我は軽いものもいれば、重いものもいる。
もとの平和な日常に戻って、皆安心していた。
しかし、まだ不安は抜けきれていない者もいる。
「はいカービィ。おかわりよ」
ハナのおいしい手料理が、どっさりとカービィの目の前に置かれる。
「わああい!いっただきまあああす!!」
すでにカービィに巻かれた包帯は、ソースや飛び散った具などで、悲惨なことになっている。
しかし、そんなことすら知らないのか、カービィはむしゃむしゃと、両手に装備されたフォークを、カチャカチャと音をたてながら動かしている。
「コラ!カービィ!行儀悪いわよ!もっときれいにたべなさい!」
「無駄だよ姉ちゃん…今のカービィには何を言っても通用しないよ」
フームの言葉は、前進系を食事に使っているカービィには、全くとどく様子を見せない。
マナーなんていう言葉は、カービィの世界から消滅された。
食べ終わった料理のサラが、山のように積みあがっていく。
「危ないですよー…」
「しかたがない…リボンちゃん…一緒に片づけよう…やれやれ」
その山を削るように、リボンとアドレーヌが処理にかかる。
しかし、処理は間に合わない。
どんどん山は大きくなっていく。
「もうじき天井までいくぞ!」
「ありゃりゃ…これじゃあ違う意味で家が壊れてしまうわね…」
「そんなあああ!!」
「あなた…いっそのこと改築しませんか?」
一同の楽しそうな笑い声や、はしゃぎ声が家に響く。
幸せな、時間。
「カービィ」
メタナイトが、明るい部屋の中でただ1人、冷静に話しかける。
「んー?なああにいい?」
口の中に、大量の料理を含みながら、カービィは返事をする。
「ドロッチェ団のことなんだが…」
ピクッ。
その言葉で、カービィの体が一瞬にしてこわばった。
それにつられてか、騒がしかった部屋も、一瞬で静まり返る。
「奴らのことは、これからどうするんだ?」
そう。
それだ。
そのことだ。
あれから、ドロッチェ団は城の医療室で治療された。
ドクやストロンなどは、その場で事情聴取された。
スピンは重傷で、1昨日前にようやく意識を取り戻した。
しかし、ドロッチェは、この戦いで最も重傷で、あと少しでも治療が遅ければ取り返しのつかないことになっていたのだ。
いまだに、ドロッチェは意識を戻さない。
体の傷、なによりもダークゼロに乗っ取られ、暗黒物質の影響を受けてしまったことが大きいらしい。
団長がこんな状態では、プププランドから動けない。
今もずっと、城の医療室に、一味は閉じこもっている。
プププランドがこんなことになってしまったはじまりは、どう言うにも
やはり、ドロッチェ団による行動からだ。
ドロッチェ団のせいではないとは、言いきれない。
破壊された土地は、見違えるような速さで再生されていく。
これも秘宝の力なのだろうか。
4日たった今で、もうほとんど直っている。
だからと言って、秘宝を奪おうとしたドロッチェ団の罪が消えるわけではない。
しかし、最後まで戦ったのはドロッチェ団だ。
プププランドのために戦ってくれた。
己の過ちに、気づくことができたのだ。
だからこそ、ドロッチェはあんなにも傷を負っている。
皆の気持ちは、複雑だった。
一度は秘宝を奪おうとした身。
それがプププランドの崩壊につながることは知らなかったにしても。
盗もうとしたという事実は変わらない。
しかし、ポップスターのために、戦ってくれた。
ボロボロになるまで、戦ってくれた。
これはどうしたらいいのだ、と。
攻めようにも攻めれない状況。
皆はこの4日間、複雑な思いで過ごしてきたのだ。
悪かったのはダークゼロ。
だけど、ドロッチェ団は…。
「奴らのことは、どうするのだ」
メタナイトの唐突なその言葉。
カービィは、食事の手を止める。
カチャンと、フォークが机におかれる。
「カービィ…」
シップをそこらじゅうに貼られたアドレーヌ。
包帯を巻かれたメタナイト。
細かい傷だらけのリボン。
いつの間にか戻ってきた、シップだらけのデデデ。
少なからず怪我をした、住民たち。
許すのか、許さないのか。
メタナイトが聞きたいのは、きっとそれだろう。
皆がカービィの答えを待っている。
「…ボクは…」
「ボクは『 』よ」