二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ☆参照800突破★ 完結間近!!  ( No.259 )
日時: 2011/05/10 15:31
名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)

終章  本当に大切で見えないもの



広大な宇宙のどこかに、ポップスターという星があります。
その星のまたどこかに、プププランドという国があります。
プププランドはとても平和な国…というわけでもなく、ごくまれにかなり重大な問題や、騒ぎが起こったりします。
それでも、プププランドは幸せな日常をおくれています。

プププランドには、とても大切な秘宝があります。
『運命の車輪』という名の秘宝です。
その秘宝は、プププランド、ポップスター全体の運命を守る強大な力を持っています。
車輪があるから国は栄え。
車輪があるから、人々は平和に暮らせるのです。
『運命の車輪』は、人々を愛する人々の思いで力を発動させています。
遠い美しい泉を守る、スターロッドのように…。

『運命の車輪』は、プププランドの奥深き谷に存在する生ある遺跡、カブーによって守られています。
カブーは心臓の門番です。
車輪の存在は、カブー以外は誰も知っていませんでした。

前までは。

今は、プププランド全ての人が、その存在を知っています。

全ての人々が、秘宝に感謝しています。

プププランドの人々は、永遠に車輪のことを忘れないでしょう。

ずっとずっと…。

語り継がれていくでしょう…。

でも、もしも秘宝の力を狙う者が現れたら?

その時は、絶対に星の戦士が守ってくれるでしょう。

平和のために

仲間のために…。



☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡


雲一つない蒼天の青空。
太陽がまぶしく人々を照らしている。

はるか上空に、ゴツゴツした機体…宇宙船が、遠い宇宙に旅立っていきます。

それを、カービィたちは見送っていました。
あれに乗っているのはドロッチェ団。
ポップスターの数奇な運命をともにした、カービィたちの仲間。

「ドロッチェたちまたきてくれるかな?」

「さあ…どうでしょうね」

空にきらめく太陽にも負けない笑顔を、カービィは惜しげもせずに見せていた。
そんなカービィをうれしそうに見ている、フーム。

ドロッチェ団は、カービィの友達。
カービィの友達は、プププランド皆の仲間。
ドロッチェ団は、プププランドの皆に受け入れられたのだ。
少々恥ずかしかったのか、ドロッチェ団はずっと顔を赤らめていたが、内心ではとてもうれしかったのだろう。
しかし、まだ怪我は完治していないのに、ドロッチェ団はすぐに旅にでてしまった。
無茶にもほどがあるが、それが奴らのスタイルなのだろう。

カービィは、「また来てね」と一言言った。

ドロッチェは、「…暇だったら」と一言返答した。

それだけで十分だった。
きっとまたきてくれるだろう。
今度は敵ではなく、仲間として。

「しかし…今回は厄介な決戦だったな」

仮面の騎士が、肉眼では点のようにしか捉えることのできない、宇宙船をじっと見ていた。

「メタナイト。あいつ、強かった?」

「ああ。今まであった中で、トップ3にははいる」

「ふぅん」

「でも1位はボクでしょ?」

カービィの言葉に、黙るメタナイト。
楽しそうに笑うブン。
周りにいる住民たちも、声をそろえて笑う。

ザァッ…

プププ平原の草木が、風に揺れる。
再び平和が戻ってきたのだ。

宇宙船は、もう見えなくなっていた。
一同は、しばらくそれを見届け、「さあ!今夜はパーティだ!」と、住宅街にわさわさ戻っていく。

カービィたちも、戻ろうとするが…。

「おいカービィ?戻らねえのか?」

「トッコリたちは先に言ってて!」

「早くこいよ!したくするんだからな!」

その場にカービィだけを残して、誰もいなくなった。




「…ねえ、ブロンテ」

運命の車輪の名を呼ぶ。

「ありがとう…」

憎ったらしいほど、美しい青空を、カービィは見上げる。

「本当にありがとう…君のことは絶対に、忘れないよ…」

返事はない。
でも、この気持ちはちゃんと伝えたい。
助けてくれた秘宝に…。





「ボクと君は、もう仲間だよ!!ずっとずっと友達だよ!!」





やまびこのように、カービィの声が、響く。









返事はない。



そのかわりに、どこからともなく不思議な音が、返答のように、響いてくる。





鈴が歌うような音。






ロンロンロン━━━━━━━━━━━━ン





長く、永遠のように長く、水面の波紋のように。

美しく優しく、響いていく。














『本当に大切なものは見えないんだよ』



『なぜだと思う?』



『それはね…』



『大切なものほど、自分ではわからないんだ』



『だからこそね…』



『よりいっそう…愛しく思えるんだよ…』



ボクたちはずっと、ずっと、友達だよ。









                  おしまい