二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.4 )
日時: 2011/03/22 17:28
名前: 月兎 (ID: A2bmpvWQ)

第1章  はじまる桃色



ここはプププランド。
あきれかえるほど平和な国・・・。

「カーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーービイイイイ!」

少女の甲高い声が、プププ高原の広い大地にサイレンのように響き渡る


「はははははははーい♪なあに?フーム?(汗)」

カービィと呼ばれた、かわいらしい桃色の丸い球体の生物は、フームと呼んだ亜麻色の髪の少女に、冷や汗を浮かべながら返事をした。

「カービィ・・・あなた、私の作ったクッキー食べたでしょ」

フームは大きな瞳を最小限にまで細くし、カービィを睨み付ける。

「あははー・・・ボクがそんなことするわけないでしょー・・・・ボクは机の上にあったクッキーなんて・・・たたた食べてないもんー」

あきらかに動揺しているカービィに、フームは一つ咳払いをした。

「じゃあカービィ。質問させてもらうわ。どうしてあたしの作ったクッキーが机の上に置いてあったことを知ってるの?」

「え!え・・・・えっとーそのー・・・・・」

「そして、あなたの口のまわりについているのは、なぁに?」

フームはカービィの口のまわりにこびりついている、クッキーのカスを指差した。

「う・・・・ううううううう・・・ごめんなさいっ!」

観念したかのように、カービィは緑の生い茂る平原にひれ伏した。

「ごめんなさい・・・ボク・・・ボクおなかがすいてて・・・つい・・
・・本当にごめんなさい!」

小刻みに震えているカービィは、自分の真正面にいるフームに顔向けができなかった。
カービィはフームにめちゃくちゃ怒られるのかと思っていた。

しかし、その予想に反して、フームは微笑んでカービィの小さな背中を、やさしくなでた。
カービィはその行動にびっくりしたのか、思わず勢いよく顔を上げてしまった。

「え?・・・フーム?」

「大丈夫よカービィ。もともとあのクッキーはあなたにあげるつもりだったの」

フームは、カービィをだっこするように持ち上げた。

「でもね、もしあのクッキーが他の人にあげるクッキーだったら、私はもっとカービィのこと叱るわ」

カービィはしょんぼりとうつむいて、「うん・・・」と言った。

「それは私だけじゃなくて、他の人もされたらとっても嫌なことよ。だから覚えておいて。人のものを食べたり使ったりするときは、必ずその人に許可をもらわないとだめよ」

フームの緑色の瞳が、力強くまっすぐにきらめいた。

「約束して。カービィ。今のこと」

「うん!わかった!約束する!」

カービィは誓いの約束を結んだ。

「うん、うん!えらいわ!カービィ!」

フームが嬉しそうに微笑んだと同時に、

「姉ちゃーん!カービィーー!」

「おーい!フームー!カービィー!」

二人(いや、一人と一匹?)を呼ぶ声が聞こえた。

「あー♪ブンー♪トッコリー♪」

カービィはニコニコ笑いながら、ピョンピョンとはねた。

「おお?・・・なんだか今日はえらくご機嫌だなあ・・・・」

不審そうな目つきで、トッコリと呼ばれた鳥は、カービィの頭の上をクルクルと回る。
しかしカービィは、トッコリが自分を不審そうな目で見ていることにもいっさい気にせず、飛び回るトッコリを見て楽しそうに笑っている。