二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 星のカービィ 運命の車輪 ( No.41 )
日時: 2011/03/29 16:04
名前: 月兎 (ID: A2bmpvWQ)

第5章 群青色の感情


「利用…?」

カービィは、赤色のマントをなびかせている、ドロッチェに向かって言う。

「そのまんまのことだよ」

ドロッチェはレーザー銃のようなものを、懐から回転させながら取り出す。

「!」

メタナイトは、素早くいつでも飛びかかれるように体制をとる。

「ははは…バーン!」

ドロッチェは、銃口をこっちに向け、からかうように笑った。

「…」

「なんて顔してんだよ。お二人の戦士さま。さっきも言っただろ?俺達
は戦いに来たんじゃないと」

「…なんのつもりだ…」

メタナイトは氷のように冷たい声で言う。
ふざけた行為に怒りがわいてしまったのだろうか。

「言っただろ。利用させてもらうと」

カービィは何がなんなのか分からなくなってきてしまった。
でも、簡単に状況を把握すると。
一本道の横幅の広いメインストリート、自分たちの後ろにストロン。
前方にスピン。
そして、ほとんど真上にドロッチェ。
ここで攻撃されれば、袋のネズミ。
ネズミに袋のネズミされてしまう。
なんとも滑稽な話だ。

「…君たちの目的はなんなの…?ボクなんかいろいろと考えることがあって、脳みそゴチャゴチャになっちゃう」

カービィは、今日1日でいろいろなことがありすぎて、頭(といっても一等親だが)が混乱しきってしまった。

「!…そうだったな…忘れてた」

ドロッチェが思い出したあのように言った。

「団長ー…ばかッチュよそれは」

「そーれーわすれちゃーだーめーでしょー」

「うるさーい!俺だって今日はいろいろとめんどかったんだって!」

スピンとストロンにつっこまれ、ドロッチェは、うっとおしそうにどなる。

「さてと…まあ気を取り直して…今更何度も言うけど、俺達は戦いに来たんじゃない。ちょっくらお尋ねに来たんだ」

「それはそれはご丁寧に。プププランドを爆発させたこともその挨拶の一部なのかな。何とも失礼な話だ」

「仮面の騎士様の言う通りだな。無礼千万という言葉は俺達のためにあるような四字熟語だしな」

「それにその銃はなんだ。戦うつもりはないなんて、嘘にもほどがあるぞ」

「これは銃だ。見ての通りの銃。俺はこれをいきなりぶっ放すことなんてしない。ただし、仮面の騎士様。あんたは今にも俺達に斬りかかってきそうだよな。あんたが斬りかかってきたら話は別だ。俺は容赦なくこれをぶっ放してあんたを攻撃する。これは正当な防衛だ。あんましそんなことはしたくないんだがな」

ドロッチェは、メタアナイトに向かって言う。
そして、軽く銃を一回転させ、「とりあえずは物騒な飾りだと思っていてくれ」などと、無理のあることを発言する。

「じゃあさっそく、教えてもらおうか。プププランドの秘宝のことを」

「ちょ…ちょっと待ってよ…!ボク…ボク達はそんな秘宝なんてもの知らないよ!」

「…とぼけて乗り切れると思うなよ」

「と…とぼけてなんて…!」

カービィはとぼけてなんかいない。
本当に知らないのだ。
秘宝の存在なんて知りもしないのだ。
ついさっき、未来の話にでてきただけで、何もわからないのだ。

「教えろ。プププランドの秘宝はどこにある」

「だ…だから知らないよ!ホントだって!」

「…仮面の騎士…あんたはどうなんだ?」

「知らない」

「…。やっぱり攻撃しないでありかを突き止めるなんて無理じゃないッチュか?」

スピンが心配そうにドロッチェに尋ねる。

「もたもたしてると、ここの援軍が来ちゃうッチュ」

「…こっちにもこっちなりの事情がある。あっちが手をどしてこない限りは、あまり攻撃したくないものだ」

ドロッチェはため息をつく。

「あんましめんどいことは好きになれねえよ全く」

「ていうか…このプププランドには秘宝があるの?」

カービィの言葉に、ドロッチェたちは驚く。

「おーまえーらー…まじでー…しらない…のーか…?」

ストロンの言葉にカービィはうなずく。

「やっぱりプププランドには秘宝があるの?」

「…こりゃ驚いた…まじで知らないのかよこいつ…そうだ。プププランドには、すべてを支える、強大な力を持つ秘宝がある。俺達はそれを突き止めた」

「突き止めた…だと?」

メタナイトは疑問を持って問う。

「ちょっと考えればあんたらにもわかるさ。ポップスターになんらかの事件や襲撃があるとき、たいていいつも狙われるのは、プププランドだろ?」

「…確かに…」

銀河の襲撃も、はじめはプププランドからだった。
魔法の絵画の事件の時も、プププランドだった。
ダークマター一族も、頻繁にプププランドに襲撃しにきた。
最近はそのようなことは、起こっていなかったが。
思い返してみると、確かにそうだった。

「それで俺達は思った。もしかしてプププランドには強大な力が眠っているのではないのかと。ここまでは予想だ。で、それから調査してみたわけだ」

「そうしたら…?」

「古文書が見つかった」

「ええ!?」

カービィは驚きのあまり声を荒げる。

「ホロビタスターの神殿に、ポップスターの力などが、つれづれ書かれていた。鑑定で、本物だと確認。しかも、ここの秘宝はそうとうにすごいものらしい」

ドロッチェがうれしそうに語る。

「だからこそ欲しいんだよ。秘宝が。教えろよ。どこにあるのか」

「本当にあったのか…」

メタナイトはそのことに驚いていた。

「でも…僕たちは今まで秘宝のことなんて知らなかったんだよ!場所なんて余計わかるわけないじゃん!」

「僕たちはってことは、あんたら二人は知らないってだけだろ?」

「み…皆知らないよ!(わかんないけど…)」

「ふーん。なんか怪しいな。もしかしたら、知ってるかもしれないぜ」

カービィは、もしかしたら黙っているだけで皆、実は秘宝の
存在を知っているのかも。とさえ思い始めてきた。

「…じゃあしかたねえなあ…」

ドロッチェは笑う。

「『カブーなら何かをしっているのかも』だとさ」

「!?」

カービィもメタナイトも同時に驚愕する。

「…なぜ…それを」

「聞いた。捕まえた奴らに」

「捕まえただって!?」

カービィは声を荒げる。

「なんか大きめの家にたくさん住民がいたんで、みんな捕まえてやった。そしたら誰かがこう言ったんだ」

「みん…なを…」

「俺達は戦いにきたんじゃない。だけれども、盗むためなら手段はあんまし選ばない」

ドロッチェはニヤりと笑う。
勝ち誇ったようにすら見えた。

「住民たちがどうなるかなんて…だいたい想像つくよなあ?」

その言葉でもう十分だった。

「ふざけるなあ!!!」

カービィが激昂し、ドロッチェにとびかかる。
カービィのクナイの切り裂き攻撃を、ドロッチェは交わす。

「星の戦士。ちょっとあんたはこの先黙って静かにしてもらいたいんだよ」

ドロッチェは、カービィをどこかに誘導するかのように逃げ回る。

「よくもみんなを!!!」

カービィは怒りで我を忘れているのか、ドロッチェを追いかける。

「カービィ!」

メタナイトは叫ぶが、奇しくもその声はカービィには届かない。

「仮面の騎士。お前にも黙って静かにしてもらいたいッチュ」

スピンが淡々と言う。

「邪魔はさせないッチュ。もし、あんたらの仲間が一人でも、あの家に近づいたりしたら、中にいる住民が
そうなるかわかるッチュよね?あの家にもオイラ達の仲間はわんさかいるッチュよ」

「たてこもるつもりか!?」

「くくく…秘宝のありかを教えてくれるならいいッチュよ?」

メタナイトは焦った。
(今ここでむやみにレン村長の家に向かっても、住民が危険だ!やはりこいつらを看破するしかない!)

「今は星の戦士をおいかけたほうがいいッチュよ?」

スピンは邪悪な笑みを浮かべて言う。

「本当に団長に殺されちゃうッチュよ?」

「く!」

メタナイトはその場から思いきり飛び上がり、カービィを追跡する。

ドロッチェ。
あいつならカービィを殺しかねない!
攻撃するつもりはなくとも。
今は、カービィが攻撃している!
いずれ、痛い反撃が来る!

スピンとストロンは飛び去ったメタナイトを見ながら。

「作戦どおり♪」とお互いに笑いあった。