二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

最初のお悩み相談者 【ひぐらしのなく頃に】 ( No.1 )
日時: 2011/03/26 05:13
名前: 球磨川 禊 (ID: e4Mlzqwp)

目まぐるしい春が過ぎて夏の6月。
暑い外とは気温が違う生徒会室で、それはやって来た。

「名前を、聞かせてもらおうか」
クーラーびんびんの中でめだかの厳かな声が響き渡る。
対面するのは数名の男女。如何にも女子の比率が多いのを敢えて無視することにした善吉。
一番先頭で椅子に座っている男子が口を開いた。
「…俺は前原圭一。こっちが竜宮レナでこっちが北条悟史・沙都子兄妹。そしてこっちが園崎魅音・詩音の双子姉妹で、こっちが古寺梨花ちゃん」
圭一は順々に説明しはじめた。名前を呼ばれた仲間は軽く会釈する。
めだかはフムフムと頷き面々を見渡した。
「わかった。で、貴様らは何が悩みでここに来たんだ?」
夏だというのにめだかの制服は冬のまま。暑くないのかと突っ込みたくなるが、めだかは気にしたい。
圭一はめだかの凛とした態度に目を向けながら口を開いた。
「実は倒してほしい人が居るんだ」
「倒してほしい人…?」
横で聞いていた高貴が疑問の声をあげた。
圭一は頷く。
「——ああ。一回だけでいい。あの人を倒してくれる人を捜しているんだ。その…関わりのないあんたらに頼むのは筋違いだって判ってる。だけど俺らじゃ敵わなくて…だから————」
「わかった。その相談、私が引き受けた」
めだかが話を遮るように笑って、言った。
「でも…」
「なに、私は生徒会執行部の生徒会長だぞ。どんなに関わりのない相談でも、『生徒』と分類される貴様たちは私と無関係ではない。それに、私は24時間365日、誰からの相談でも受け付ける」
凛とした振る舞いで言って見せためだかに善吉は微笑む。
それこそがめだかちゃんだ。
俺の知るめだかちゃん…。
圭一たちは呆気にとられた後、その顔に笑みを張った。
「…すまない。それで、倒してほしい人って言うのが…———」



屋上。
其処に対峙する二つの影。
皆が見守る中で凪ぎ風が戦場をそよがせた。
「…貴様か。あいつらの言う『倒してほしい人』というのは」
沈黙を破るかの様にめだかは幽玄に口を開いた。
それに『倒してほしい人』は微笑む。
「」まさか見ず知らずの貴女に相談を持ち掛けるとは…あの子たちもまだまだということですか…。そうですよ、わたしがあの子たちの言う『倒してほしい人』、知恵留美子です。どうぞお見知り置きを」
ぺこりと頭を垂れる留美子。ラフな格好の彼女に見守っといた真黒が心配そうに割って入った。
「ちょっと待った。まさか留美子さん、手ぶらでめだかちゃんと闘うつもりじゃあ…———」
その科白に知恵はニコッと笑うだけだった。
めだかはその態度に顔を笑みで染めた。
「面白いな、知恵。戦闘モードの私を恐がらない一般人ノーマルは貴様が初めてだ。手合わせ願いたい」
「いいでしょう。後悔しないでくださいね、黒神さん」
「後悔はしませんよ。知恵先生」
めだかが言い終わらないうちに、二人は地を蹴った。
バトルの火蓋は既に切り落とされていた…。