二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 異世界リンク! ( No.9 )
- 日時: 2011/04/15 22:51
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: CrVsa58M)
…………疲れた。
ただひたすらに疲れた。
「「「良かった……人形で本当に良かった…………!!」」」
男2人とメガネ1個が全く同時に言った。
っていうか、メガネって有機物だったんだな。 今日、始めて知ったぞ。
定春の胃のレントゲン写真に写っていたあの影は、ちょうど人間と同じくらいの大きさをした人形のものだったのだ。
全く人騒がせな野郎だぜ。
とりあえず、他には何も無かったらしい。
「今日は大事をとって泊っていった方がいいって」
「…ああ、そう」
「ワタシ、心配だから定春と一緒に泊っていいアルか?」
「…ああ、そう」
神楽が銀時に色々と報告などをしているが、銀時は俯いたまま「…ああ、そう」としか言わない。
定春よりもこっちの方が重傷なのではなかろうか。
「…………」
そして、銀時とメガネは定春の胃から出てきた人形を抱えて病院から去っていった。
まぁ、こんなことがあったら疲れて仕方が無いもんな。
「なんであんなに疲れてるアルか」
問題を起こした張本人とまではいかずとも、かなり中枢の位置にいたはずの神楽は疲れの原因が分かっていないらしい。
あいつら、苦労が絶えないんだろうなぁ……。
「んっ! リーダーではないか」
後ろから若い男の声が聞こえた。
リーダー? 人違いとかか……?
「あっ、ヅラ」
知り合いだったらしい。
神楽は何かのリーダーだったのか。
「ヅラじゃない桂だ。 ところで、後ろの2人は誰だ?」
桂は自分のあだ名が気に喰わないらしく、訂正した。
そして、その後、見覚えの無い俺とプーニカについて尋ねてきた。
「雲雀蓮だ。 よろしく頼む、ヅラ」
「プーニカ・マールスなんだも。 よろしくなんだも、ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
俺とプーニカが「ヅラ」と呼んだのに対して、冷静に訂正した。 あっ、冷静と訂正は韻を踏んだ訳じゃないからな?
「ここにいるということは、まさか定春の具合が悪いのか?」
「お前の頭の具合ほどじゃ無いアル。 大丈夫ネ」
「そうか。 それはよかった」
「ヅラ、お前はどうしたネ。 普通の病院じゃ手がつけられなくて動物病院行きアルか」
神楽とヅラがかみ合ってそうでかみ合っていない会話をしている。
プーニカは話についていけなくなったらしく、開き直り、見ず知らずの人の飼い犬を撫でている。 飼い主の許可は取っているみたいだし、問題無いな。
「いや、ちとエリザベスの元気が無いのでな。 見てもらおうと来たんだが、レントゲンに嫌な影が写ってな」
定春と同じようなパターンか?
その前に、エリザベスってこのペンギンっぽい奴か? これ、動物病院で対応できる生物なのか?
頭に沢山の疑問が浮かぶ。
そして、レントゲン写真を見せてもらうと、そこには中年のオっさんのようなシルエットが写っていた。
成程、エリザベスは着ぐるみ(というか布)を被ったオっさんなのか。
どうりでさっきから加齢臭が辺り一帯に立ち込めているわけだな。
「いや、それただのオっさんアル」
神楽がバッサリと切り捨てる。
真実は時に残酷だな……。
「どうやら散歩中にオっさん的なものを拾い食いしたらしい」
どうやら、ヅラは常に現実逃避をしているらしい。