二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 光陰リフレクト『イナイレ短編集』リク募集中! ( No.25 )
日時: 2011/08/13 09:30
名前: 紗夜 (ID: 32zLlHLc)
参照: ボカロ曲をイナイレキャラとオリキャラで!リク募集!

病み 鬼道×氷歌


※解釈はあくまで私のしたものです。皆さまのイメージと違うことはあると思いますが、それぞれのイメージは違うものなのでそれを分かった上でお読みください。

※グロ表現があると思います。

※氷歌と鬼道さんがいつもと違います。






『リンネ』 「終わらない輪廻を」




静かになった。さっきまで聞こえていた彼の心音が、プツリと、電話が切れるようにして聞こえなくなたせいだ。私はまだ彼の首を持っている。力はもう入っていない。全力で彼の首を握ったせいでもう手に力が入らない。


「……有人?」

そうゆっくり名を呼んでみた。返事はない。彼は眠るようにして目を閉じている。

「有人?」

もう一度呼んでみた。昔と同じように、優しく、穏やかに。

でも返事はなやりなかった。気がつけば彼の首はとても冷たくなっていた。氷のように冷たい彼の首から私は手を離した。そしてそのまま彼の手をとってみた。その手を頬に当て、するりと滑らせてみる。冷たい手。とても……冷たい。



「これで、あなたは私のものだよ?」

そう言ってみた。嬉しいような気がした。でも、私はこれでまた大きなものを背負ってしまった。でも、いいよ。あなたを殺すためだから。私がしたかったことはこれで終わったんだよ。私があなたに抱いていた愛は気がつけば憎しみに変わっていて、その憎しみをぶつけて、私はあなたの命をこの手で絶てた。それが、私の幸福だから。あなたを手に入れたかったわけじゃない。でも、このままあなたが何も知らずに生きていくよりは殺した方がずっとずっといいの。あなたが他の女ともう笑えないことが、私は嬉しいよ。



「じゃあ、ね。」

私はそう言って彼の手を元の場所に戻し、そこから去った。













やりたかったことはやり切った。でも私は、安息の地を完全に失った。
でも、こうなることが当然な気がした。好きな人と一緒にいられなくなってその人を自らの手で殺すことが決まっていた気がした。何でだろう。そんなこと分からない。だけど凄くそんな気がした。


きっとこれが私の運命。



そうやってすんなりと運命を受け入れることができた。




でも、ほんの少しだけ思いことがある。あの時、有人が私を捨てなかったら、私は今頃持って幸せだったんじゃないかって。あの頃に戻って過去を変えられたらって。少し思う。




「……そのうち、逃げるのも難しくなる……だったら……」

踏切の音が響く。私は踏切の前でただ呆然と立ち尽くしていた。


「……有人……あなたは天国に行ったのかな。それとも地獄かな。」

きっと私は地獄に行くよね。でもあなたがいれば私は少しでも救われるかもしれない。今度会ったら、私をもっと大切にしてくれる?今さらこんなこと言うのは変だけど、私は……


ガタガタと電車の近づく音がする。私は一歩、前に進んだ。また一歩足を出したその瞬間




「死んで報われようって?そんなこと無理にきまってるでしょ?」

声が聞こえた。


驚いて足が止まる。少し辺りを見てみるが、誰もいない。なのにどうして……?

そう思っていると辺りに少し風を起こしながら電車が踏切を通った。

「あんたは死んだって報われないよ。死んであの人に会ったって、あの人が昔と同じようにあんたに接してくれるわけないでしょ?あんたはその手で大切な人を殺したの。あんたは人殺しなの。分かる?」

誰もいないはずなのに声が聞こえる。どうして?どうして?意味がわからないそれにこの声の主はどうして私が彼を殺したと知っているの?

「あたしが誰か分かんない?ふーん。じゃあ教えてあげる。あたしはあんただよ。」



……私……?


「何を言って……」

「あんたはあたしだって言ったの。」

じゃあこの声は私の中から聞こえてるってこと?意味が分からない。じゃあ私は今自問自答してるの?


「まあ、詳しいことは言っても分かんないよ。兎に角、あんたが死んだってもうなにも意味を成さないの。あんたはこの先、ずっと一人で生きていくの。もう昔のような幸せな日々なんてあんたにはもう来ない。あんなたもう……大人になっちゃったんだよ。」

……確かにそうだ。私はもう、死んだって報われない。こいつが言ってることは正しい……

「これは運命だ。あんたは今、果てしなく続く輪廻の中にいるの。ずーっと昔から、続く輪廻の中にね。」


「……輪廻……?」

「そ。あんたの祖先も、あんたとおなじ、愛する人を殺して一人で罪から逃げた。逃げ続けた。あんたがこうなることはあんたの祖先から決まってたの。逃げようとも逃げられないの。これを知ったあんたの祖先は皆、こんな輪廻を千切ってって言ってた。でも無理よ。今も昔もこれからも、この輪廻は続く。歩みな。運命を背負って。」

声は聞こえなくなった。

祖先から続く輪廻……これは終わらない。これからも、ずっと。きっと来世でも、結ばれない。



これからもずっと。一人で哀れに道を進んでいかなきゃいけないんだ。
悲しい運命の道を。終わらない輪廻を。



もういいよ。歩むよ。一人で、哀れに。




                   




                                                          だって



それが




             






                                          私の






           




                      運命だから









































『リンネ』