二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 欲望Vortex【イナイレ、ボカロ短編集】 ( No.32 )
- 日時: 2011/08/02 09:45
- 名前: 藍蝶 (ID: UgVNLVY0)
- 参照: 蟻様リク.「No Logic」前編
中間テスト。ったく、こんなペラッペラの紙が将来の何に役立つんだろう。
答えなんて大体これでいいんじゃないの?
そう思って筆箱から緑の鉛筆取り出して、転がして。
あ、3。よし、ここは3……っと。
別にいいでしょう。カンニングしてる訳でもないし。
紙に書く文字なんて、適当でいいんじゃないの。
「答案用紙、集めるぞ。後ろから回せ」
私、一番後ろの席だし、ラク。ノートに落書きしてたってバレないし。こんな特等席、しばらくは譲りたくないな。
昼休み終わった。ガヤガヤと五月蠅い奴らが教室に戻ってくる。
……あれ、アイツがいない。いつも私の前にいる、車椅子の奴が。
ま、いっか。関係ない。いなくたって、教室は成り立つ。
「授業を始める。教科書、昨日の続き開けろー」
気の抜けた教師の声。教科書開ける気失せるし、昼の温かい日差しが睡魔となって私に襲いかかる。
疲れてるんだから、寝てもいいでしょ。
「おい!聖原(せいばら)!起きろ!」
野太い声と共に肩を揺すられた。ビクッとして、目が覚める。
右斜め前には、しかめっ面をした教師。うわっ……これはヤバ……。
「何ですか?」
「何ですか?じゃない!授業中ずっと寝てるとはどういう事だ。罰としていない名城(なぎ)、探してこい」
「……はい」
名城。車イスの奴か。仕方なく席を立つと周りからクスクスと笑い声が聞こえる。
ピシャン、とドアを閉めて廊下を歩きだす。丁度良いか、授業サボれる。
いつも頑張ってるのに。少しくらい休ませてよ。
一つ溜息吐いて、校舎内を歩き回った。でも、いない。アイツ車椅子なんだから、遠くまで行けない筈でしょ……?
帰ろうと思った時、探していた名城哀羅(あいら)とはち合わせた。
「あ……っ」
と小さな声を洩らして、この場を去ろうとするが、私が車椅子の先端を掴んだ。
ガクン、と車椅子が前のめりに倒れかけて、ガタンガタンと揺れる。壊れたロッキングチェアみたいに。揺れる度に、名城の二つに結った綺麗な緑の髪が揺れた。
「どうしてこんな所いたの?」
この通路の先は屋上への階段の筈だけど。
「関係ないですから。すぐ戻ります」
「あ、そう」
それだけ言って帰ろうとしたけど、凄くもの悲しい顔をされたので、仕方なく押していく事にした。
そうやって歩いてると、名城の口が動き始めた。
「大体それで良いんですよ。失敗したって、いいんです。貴方もそう思ってますよね」
「……何その綺麗事。五月蠅いし」
言葉でどんなに引き離そうとしたって、名城はニコッと笑うだけ。何コイツ。
「聖原さん、色々悩んでるのは知ってますよ。でもまぁ、結局はタイミングですよね。相談乗りますよ」
「別に」
「じゃあ聞いてもいいですか?」
「勝手にどうぞ」
「一つ一つ言葉でしまい込んで何がしたいんですか?」
は?名城、何が言いたいの?何がしたい……って、知らないよ、そんなの。
気が付かない内に教室に着いていたらしい。過ぎてますよ、と声が入った。いけない、ボーッとしてた。
教室に入ると教師がやっとか、という顔で迎えた。何それ酷い。
下校時。ずっと悩んでた。
『一つ一つ言葉でしまい込んで何がしたいんですか?』
その言葉が心につっかえて、まるで他の事なんて上の空。
やりたい事やる為に私は生まれてきたのよ。
その言葉に締め付けられるのは、ゴメンだね。