二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.7 )
日時: 2011/07/22 23:53
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

《最狂少女!? 飛鷹聖那の憂鬱》


聖「けっ……」

 少女——飛鷹聖那は、手の甲に付いた血を川の水で洗い流していた。

男「……」

 その後ろには、ボロボロになった男がうつ伏せに倒れていた。
 一応、息はしているようだ。

聖「ったく……」

 聖那は手を洗った後、男の首根っこを掴んで橋の下に放り投げた。

男「うぐっ……」

 男の呻き声を、彼女はニヤリとほほ笑みながら聞いていた。

聖「おねんねしてな……くくく……」

 悪魔のような笑い声が橋の下に響いた。しかし、その笑い声はすぐに途絶えた。

聖「ハァ……」

 聖那はため息をつき、着ていたジャージを男の背中に被せてその場を去った。









征「聖那……」

聖「……何?」

征「またやったのか?」

聖「そうだけど……なんか文句ある?」

 聖那は家に帰ったとたんに、兄の征矢につかまってしまい、今に至るのだ。

 兄の征矢——飛鷹征矢は、中二の時イナズマジャパンのDFを務めていた。

 今は、サッカーからは離れてラーメン店を営んでいる。

征「聖那……!」

聖「兄貴にはわかるんでしょ? あたしが喧嘩するわけが。なのに、なんで止めるのさ?」

征「……確かに聖那、お前の気持ちは分からなくはない。だけどな、喧嘩はよくない」

聖「……」

 聖那は黙って、兄の言葉を聞いていた。

征「はぁ……。まぁいい。晩御飯できているから食べなさい」

聖「いらない! 寝る!」

 聖那はそう言って、部屋に行ってしまった。








聖「……」

 聖那は一人、ベッドの上でうつ伏せに寝ていた。

 何もする気が起きず、憂鬱そうに自分の机の上を見つめていた。

 机の上には参考書とまとめノートが開かれていて、シャーペンと消しゴムと色ペンが無造作に置かれていた。

聖「さてと……やるか」

 そう言ってベッドから起き上がり、椅子に座って机に向かった。

聖「あーっと……ここは、対頂角で等しくて、そんでもって平行線の錯覚は等しいので……」

 数学の幾何に苦戦しているようだ。

 計算系は得意だが、どうも幾何はどうにもいかないらしい……。

聖「ダーメだっ! わっかんねぇよ!」

 シャーペンを放り投げ、またベッドに倒れこんだ。

聖(腹減ったぁ……)

 聖那は晩御飯を食べていないことに気付き、部屋を出ようとした。——が、自分は今、兄と口をききたくないのを思い出し、枕に顔を突っ込んだ。

聖「ちぇ……」

 その時、腹の音が盛大になった。

聖「……」

 勉強も進まないし、ご飯も食べたくない。兄とも話したくないとなれば、何をすればいいのだろうか……?

 聖那は退屈だった。することも、できることも、なんにもない。

聖「あぁ! 我慢できない!」

 そう言って聖那はドアを開けようとしたが、途中でドアが何かにひかかった。

聖「?」

 少しだけあいたドアの隙間から、床を見てみた。するとそこにはお盆の上に、おにぎりが三つ置いてあった。

聖「兄貴……」

 そう呟いて聖那はおにぎりを食べた。