二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.8 )
日時: 2011/07/24 16:33
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

 翌日——

聖「……眠ぃ」

 あれから聖那は遅くまで机に向かっていた。

聖「あと10分だけ……」

 勉強していたわけではない。では、何をしていたのか。

 学校に行かなくてもいいような口実を考えていたのだ。

聖「……」

 なんか口実を作っておけば、兄は無理に聖那を学校に行かせようとはしない。だが、兄が本当は学校に行かせたいということぐらいは、聖那にもわかっていた。

 彼女が学校に行きたくないのは、勉強が嫌なのではない。むしろ勉強は好きな方で、テストの日だけ学校に行っている。

 なぜ、彼女は学校に行きたがらないのか……。

聖「ふぁ〜……」

 残念ながら、その理由を完全に忘れていた。

 だけど、ただ一つ言えるのは——

聖(あ。また痙攣だ……)

 学校に行ったり、学校について考えたりすると、毎回痙攣がおきるのだ。

 持病をがあるわけでもないし、意識に障害はないから兄には言わずに誰にも話さずに秘密にしている。

征「聖那。入るぞ」

 そう言って、いきなり兄の征矢が入ってきた。

 びっくりした聖那は心臓が飛び出るかと思った。

征「……学校のことなんだが——」

 行かせるんだな。

 聖那は直感的にそう思った。

 だが、征矢は征名が思いもしなかった言葉を発した。

征「——転校することにした」

聖「ぇ……?」

 てんこう……。

 この言葉が聖那の頭の中でぐるぐるとまわって、ようやく正しい漢字に変換された。

 『転校』……。

聖「はぁ!? 転校ぉ!?」

 少し間を開けて、聖那の頭は超高速回転して、さっきまで眠かったのが一気に目が覚めた。

聖「な、なんで……さ」

征「そっちの方が、お前にはいいだろうと思っただけだ」

聖「……」

 聖那は、夢かと思った。

聖(解放……されるんだ……)

 そう思ったとたんに、痙攣は止まった。

 それから聖那は、何とも言えない開放感に包まれた。

聖「——で? どこに行けばいいのさ?」

 聖那は気を取り直して、聞いてみた。

 似ているようなところだったら、絶対に行かない……。そう心に決めていた。

征「雷門中だ」

聖「やだ。」

 聖那は即答した。というのも、雷門中と言えばサッカーの名門校。そんなところに行けば、サッカーをやらなくちゃいけない羽目になる。それだけはどうしても避けたかった。

征「拒否権はない。制服、置いておくから着替えろよ」

 そう言うと、征矢はドアを開けて部屋を出た。

聖「……はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 そして、聖那は呆然とドアを見つめた。

聖「しゃーねぇ……行くか」

 聖那は制服に着替えた。

聖(ふぉ〜……こういうタイプの制服は初めてだ……)

 聖那が通っていた学校は、ネクタイをつけるところだったから、一度でもいいからリボンをつけたいと思っていた。

聖「青いリボン……」

 リボンをつけるのに少々苦労はしたものの、きちんと着れた。

聖「朝飯でも食うか……」

 そう言って、聖那はリビングに向かった。














聖「あっれ……おっかしいな。こっちであってる……よな?」

 朝ごはんを食べ終わり、家を出て学校に向かったのはいいが……

聖「あ……迷った」

 道に迷ってしまった。

聖(くっそ……だから兄貴に来てほしかったのに……)

 出かける前に、征矢に一緒に来るように促したが、「なんで俺が行かなきゃいけねぇんだ」と言われ、ドアを閉められてしまったのだ。

聖(自分で頑張って行けってか……くそっ!)

 心の中で悪態をつきながら、適当に歩いて行った。

 聖那は、重度の方向音痴だ。いや、方向音痴というよりか、地図が読めないのだ。

聖「……?」

男1「おいテメェ、ぶつかったのに挨拶もなしか? えぇ?」

?「……」

 十字路に行き当たり、ふと右を見てみると、自分と同じくらいの年の男子が不良二人組に絡まれていた。

男2「うんとかすんとか言えやぁ、コラァ!」

?「……」

 さっきから不良組が男子を脅すものの、男子の方はびくともしない。

 男子は、藍色の髪で後ろ髪を少し縛り、揉み上げの両サイドがカールしてて、鋭い目つきをしていた。色白で、制服をマントのように掛けてボンタンにチェーンを巻いていた。

 橙色の瞳で、不良組を黙って睨んでいる彼の姿に、聖那は不覚にも胸が高鳴った。

男1「喧嘩売ってんのか、コノヤロー!」

 そう言って、不良の一人が彼の胸倉をつかみ上げた。

 少し苦しそうに顔を歪めた彼を見て、聖那は何も考えずに手と足を動かした。

 それと同時に、彼女の中で何かが切れる音がした。こうなってしまえば、もう彼女を止めることはできなくなる……。

男1「ぐはっ……!」

男2「う"っ……」

 不良二人組をあっという間にボコボコにした聖那は、二人の血を見たとたんにもっと顔をぐしゃぐしゃにしたい……。

 そんな衝動にかられた。