二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.9 )
日時: 2011/07/25 16:09
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

 ズカッ。

 その時、鈍い音がして不良の一人が吹っ飛んだ。

聖「え……?」

 聖那はびっくりして吹っ飛んだ不良の方を見ると、さっき脅されていた男子が顔を足で突きながらじっと見ていた。

男1「……」

 不良の一人は伸びてしまい、もう一人の方は大慌てで逃げてしまった。

聖「あんた……」

?「……なんだよ」

 彼の声は、思っていたよりもすごく大人びていた。

 耳元で囁かれたら、一発でノックアウトしそうなほど。

聖「見かけない制服だけど、不良かなんかなわけ?」

 なるべく最強不良っぽく振る舞ったつもりだったが、肝心の男子が微動だにしなかった。

?「……不良に見えんのかよ」

聖「あ、当ったり前だろ! そんな服装をしていりゃ、誰だって……」

?「服装、ねぇ……」

 彼は聖那を頭の先から足先までをじっくりと何度も見た。聖那はあまりいい気がしなかった。

?「……そういうお前は、不良のくせに不良らしくねぇ格好じゃねぇか」

聖「!!」

 言われてみれば確かにそうで、聖那は珍しく今日はきちんと制服を着ているのだ。

聖「て、テメェには関係ねぇだろ!」

 そう言うと、彼はニヤリと笑って聖那にゆっくり近づいて来た。

聖「な……なんだよ」

?「その制服……雷門のだろ?」

聖「!」

 と、いきなり耳元で囁かれた。

聖「なっ……なっ……」

?「へぇ〜……雷門にねぇ……。転入生ってわけか?」

聖「お……お前なんかに、関係ない……だろ」

 彼の右手が聖那の顎にそえられた。

聖(あ……よく見てみると、案外カッコいいじゃん……)

 などと、ボーっとした頭の奥で考えていた。

?「関係あるぜ? 最狂不良チャン」

 言い方がなんかウザい……。

 そう聖那は思った。

?「俺、雷門中の生徒だし」

聖「……?」

 ライモンチュウノセイト……?

 雷門中……の、生徒……?

聖「は……はぁ〜〜〜〜っ!?」

 制服違うじゃんっ!! とでも言うような声を張り上げた。

?「……もうそろそろ行かねぇと、遅刻するんじゃねぇの?」

聖「あぁっ!! ったく! もうこんな時間じゃねぇかよ!!」

 聖那は、全てこいつのせいだと思った。

 だけど責める気には、そうそうなれなかった。

聖(考えてみれば、あの時あたしがあの不良組をボコんなきゃよかったんだよな……。でも、だからと言って見逃すわけにもいかなかったし……)

 聖那は自分の中にある、とある思いに気付かなかった。

 初めて人に感じたとある感情……。

?「ほら、行くぞ」

 この、すごく見た目が不良っぽい少年に抱いた……

聖「ま、待て!!」

 誰もが一度は経験する、甘酸っぱい思いを彼女は……

聖「……」

 知らず知らずのうちに抱いていた……。