二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.156 )
日時: 2013/03/08 01:10
名前: ライヤ (ID: u4eDShr6)

第八章—理想と現実の狭間(ゆめ)で—


レイシャの心の中に入ったリズ、グラッセ、ムーン、マーベル、カヤは闇の中を歩いていた。

「なんか、予想してた感じと少し違うな」

「あぁ。もっとこう・・・真っ暗なイメージ」


ムーンがあたりを見回しながら言った言葉に、グラッセも同意する。
純粋な闇なのだから、絶対に光の無い漆黒な場所のイメージがあった。
しかし、実際に来てみたイメージは、どちらかというと月に照らされた夜道のようだ。


「それは多分。レイにあげた私と父さんの光が闇を照らしているからじゃないかしら?」

『はッ!!?』

リズの何でも無いようにサラッとした発言に、全員が見事にハモった。

「ちょっと待てよ。じゃあ、レイシャの心に感じた光って!」

「レイシャが生まれて、純粋な闇の心の持ち主だってわかった時に、あいつにあげた私と父さんの光の力。もちろん、今ではレイシャ自身であげた光は回復できるわよ」

「でも光の力って、お前の心だよな!?そんなことできるのかよ!!

いち早く衝撃から戻ったムーンが問いただすと、それに驚いたリズは逆に問い返した。

「それじゃあ、聞くけど。レイシャの瞳が、本気出すとき以外は私たちと同じ青色なのは何故?あいつは純粋な闇の心を持つのに、金色の瞳じゃない。光技を使えるのは?」

「うッ・・・確かに」

リズの言葉にムーンは詰まった。確かに、めったにないが、レイシャは純粋な闇の心の持ち主でありながら、光技を放っていたことがあった。

「あれらもすべて、レイシャの中にある光の力よ。もっとも、少ししかないから、一度に使える光技には限度があるみたいだけどね」

リズは一度話を切って遠い目をしながら、また口を開いた。

「レイシャが闇を抑えられるようになるまでに時間がかかることは目に見えていたから。小さい頃よく暴走していたけど、あれでも抑えていたほうなのよ」

「あれでも、か・・・」

リズの話を聞いていたグラッセは、昔幼いレイシャが一度だけ暴走したのを見たことを思い出した。13機関メンバーでさえ抑えきれずに、大怪我をしていた。

「あいつに、いろいろ背負わせちゃったなぁ」

リズの呟きは全員に聞こえたが、誰も何も言えなかった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.157 )
日時: 2013/04/08 21:49
名前: ライヤ (ID: qESkNdgF)

「おい、あそこだけなんだか光が集まってないか?」

「あそこがレイが夢を見る原因を作ったところってことか?」

光がひときわ強い場所をグラッセが見つけ、カヤが真っ先に原因かとつぶやいて走り出す。
それに続き、みんなも光に向かった。



Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.158 )
日時: 2013/04/08 22:15
名前: ライヤ (ID: qESkNdgF)

——ドンッ!

「うわっ!?」「何!?」「敵かッ!!」

しかし、それはみんなの足元にどこからか放たれた魔法で止められた。それに対し、グラッセとムーン、カヤが武器をいち早く出すが、リズが違うと言った。

「これは、警告みたいね」

「あぁ。さっきからここにいたのに今になって攻撃したのは、俺たちが近づいたからだろうな」

リズの言葉二続き、マーベルが冷静に分析する。その言葉に三人も納得し、リズを見た。

「じゃ、あっちに行くには・・・」

「強行突破しかないってことだな」

グラッセとムーンが確認を取ると、カヤがすぐにアウインロッド片手に走り出していた。

「ちょ、カヤ!ひとりで行くな!!」

「全く、レイシャを見つけたときといい、今といい・・・」

「リズ、作戦とかは・・・」

カヤを追ってグラッセ、マーベルが走り出す。それを見ながら、ムーンが一応リズに確認を取るが、

「ない!攻撃は単調だから、隙を見て各自全力で抜けるのよ!」

「やっぱりな」

リズもキーブレード片手に走り出したのを、ため息をついてムーンが追いかける。



結果、各自来た攻撃を避けたり弾いたりし、抜けることができた。
そして、ついにレイシャ自身がいるはずの場所に踏み入れた瞬間、景色が一変した。

「これは・・・」

そこはレイシャにとって大切な場所であり、カヤにとって第2の故郷——リヴィネタウンだった。
そして、今のレイシャの状況をもう一度確認したリズは、苦笑した。

「私も体外だけど、やっぱり親子だから?これまた、父さんと同じような状況になってるわね・・・」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.159 )
日時: 2013/05/07 12:50
名前: ライヤ (ID: vIJhruab)

「とにかく、ここに引きこもっているレイシャを探し出して連れて帰るわよ」

「引きこもっているって・・・」

リズの引きこもり発言にグラッセがレイシャに同情を覚えた。

「でも、どこを探そうか。この町、小さそうに見えるけど、結構広いぞ」

「確かに・・・」

「どこか心当たりとか検討をつけておかないと日が暮れそうだn「え!?ちょっとどいて!」な、リズ!?」

近くにあった地図を見ていたムーンとその前に来たグラッセとマーベルはうなずいた。
しかし、その話を聞いた瞬間、リズとカヤが無理やりマーベルを押しのけて身を乗り出して地図を見る。(いや、これはほとんどにらみつけてるだろ。byマーベル)
確かに地図を見ると、小さく見えるこの世界はいくつかの地域に分かれている。

「どうしたんだよ突然。リズとカヤのほうがこの世界については詳しいだろ?」

普段から生活していたカヤと、その師匠で何度もこの世界に来たリズが今更驚くことではないと思って、グラッセは問いかけた。

「だからこそよ。昔の父さんとおんなじような状態になっているだなんて、考えが甘かったわ」

「ちょ、どういうことだ!?ロクサスさん以上って?」

リズがやられたという顔をしてつぶやいたことに、みんなが同時に思っただろう疑問をムーンが焦ってぶつける。

「今のレイが昔の父さんに似たような状況になってる。どんな状況かわかる?」

「ロクサスさんは昔、眠らされてデータの世界で普通の男の子として過ごしたことがある。つまり、レイシャも夢の中でおんなじような生活を送っているかもしれないってことだろ?」

「違いといえば、その世界でもリズたちが一緒にいることぐらいか?」

リズの問いかけにグラッセが応え、それに映像を見ていたマーベルが付け足す。

「それだけじゃない」

すると、今まで黙っていたカヤが次に言った言葉に事情を知らないグラッセ、ムーン、マーベルは耳を疑った。

「この町は、リヴィネタウンじゃない」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.160 )
日時: 2013/05/07 00:30
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)

リヴィネタウンじゃない。その言葉にリヴィネタウンのことをあまり知らないグラッセたちは戸惑っった。

「どう言う意味だよ?」

「そのまんまの意味。りヴィネタウンだけど、リヴィネタウンじゃない」

「つまりね。本来のリヴィネタウンにあるものと、ないはずのもの。二つがごちゃごちゃに混じっているのよ」

抽象的なカヤの説明に首をかしげると、リズが補足した。そして、その言葉でグラッセたちはすぐ理解した。

「ということは、ここはレイシャが作った夢の世界ってことか?」

「そういうこと。そして、ここからが面倒なことになってるんだけど」

「本来のリヴィネタウンは、とても小さいんだ。だからこの地図にあるほど、地域が分かれているおっきなリヴィネタウンなんて知らない」

ムーンの答えに肯定したリズは、顔をしかめて言葉を濁す。それをカヤがついで地図を見ながら話す。
それに続いてみんなも地図を見る。
その地図には、5つの区域が書かれていた。

「ドリームライト」「ピュアプレア」「シエルジンガ」「アスラウト」「シャインステル」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.161 )
日時: 2013/05/07 01:10
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)

「さて、どうするよ?」

「聞いたことも見たこともない名前ばかりだし。第一、こんなに広いと大変ね」

みんなで地図を見上げつつ会議をする。

「じゃあ、一人一区域ってのはどうだ?俺たちは5人いるんだから」

そこに、カヤが指摘したことに全員がみんなを見渡す。
リズ、グラッセ、ムーン、マーベル、カヤ。
確かに5人いる。そして、一人一つの区域を探せば、たとえレイシャがどこかの地域にいてもすれ違いにはならない。

「確かに、これならレイシャを見つけた時に連絡を取り合えばいい・・・あ、連絡(ーー;)。どうやってとろうか」

そして、そこまで言って気がついたグラッセが言葉を途切れせた。実際、連絡手段を現在彼らは持ち合わせていなかったのだ。
見つけても、集まる間に移動されては元も子もない。

「あ、ちょっと待って。いけるかもしれない」

「え!?」

「どういうことだ?」

リズの言葉に、全員が焦って聞き返す。すると、「待って試してみる」と言って、リズは突然——消えた。それこそ、物音一つ立てずに。

『はぁ!?Σ(゜д゜lll)』

何事かと驚いて絶句していると、消えたはずのリズがまた音もなく現れる。

「ふぅ。これで確信がもてたわ。ってあれ・・・?みんなどうしたの?」

一人何か納得しているリズは、みんなが絶句しているのに気がついて首をかしげた。

「お、お前なぁ!説明しろよ!?突然消えるんじゃねぇ!!びっくりしただろ!?」

「わ、わかった。分かっかたら少し落ち着いてグラッセ(((^_^;)」

それに反応してすぐにグラッセが突っかかった。それにリズが若干後退しつつグラッセをなだめて、説明をはじめる。

「今のは瞬間移動が出来るかどうかちょっと試してみたのよ」

「それをすぐできるところがすごい・・・」

リズが瞬間移動のことを試してできたということ自体がすごいとマーベルが全員が思っているだろうことを口に出して言った。

「違うわよ。別に私の能力ってわけじゃなくて。どちらかというと、この世界の能力を試したって感じね」

「この世界の能力?」

何かを勘違いしているらしいことに気がついたリズは、すぐに補足する。その言葉に、ムーンが聞き返すとリズが頷いた。

「ここはレイシャの精神世界からなっているのよ。つまり、この世界はレイシャの夢。だから、意識して思い浮かべれば移動が出来るのじゃないかって思ったの。どんぴしゃだったってとこね」

「なるほど・・・。現実じゃないからできること。通信も、それと同じでテレパシーというわけか」

「そういうこと。それじゃ、それぞれの担当を決めちゃうわよ」

リズの説明で全員納得する。そして、再び地図を見た。

「俺はこの『アスラウト』というところを探す」

「俺は『シャインステル』にするか」

「私は『ピュアプレア』ね」

「なら、俺は『ドリームライト』だな」

「とすると、残りは『シエルジンガ』か」

上からグラッセ、ムーン、リズ、カヤ、マーベル。

「そうだ。レイを見つけたらすぐ声をかけず、みんなに通信してから様子を見ててくれ」

「氷の神殿でレイシャを見つけたとき、囲っていた光がお前たちを映していたんだ。多分、レイシャの夢だろう」

決定したところでふと、カヤが想い出いたように言った。どういうことだと聞くよりも早く、マーベルが説明した。氷の神殿で見たカヤの焦った様子から、言いたくないだろうと察しての行動だ。
カヤをさりげなく見てみると、やはり顔がこわばっていた。

「レイのやつ、俺たちの名前をつぶやいていたんだ。こっちの世界にもみんないるらしい。だから、こっちの世界の話題を振られて答えられなかったら、怪しまれると思うんだ」

それでもカヤは気を引き締めて話を続けた。そして、それに全員が了承すると、それぞれの区域に散った。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.162 )
日時: 2013/06/03 22:35
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)

「レイ・・・お前、どこに行ったんだよッ」

周りを見渡しながら親友であるレイシャを必死に探すカヤは拳を握り締めながらつぶやいた。
別れてから30分ほど探しているが、レイシャの姿かたちさえ見ていない。

「(ここまで広いと、どこを探せばいいかわからないな・・・)」

ため息をカヤは吐いてもう一度辺りを見回す。
昼間だがそこまで人が多くない。かと言って廃れているわけではない。一言で言ってしまえば、ここはとても穏やかな場所なのだ。

「(ここはレイシャの記憶や心を反映しているんだよな・・・)」

この世界を見ていると、レイシャがいつも【純粋な光の心】を持つために狙われることの多いリズたちのことを心配しているのを思い出す。いつか「姉ちゃんは一人で抱え込み過ぎなんだよ」とレイシャが言っていた。
しかし、本当は彼自身だってリズたちと同じように様々なことを抱えていることもカヤは知っていた。
この世界は、今までいった世界などのことがごちゃごちゃに混ざっている。おかげで、心当たりも検討もつけようもない。
でも、それ以上にここは彼の心が強く出ているような気がした。確かレイシャは人々がお互いを何も知らずに毛嫌いすることを嫌がっていた。願いは、そんな人たちが和解することだと言っていた。

「(でも、本当のレイの願いは・・・なんだったんだ?)」

とても穏やかな風景を心に移しているのは、それが願いなのではないか。そう思えてカヤは、青く澄み渡っている空を見上げた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.163 )
日時: 2014/09/10 08:54
名前: ライヤ (ID: LZQ7Wo2E)

感覚からして1時間——いや、もっと長かったかもしれないし、短かったかもしれない——。リズから連絡を受けたみんなはピュアプレアに集まっていた。

「レイを見つけたって本当か!?どこだ!?」

「落ち着きなよ、カヤ。レイシャならあそこ。」

テレポートしてきてすぐに焦って聞いてくるカヤをグラッセがなだめ、曲がり角の先を指した。
カヤが覗いてみると、リズと話をしているレイシャがいた。それから少し話をしてると、遠くの方で鐘が鳴り、それを聞いたレイシャは何処かへ走っていってしまった。

「あ、レ「落ち着きなさい、カヤ」・・・リズ」

それを追いかけようとしたカヤを戻って来たリズが止める。止めるなと顔に書いてあるカヤを見て、リズはため息を吐いた。

「ダメだった。あのバカ弟、全っ然思い出さない」

「どういうことだ?まさか・・・」

リズの言葉に、マーベルが眉をひそめる。何か言おうとしたマーベルを遮ってリズは首を横に振る。

「直接は言っていない。何気なくキーワードを入れて軽く揺さぶりをかけてみたのよ。レイに動揺が若干見えたから、もう少し追求しようとしたら、学校のチャイムがなって。学校抜け出してきたからとか言って、止めるまもなく行っちゃったわ」

「なら、これからどうする?」

「そうね・・・」

ムーンの言葉にリズが思案をし始めたとき、大量の闇を感じた。

『!!!』

「これは・・・」

「・・・レイの闇だ!!」

「お、おい!カヤ!?」

「俺たちも追うぞ!!」

全員が驚き、ポツリとこぼしたマーベルの言葉にカヤが答えると同時に走り出す。それを直様グラッセが呼びながら追いかけ、ムーンたちもそのあとに続いた。
目指すのはレイシャのものと思われる大量の闇を放出させる街の中心部。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.164 )
日時: 2014/12/01 04:12
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)


 


  あるとき、光を嫌う少年に、一人の少年が手を差し伸べて言いました。

   ——俺、お前のこともっと知りたいんだ!
 
   ——友達になろう

  少年は優しく微笑みました。 





街の中心部に来ると、空はこの場所一体だけが薄暗く、その空まで大量の闇が渦を巻き、強い風が巻き起こっていた。

「何だ、これ・・・!」

「これ全部、レイシャの闇なのかよ!!」

「・・・早くレイのやつをここから連れ戻さないと」

ムーンとグラッセが腕で風を避けながら叫ぶ。さらに、リズが汗を浮かべながら呟いた。
その時のリズの様子に気がついていれば、普段レイシャが暴走した時に浮かべる表情と同じだということがわかっただろう。

「とにかく、あれを何とかして止めるわよ!レイシャのことはそ「誰のところに向かうだって?」・・・!?」

リズが全員に話をしていると、それを遮って聞こえてきた声に全員が驚愕した。それもただ驚いただけではない。普段よく知っている声だからこそである。

「え・・・?嘘だろ?」

「何が嘘なんだよ。カヤ」

「・・・レイ」

中心部から出てきた人物は、先ほど学校に向かったはずの、レイシャ・ブラックノーバディ、その人だった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.165 )
日時: 2013/08/16 21:09
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)

「レイ・・シャ・・・?」

「どうしたんだよ、みんな。そんな顔して」

出てきた人物は、普段のレイシャの服装からマフラーまでが漆黒のものを身につけている。
それに全員が驚いているのを見渡して、レイシャと思しき人物は苦笑する。

「本当に・・・レイシャなのか?」

「どうしてそんなこと聞くんですか。マーベルさん」

レイシャはマーベルの問に、苦笑したまま答える。このような仕草も、普段のレイシャと同じだ。しかし、どこかで何かが違うと訴えてくる。それは全員同じように感じているみたいだ。

「にしても、どうしてここまで来ちゃったのかな。ちゃんと警告はしたのに」

少しすると、苦笑していたレイシャが真顔で全員を見た。いや、睨むと言ったほうが正しい。
それも、今まで敵にしか向けてこなかった殺気を含むもの。
それを受け、さすがに全員息を飲んだ。睨まれたからだけじゃない。レイシャが口にした「警告」という言葉に。

「警告って・・・やっぱり、あんたの心に来る前の攻撃は近づくなってことだったのね」

「そうだよ。リズ姉ちゃん。なんでわかっていてここに来たの?」

リズが言うと、いつものにこにことしたきょとんとした顔で聞いてきた。仕草が普段通りなのに、殺気も闇の量も普段とはまるで違う。

「決まってるでしょ!あんたを連れ戻しにきたのよ!引きこもっていないでさっさと出てきなさい!!」

「全く。姉ちゃんは手厳しいなぁ。・・・でも」

リズが説教するかのように強く言うと、レイシャはクスクスと笑ったが、その刹那、いつもとまるで違う無表情になり、開けた瞳は澄んだ青色から金色に変わっていた。

「出て行く気はない。あなたたちを留まらせる気もない。さっさと出て行ってくれ」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.166 )
日時: 2013/08/18 22:10
名前: 悪ノメガネ (ID: 0fWfwKh9)

はじめまして、悪ノメガネです

ミラ「はじめまして、この駄作作者の小説、キングダムハーツ【プログラム・プロジェクト】の主人公のミラっていいます」ペコリ

リオン「このゴミが書いてる小説のキャラ、リオンだ」

キリ「同じくキリ」

おい男二人とミラはまだよしもお前ら俺の事をイジメるために生きてんのか?

リオン・キリ「「あぁ」」

おい…

ミラ「まぁまぁ、ここの作者さんに迷惑だよ?」

そうだった、取り合えず俺の小説も見に来て下さいね、二次創作の映像の方にあります

でわ

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.167 )
日時: 2013/09/23 16:26
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)



はじめまして。リラさんと小説を書かせていただいているライヤという者です。

レイ「はじめまして。このバカのせいで滞っていることをお詫びいたします。」

レイ・・・いきなり「本当のことだろ?」はい・・・

レイ「本当に申し訳ありません。このバカ、とにかく文章にすることが下手で、行き詰ったまんまもう2」申し訳ありません!私のバカのせいです!!りらさんにご迷惑をッ!!

レイ「・・・わかっているなら書け。もうノンストップで書け。」

わかっています。



悪のメガネ様。

悪のメガネさん、はじめまして。(今更な挨拶だなbyレイ)
貴方様も小説を書いていらっしゃるのですね。ぜひ、立ち寄らせていただきます。更新が滞っていることは、本当に申し訳ありません。全力で書かせていただきます。

では、失礼します。


Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.168 )
日時: 2013/09/23 17:11
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)

地面が抉れ、瓦礫の山になった建物。
戦闘が始ってから、辺りはもうめちゃくちゃになっていた。

「いい加減、出てけよ!」

「そうはいかない・・・ッ!」

「リズ!」

「平気よ!!」

レイシャが放ったダークファイガを軽く避け、攻撃をしようとしたリズは、突然の強力な闇によって弾き飛ばされた。炎の球が地面に着弾した途端に中から闇が周りに衝撃波として放たれたのだ。
守り体制を整えていなかったリズはもろにくらってしまう。
リズはグラッセの叫びにすぐに安心させるように答える。
しかし、強力な闇は確実にリズに効いた。

「(今までこんな攻撃、レイシャはできなかったはず・・・)」

リズは、内心焦っていた。今までレイシャが全力で戦ってもリズに勝てた覚えはない。さらに、大量に闇を扱えたことも。
ここはレイシャの心の中だから、後者は十分にあり得るだろう。だが・・・

「レイのやつ、いくらなんでも強すぎないか?」

カヤが疑問を呟いた言葉に、全員が頷く。
レイシャが強すぎる。本来はリズ一人に勝つことすらできていないはずだった。なのに、今のレイシャは5人も相手にして優勢に立っている。
なぜだろうか。しかし、レイシャは考えさせてくれないらしい。
新たに攻撃が飛んでくる。

「ええい!こうなったら、直接聞いてやる!」

ムーンの蹴りを紙一重でかわして距離を取ったレイシャに、交戦しながらずっと考えていたリズが叫んで距離を詰める。
突然の自体に驚いたレイシャが咄嗟に防御したため、周りに金属音が響く。

「あんたは一体こんなところで何をしているの!」

「ッリズ姉ちゃんには関係ないだろ!!」

「あるわよ!私はあんたの・・・レイシャの『姉』なんだから!!!!」

キーブレード越しに話をしていたレイシャが、リズの言葉を聞いて一瞬止まった。それをすかさずリズが押し切ってレイシャを弾き飛ばす。

「・・・あんたに何がわかるのさ」

起き上がったレイシャがポツリと、しかし全員に聞こえるように呟いた。

「いつも光が溢れているあんたに、俺の何がわかるんだッ!!!」

顔を上げて叫んだレイシャの瞳が怒りの中に不安や怯え、悲しみが混じっているのをリズだけがはっきりと見た。


その言葉は、レイシャが今まで誰にも見せなかった本当の心の叫びそのものであった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.169 )
日時: 2013/09/29 01:56
名前: ライヤ (ID: qDXfsznh)

レイシャが叫ぶと同時に闇の衝撃波を全員に向かって放たれ、そんな中、体制を立て直したカヤは呆然とした。
この世界を見て、きっとあこがれがたくさんあるとは考えていた。
まさか、こんなことを思っているとは知らなかった。

「レイ・・・」

思わずつぶやいて彼を見つめる。

「力があって、必要とされて、前を見て・・・ッ!!!」

リズを見ながら言うレイシャ。カヤはそんな彼の瞳に映る感情を見たことがあることに気がついた。

「(誰かに傷つけられたときに浮かべるもの?・・・いや、少し違う。そうだ、あれは)」

考え、思い出したのは過去、三人が巻き込まれたある事件でレイシャが暴走してしまい、カヤとアイズを傷つけてしまった時に浮かべたもの。
悲しみや不安や怯え、後悔。それにちょっとだけ憧れ。それらが入り混じった——今では皆の前で絶対に見せようとしない、本当の表情。

レイシャが頼ることが苦手なことは知っていた。カヤはレイが本音をもらいしたことがなかったことに、唇を噛み締めた。





Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.170 )
日時: 2014/09/10 17:13
名前: ライヤ (ID: LZQ7Wo2E)

レイシャの本当の想いに気がついたカヤはリズに向かってきたレイシャを間に入って受け止めた。双方が驚いて動きを止めている間にカヤは思いっきり叫んだ。

「お前に力がないなんて思ったことはないぞ!!!」

その言葉にレイシャがぴくりと反応し、カヤを睨みつける。

「気つけなくて悪かった。ごめんなレイ」

カヤが言い切ると、レイシャはその言葉に目を見開いて競り合いをやめた。それを見計らってレイシャを抱きしめる。

「だからなんだ。謝罪の言葉なんていらない」

「俺たちは、お前に力が無いなんて思ったことは一度もない。俺たち——俺とアイズはレイに助けられた。そしてここまで来ることができた」

「綺麗事だッ!結局力が無いからみんな傷つけてしまった。力があったらこんなことにはっ」

カヤの行動と言葉に戸惑いと困惑を隠せずにしどろもどろになりながらレイシャは反論する。
それを聞いて、カヤはレイシャと目線をあわせて話を続けた。

「レイがそう言っているのは、本当は羨ましいからだろう?守れなかったのが悔しいからそう言っているんだろう?」

「…俺は、そんなこと」

カヤの言葉に下を向いたレイシャは小さく震えた声で言うが、だんだん声が小さくなって最後の方は聞き取ることができなかった。

「お前、人のことは深入りしてくるくせに自分のことは本当に何も話さないからな」

レイシャは「だからレイ」というカヤの言葉に顔をあげる。

「これからは俺たちにも話してくれよ!親友だろ!俺たちはそんなに頼りないか!?」

「…ッ」

「やっとレイの本音が聞けたな」

「うん。ありがとう…カヤ」

レイシャは声を殺して泣き出した。カヤはそんなレイシャの頭を撫でて優しく語りかけた。
笑いながらレイシャはお礼を言うと闇となって消え、代わりに別の影から学生服を着たレイシャが出てきた。
それを確認した瞬間、リズがレイシャを抱きとめた。

「馬鹿!本当に心配したんだから!自分のこと抱え込みすぎなのよ貴方!!」

「…ごめんなさい。姉ちゃん。それからみんな、ありがとう」

お礼を言ったレイシャを見て、やっとみんな力を抜いたのであった。

「俺たち殆ど何もできなかったけどな」

「カヤとリズの見せ場だったよな」

「ま、誰だってひとつぐらいこういうことはある。だが本当に良かった」

「レイ、俺たちだって頼れよ」

「あぁ、ごめんな…カヤ」

グラッセ、ムーン、マーベルもこちらに集まった。そ
して、カヤは安心した顔で笑った。

「レイ、みんなも…聞いて 私の話。私は、ヴェントゥスの半身として生まれた」

レイシャはその言葉で顔が若干歪む。しかし、今度は逃げようとはせずに耳を傾けていた。それを確認して、リズは再び話し始める。

「私がそう言われる由来はね、父さんと母さん——ロクサスとナミネの情報を介して生まれた【ヴェントゥスのノーバディ】なの」

その場にいた全員が驚いた。

「でも、私は父さんと母さんの子供であって、レイシャの姉であることには変わりないのよ!」

リズはニコリとみんなに分かりかける。その笑顔のあと「だから」と言って、レイシャに向き直った。

「次は——レイ、貴方の抱えていることを私たちに教えて。今までどんなことを思ってきたのか。レイシャ…貴方の本当の正体(こと)——」

「…知っちゃったんだね」

「まだ内容は知らない。だから…話して、レイシャ」

リズが真剣な言葉で、レイシャははかない笑顔で頷いて静かに語りだした。

「俺は、人工ノーバディ——作られた者なんだ」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.171 )
日時: 2014/03/26 20:13
名前: ライヤ (ID: cSy8Cn7x)

「俺は人工ノーバディ——作られた者なんだ」

静かに告げたレイシャの言葉に、予想していなかった言葉を突きつけられた。

「俺は、ロクサスとナミネの遺伝子を混ぜて作られた。だから一応血は繋がっている。でも、姉ちゃんのように生まれたわけではない」

周りは悲しい気持ちになったが、それでも顔に出すことはしない。語っているレイシャの方が辛そうだったから。そこで、ふとムーンには疑問が浮かんだ。
人工で作られたということは機関が心の闇を最初から作り出そうとしたのではないか

「え、ちょっと待て、それならお前の『純粋な闇の心』は・・・」

「やっぱり気になるよね。俺自身そうだったもん。
でも、別に最初っから作ろうとしたんじゃないよ。生まれてから判明したってのは本当。副産物なのか、何か意図があってそうなったのかはわからないんだ」

しかし、ムーンの意図を読み取ったレイシャは否定した。意図はなかった。副産物かどうかすらわからない。
苦笑しながらレイシャは自分の心について知っている情報を伝えた。

「・・・ねぇ、レイシャ。あなたはいつからそのことを知っていたの?どう思っていたの?」

リズが優しい声で訪ねてきた。その顔はとても悲しそうで、心配していて。
それだけでレイシャの心は暖かくなっていくのがわかった。それを噛み締めて一度目を伏せると、優しい顔でみんなを見渡した。

「少しだけ、話すよ。昔のこと」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.172 )
日時: 2014/12/01 04:16
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)

「あれは・・・碓か3歳ぐらいの時のこと。偶然夢でヴィクセンの研究室にある資料庫の場所を知ってね。ずっと疑問に思っていたことを調べに行ったんだ」



「僕って、存在しちゃいけなかったんじゃないのか?」

レイシャは、ひとつの資料を目の前に開き、涙を流しながらつぶやく。
様々なところに忍び込むために磨いた人払いと声が周りに聞こえないようにする魔法を使っているため、誰も来ない。

なぜここにいるかというと、遡ること今朝——


「・・・はっ!」

レイシャは自分のベッドで目を覚ました。そして、夢で見た内容を思い出した。

「・・・なに?今の夢」

夢で見えたものは機関の城で、資料が一括にしてまとめられている場所のこと。行き方まで鮮明に残っている。

「(もしかしたら、僕が知りたいことがわかるかもしれない・・・!)」

それを思い出して真っ先に思ったのは、レイシャ自身がいつも疑問に思っていることを調べられるかもしれないということ。
調べたいことは多すぎるため、まずは最優先したい2つのことを考えた。

何故、自分に光がないのか。
どうして力をコントロールできないのか。子供だからといっても、限度があるのではないか。

レイシャはリズ同様に聡明で、既に自分のことでいくつもの疑問を持っていた。
そして、その疑問をより深めていたのが夢であった。

レイシャの記憶を操る力が覚醒したのは2歳半。それ以降人の記憶を夢で見ることが多くなったのだが、一番多く見てきたのが何十年か前のχブレード戦争の再来を目論んだ者の起こした事件のこと。

そう思っていたレイシャは、齢3歳でありながら早速行動をお越したのだ。


しかし、レイシャを待ち受けていたのは、考えていたことよりももっと残酷な現実だった。

「僕は・・・造られた?」

割合飲み込みの早かったレイシャは、字を教えてもらい、既に読み書きができた。そのために資料の中身をすべて読み解き終わった時、レイシャは絶句した。

自分に関する資料に書いてある内容は、とても信じたくない現実だった。今でも内容は覚えている。



レイシャ・ブラックノーバディ

ⅩⅢ機関No.16

誕生日:3月16日  魚座


ロクサスとナミネの遺伝子を使い、人工的に造ったノーバディであり、彼らの二人目の子供。
調べた結果、【純粋な闇の心】を有している。何故光の力を有する二人の遺伝子からこのような結果になったのかは今後調べればわかるだろう。
しかし、レイシャ自身が闇の力を扱いきれないようで、暴走をすることがよくある。まだ未完成なのだろうか。
感情が豊かなので、いい心の研究対象になり得るであろう。
うまく育てれば『悪意のない【純粋な闇の心】』という、前例のないものが出来上がるかもしれない。


まだまだ続くが、上文を読んだだけでも、様々な情報が乗っている。

「ヴィクセンは、研究対象として優しくしてくれてたのか・・・?みんなも・・・僕が人工ノーバディだから?」

自分がただ純粋にロクサスとナミネの子供でないということを知り、ヴィクセンの優しさが研究のためだと考えたレイシャは頭をハンマーで殴られたような衝撃が走った。

——君はここに何故いるの?——

問いかけてくる何かの声がする・・・いや、これは自分の声だ。

「(わからない。でも、ここに居たい。父さんと母さん、それに姉ちゃんがいるから)」

——でも、君は純粋に二人の子供じゃない——

「(やめろッ僕だって家族にはかわりないんだ!)」

——君はあの三人と違う。同じじゃないよ?——

「(やめろッやめろ!!)」

——だって、君は人工「やめろ!!!」ノーバディだから——

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

レイシャは声の言葉に心が砕けたような気がした。そして、たまらず絶叫して倒れた。


「・・・ここは?」

目が覚めたレイシャは、ボーっとする頭を振って周りを見渡す。少しずつ頭がはっきりするのにつれて思い出し、青ざめた。自分が何をしていたのか。自分が何者なのか。

「・・・!そうだ、僕は!!」

このままではいけない、ここに来たことがバレてしまうと、慌てて資料を元の場所に戻す。
幸いまだ二重にかけた人払いと防音の魔法が効いているようで誰も来ない。さっきの絶叫も届いていないようだ。

「・・・俺は、ここにいてはいけない。存在してはいけない」

一人つぶやき、闇の回廊を出現させると城を出ていこうとする。自分が去った10分後に魔法が溶けるように細工して。

「ありがとう。今まで楽しかった。でも、俺のことは忘れてくれて構わないから」

誰もいない研究室で家族や機関のみんなに言った後、闇の回廊がしまった。


「これからどうしよう。とりあえず、住める世界を探そうかな・・・、誰ともかかわらず、ひとりで——」

そう考えたレイシャは、氷で覆われた街から離れた場所についた。周りには誰もいない、人の寄り付きそうにない場所だが、この世界ならば闇の力を感じるし、自分がいてもバレない。きっと隠れられるだろう。

「・・・姉ちゃん、心配するかな」

ふと、家族のことを思い出してしまったレイシャは、これではダメだと、不完全な記憶を操る力で自分の記憶から機関のことや、家族のことをなくしてしまおうと考え、能力を発動させた。

「・・・え?あれ???」

レイシャは力を操っている内に、異変に気がついた。慌てて力を使うのをやめようとしたがその時には既に遅し。
力は暴発してしまい、全ての記憶がバラバラになる音が聞こえたのを最後に、意識を手放した。


一方、レイシャがいなくなったことに気がつき、彼を探していた機関員メンバーは、レイシャとナミネしか持たない記憶の力を感じてすぐに駆けつけた。
そこには気を失ったレイシャが倒れていた。

「レイシャ!おい、しっかりしろ!」

「急いで城に連れて帰るぞ!」

揺すっても目が覚めないレイシャを急いで城に連れて帰る。
そんなレイシャを迎えたナミネは真っ青になった。

「ナミネ?おい、どうした??」

「大変・・・!レイの記憶が全部バラバラになってる。直ぐに繋ぎ直さなきゃ・・・!」

記憶がバラバラになっていることに気がついたナミネが急いで繋ぎ直した。


「・・・ん?ここは・・・」

「大丈夫?レイシャ、私がわかる?」

「うん。お母さん」

目を覚ましたレイシャに声をかけると、しっかりとした答えが帰ってきてほっとした。どうやら最悪の事態は防げたようだ。

「しかし、どうしてあんなところで記憶が全部バラバラになってたんだ?レイシャ、お前は何かしたのか?」

「・・・?わからないや。でも、力が暴走したのはうっすらと僕も覚えているよ」

「そうか・・・。とにかく無事でよかった」

何があったのかレイシャにロクサスが聞くと、本人も覚えてないらしく、首を振った。



「この時、そうなってしまった原因の封印がうまくいったらしくてさ。母さんも気がつかなかったし、俺自身も忘れてたんだ。
でも、しばらくするとそれも弱まってさ。自分が人工ノーバディだということだけを思い出したから、世界巡りをすることで自分の存在理由を見出そうと考えたんだ。
あの時あったことを完全に思い出したのは、碓か5歳の時。
ちょうど落ち着いて、心に余裕が出てきた頃だったよ。」

それは、誰も知らなかったレイシャの物語。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.173 )
日時: 2014/11/30 16:57
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)




「それが、レイシャの真実なのね…?」

「うん」

「そっか」

リズはレイシャに問いかけ、頷いたのを見て小さく呟く。

「——姉ちゃんは」

「俺のこと、どうやって知ったの?」

話を聴き終えたリズは、静かに目を閉じて何も答えない。
それを見ていたレイシャは、何かを言いかけたのを首を振ってやめた。
しかし、リズが目で続きを促しているのに気が付いたレイシャは、視線を下に落として再び口を開いた。

「あなたの口から聞いて。ウラノスに言われて何かあるっていうのは聞かされたんだけど、内容は全部あなたから」

「…ごめんなさい」

「?」

「俺、このことは消滅するまで他言する気はなかったんだ。父さんと母さん、リズ姉ちゃん、カヤ、アイズ、皆…誰にも心配かけたくなかったのに」

視線を下に向けたままのレイシャは、繰り返し「ごめんなさい」と皆に謝まり続ける。
下を向いていると、何かに包まれた。

「ごめんね、レイ…。今まで背負わせちゃって、つらかったよね自分の知りたくない真実を知って」

それがリズに抱きしめられたのだと気が付くと、リズの暖かさに安心した。

「私を恨んでもいいから…これだけは分かってほしい。
貴方は私の大切な…正真正銘の弟だということを。貴方は、愛されている事を。望まれて生まれたことをね」

頭をなでられて優しいリズの言葉に、自然と涙が出てきた。頭を撫でられるなんて何年振りだろう。

「…ずっと、ずっと考えてたんだ、自分のことを知ってから」

レイシャが本当に小さい声でつぶやいた。

「リクによく言われていたのを覚えてるんだ…。俺を消せって父さんたちに言っていたの…。あぁ、俺は存在自体が悪…いちゃいけないんだなって…。
俺がいたら、皆に迷惑がかかる。
だから、世界巡りをして留まることから…皆から逃げた。人と深く関わることを避けた。
……避けていた、はずなのに。気が付いたら、いつの間にか——変わってた。大切なものができた。守りたいって初めて思った」

心に浮かんだのは、家族、友人、仲間…皆出会い方は違えど、失いたくない——かけがえのない大切な人たち

「なのに、守られるのは俺ばかりで…そのことを知るのは何もかも終わってから……気付いたら大切な人が傷ついてて…俺は、何もできなくて…いつも、傍観者だ…

辛いんだよ!大切な人が傷つくのを見るのはもう…たくさんだッ!

恨んでなんかいない!ただ…ただうらやましかったんだ…優しくて強い姉ちゃんが…俺も、そうなりたくて

——もう、守られるだけは嫌なんだッ!!」

レイシャが今にも泣きそうな顔でいう言葉を。皆は静かに聞いていた。




「レイ、落ち着いた?」

「…うん」

「よし」

涙も止まったレイシャが頷くのを確認したリズは頷いて一歩離れた。
そして、リズと入れ替わるようにカヤが、近づいて「レイシャ」と声をかけた。その顔は、とても真剣な顔をしていた。少し悲しそうにもしている

「俺、お前のことわかっているつもりだった。でも、ここに来て、本当は全然レイの心の中をわかってなかったって思った。」

カヤの言葉を聞いて、レイシャは自分も黙っていたことが申し訳なくて俯く。カヤは微笑み、だからと続けた。

「—お前のことをもっと知りたいんだ。友達になろう、レイシャ」

「あ…」

手をこちらに差し伸べるカヤを見て、レイシャは呆けた。
そのセリフは昔、なかなか警戒を解いてくれないカヤに対して、レイシャが口にした言葉だった。

「レイ、でいい」

そして、泣きそうな優しい微笑みを浮かべ、カヤの手を取った。あの時、カヤが口にした言葉を自分も紡ぎながら。

「…ごめん、カヤ。俺…」

「もういい…レイが無事でよかった」

二人のやり取りを、遠巻きに見ていた四人は微笑ましい光景を見守って、お互い顔を見合わせた。
きっと、レイシャはもう大丈夫。そう確信して

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.174 )
日時: 2014/09/15 20:17
名前: ライヤ (ID: LZQ7Wo2E)

「さて、そろそろレイシャの救出方法を考えないか?」

「あぁ、それなら俺、知ってるよ」

「「「「「はあ!!?」」」」」」

もういいだろうと思ったムーンは、ここに来た目的について提案した。
すると、レイシャがさらりと知っているといったことに、ならなんですぐに脱出しなかったんだといわんばかりの顔で全員が叫んだ。

「いや、思い出したって言ったほうが正しいかも。…お俺だってさっきまで全部忘れてたんだって!(汗」

考え込むようにして言っていたレイシャが、周りの反応に気づいて焦る。なんか皆オーラが…いや、いうのはやめよう。

「それに俺一人じゃ無理だよ!」

「無理?」

「つまり、外側から何かしらアクションが必要ってことか?」

「うん。幸い、俺は完全にこの光に取り込まれなかったからできることだ。それがなければ、俺はこの方法は使えなかったし。多分目覚めることもなかった」

理由を問い詰めると、どうやら外からのアクションが必要らしいが、其れよりも気になることをレイシャが言った。

「完全に取り込まれていない…?だが、お前はここで夢を見ているじゃないか」

グラッセが気になった言葉を聞き返す。
現に、彼はガイアによって現実の彼は光の中で眠りについている。しかし、レイシャは完全に取りこまれていないからこそ、この方法は使えると言った。

「夢——この世界は…完全に取り込まれていない証拠なんだ」

「…どういう意味だ?」

レイシャの言葉に全員疑問を持ちつつ、説明をマーベルが促す。すると、レイシャはリズを見て微笑んだ。

「この世界は、俺の心が完全に光に取り込まれないように守ってくれている最後の砦。家族が俺にくれた光の結界。世界として存在したのは…多分、俺のせいで出来た副産物だ」

「え…?ちょっと待て、つまりレイシャが取り込まれなかったのはリズやロクサスさんが光をくれたおかげ。そんでもって…このややこしい夢の世界はお前自身が作り出したってことか!?」

「そういうことになるかな。ごめんね☆……ぎゃっ!!?」

グラッセがまとめると、軽い口調で謝ったレイシャが…吹っ飛んだ。

「レイシャ!?(汗」

「おいおいおいリズ、いきなりだな(同じく」

「だって、なんかムカついたんだもん」

吹っ飛んだレイシャに驚いて駆け寄るカヤを横目にマーべルが呟けば、爽やかな顔をしたリズが言った。

「リズ姉ちゃんいきなり殴るなよッ!!!?」

「自業自得よ!それよりもレイ、方法って?」

「…外から、俺を包んでいる光の柱を壊してくれ。そしたら、俺がこの世界を壊す」

「わかったわ。なら、私たちはさっさと外に出ましょう」

復活したレイシャが文句を言う。
どうやらいつもの調子に戻ったようだと思い、リズは笑いながらそれをさらっと受け流した。
そして、真剣に方法を聞く。レイシャも切り替えて光の柱を壊してくれと頼むと、了承したリズが頷き、皆に促すと駆け出す。

「じゃ、レイシャ、後でな」

「必ず目を覚ませよ」

「覚めなかったらまた来るからな!」

一言ずつ声をかけてグラッセ、マーベル、ムーンも後を追った。
その横でレイシャを心配そうに見ていたカヤに気づき苦笑する。

「心配するなよカヤ。俺、もう逃げないから」

「どの口が言う…絶対だな」

「あぁ」

いつものように笑って頷くと、カヤはふっと笑ってから背を向けて走り出した。
それを見送ったレイシャは、後ろからの呼び声に振り向いた。

「……」

「もう、大丈夫だ。ずっと心の奥底ではお前がいたんだな」

振り向くと、そこにいたのはさっきリズたちと戦っていたレイシャがいた。それに微笑みかけ、無言の彼にレイシャは話しかけ、目を閉じた。
幼いころ、よく暴走して大切な人を傷つけたりしていた。それはレイシャの中でいつの間にか大きなトラウマとなり、自分自身も知らないうちに彼を—闇に対する恐怖心を作っていた。

「…俺、怖かったんだな。自分の力が。俺のせいで大切な人が傷つくのが」

「でも、もう恐れない。そうでしょ?」

「あぁ…」

目を開けると、彼はトラウマの原点となった年齢—4,5歳の頃のレイシャの姿をしていた。レイシャの言葉に彼は微笑んで問いかけた。

「俺、ずっと逃げてたんだな…自分の心からさえも。気付かなかった……いや、気づかないふりをしていた
でも、もう【後悔】したくない。今までのこと全部が今の俺を創っている…大丈夫。ちゃんと、受け止めるよ」

それに頷いたレイシャは、心に刻みつけるように彼に覚悟を宣言した。
 ——もう逃げない、己と向き合うと…。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.175 )
日時: 2014/12/01 15:11
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)

子レイとレイシャが話をしていると、この世界全体が振動した。

「…どうやら成功したみたいだね」

世界が震えたのを感じた子レイが言った。それにレイシャは頷く。

「さてと…この技、まだまだ開発途中なんだよな…。ま、心の中だしたぶん大丈夫だろけど」

「自分も守れるか微妙だけど…やるしかないよな」

ぶつぶつと呟きながら2本のキーブレードを構えたレイシャは、はぁぁ…とため息をついた。問題がありすぎて未だ開発中の技だ。
さてと、と気合を入れないして自分に闇で強化したバリアを張る。

「闇より出でたりし歌を 今こそ奏でよ——ヴェスペロ・アクート!!」

空中で集めた巨大な闇の玉に向かって、光の力を放つ。その瞬間、周りに超音波とも取れる高音と爆風が周りのすべてのものを壊しながら広まった。
その風景を見て、レイシャはやっぱこの技現実じゃ使えないと思った。

「…お別れの時間だね」

「そうだな。いろいろありがとう」

「今の君なら平気だよ」

子レイに挨拶をすると、どういう意味か問う前に、レイシャの意識は現実世界に戻された。
全てが真っ白に染まる直前、微笑んだ子レイの「僕からのプレゼントだよ」という声が聞こえた。








少し戻ってレイシャが見送った後——

レイシャの心の中から戻ったメンバーは、言われた通りに光の柱を壊しにかかっていた。

「なぁ、これって脆いって言ってたよな?」

「…魔法とか、強力な力が前提だったんじゃないか?」

壊れないな…と呟くグラッセの言葉にムーンが答える。マーベルはその発言を聞いて、愚痴りたくなるのも無理もないと思った。
戻ってきた当初、強力な魔法を打って壊そうとグラッセが魔法を放ったところ、ガイアの対策によって全魔法が無効化するようになっていたせいで攻撃を受けても無傷であった。

「こうなったらとにかく一点集中で狙ったほうが…」

「柱を壊したって無駄よ?」

『ッ!!?』

何とか柱を壊す方法を考えていたカヤの声に話しかける声が聞こえ、振り向くと、そこにはガイアが肩で息をしながら立っていた。

「…なんで疲れてるんだ?」

「どうでもいいでしょ…ったく、あの三人撒くの大変だったのよ」

マーベルが聞くと、ガイアは顔をしかめる。ちなみに、最後の方は誰にも聞こえてなかった。

「まぁいいわ。其れよりも坊やを助けるつもり?でも残念ね。もう目覚めることはないわよ」

「…ご忠告どうも。でもそれを俺たちが聞くとでも思っているんか?」

「それもそうね。坊やを回収して帰えるとするわ」

ガイアに武器を構えながらカヤが話す。
ガイアの言葉から、レイシャが完全に取り込まれていないということに気づいてないと見て、それを悟られないように言い放つと、肩をすくめたガイアはレイシャを連れていこうとする。それをマーベルが見逃すわけもなく、邪魔をした。

「…なぜ連れて行こうとする?」

「坊やは欠けた心を自分の闇で修復してたのよ。純粋な闇の心を人工的に作り出すことが目的だとしたら、とても完成度の高い子ね」

マーベルの質問には答えないガイアに誰かが殴り掛かる。
それを避けたガイアは、いったん距離を置いて殴り掛かってきた者—無表情なリズを見る。

「レイのことをそんな風に言うな。あいつは【物】じゃない。大事な弟だ」

「…悪かったわよ。お詫びに光の柱は解除してあげる」

リズの静かな怒りを垣間見て、ガイアは謝ると、指を鳴らして光の柱を撤去し、闇の回廊を出した。

「坊やはまたにするわ」

「待て!お前たちがやろうとしてるのは…ッ」

暗にいつでも回収できると言って帰ろうとするガイアにムーンが焦って声を掛けるが、ガイアはクスッと笑って答えず、代わりに一つ教えてあげると言った。

「光の柱を壊したところでもう手遅れよ。もともとそれは、取り込んだものを守るための自衛システムになっているのだから」

それだけ言うと、ガイアはまた会いましょうという言葉を最後に帰ってしまった。

「…」

ガイアが去ってから誰もしゃべらない静かな空間に、リズたちを呼ぶ声が聞こえる。

「…とにかく、ロクサスさんたちと合流しよう。話はそれからだ」

終始無表情なリズにガイアが去った後を見ているムーンを見て、グラッセは声をかける。
 先が不安で、なんだか胸騒ぎがするグラッセは、最悪な結果にだけはならないで欲しいと考えていた。


第八章終了

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.176 )
日時: 2014/11/29 18:18
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)

レイ「……俺の言いたいことがわかるか?(無表情&淡々としてる」

…はい(正座。
申し訳ございませんでした!!!

レイ「…それだけ?」

ごめんなさい。二度としません。許してくださいレイシャ様

レイ「俺に謝るな!リラさんたちに謝れ!!!」


——少し離れたところ———

カヤ「…レイが恐くて近寄れない(怯」

マーベル「というか、いつもだったら暴れるやつが暴れないってのが恐い。レイシャもだがリズも恐いほんとリズが恐い(同じく」

グラッセ「しかし、なんか今回重くない?」

ムーン「内容が内容だからな…こいつもシリアス展開好きだし」

カヤ「というか文章℃下手だからな…意味不明なことを書いてないかが」

グラッセ「それもうどうしようもないじゃん」

カヤ「はぁ…ん?これは…メモか。
『では、リラさんにバトンタッチします。遅くなって本当に申し訳ありません。次回、リズが現実に戻ってきてからずっと無言で無表情だった理由が明らかになります。』だそうだ」

グラッセ「遅くなりましたが、次回もよろしくお願いします。…ムーン、あとがきなのに空気が重いんだけど」

ムーン「…気にしたら負けだ」