二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 59章 さらば夏人達よ ( No.121 )
日時: 2018/02/13 21:21
名前: 霧火 (ID: OGCNIThW)


「お帰りなさい…って、あらあら♪」
「……母さん。そのニヤニヤ顔止めてくれ」

ライモンシティに着き、地下鉄から地上に出たアキラ達を出迎えたのはアヤネと、
リオとアキラのポケモン達だった。

アヤネはアキラの顔を見てほっと胸を撫で下ろすが、アキラの背中で寝息を立てている人物──リオに
気付くと、母親の顔から面白い事が大好きな少女の顔へと変わる。


「ふふ…リオちゃん気持ち良さそうに寝てる。それだけアキラの背中が安心出来るんですね」

楽し気に自分を見たアヤネに、アキラは目を逸らす。


「…言っとくけど、好きでおんぶしてるワケじゃねぇからな」

その言葉にアヤネは思わず吹き出しそうになった。
嫌なら後ろに居る青髪の少年や山男に頼めば良いのに、アキラはそれをしない。
今だってリオが起きない様に小さな声で話しているし、リオの頭が傾けば落ちない様に腕に力を入れている。


(素直なのか、そうじゃないのか…)


アヤネの含み笑いにアキラはムッと眉根を寄せた後、小さく咳払いをした。


「この話は置いといて、だな…電話で頼んどいた事だけど」
「お布団でしょう?勿論敷いてありますよ。アキラの部屋に」
「サンキュ…って、何でだよ!?」

眉根を寄せるアキラに、アヤネはこてん、と首を傾げた。


「特に理由は無いけど…ダメだった?」
「…ダメじゃねぇけど、もっとこう、何つーかさぁ……」

アヤネは俯いた状態で何やらブツブツと呟いているアキラから、黙ったままのナツキ達に視線を移した。


「ありがとう、ナツキ君にナツミさん。こうして2人が無事に戻って来れたのも貴方達のお蔭です」
「いや、…私は何もしていませんよ」
「ボクもだ。体を張って頑張ったのは貴女の子供と、呑気に寝ているそこの小娘だ」
「何もしてない、なんて事はありませんよ」

静かに首を振って否定したナツキと山男…ナツミに、アヤネは柔らかく笑いかける。


「どんなに行動力があっても、バトルが強くても…アキラもリオちゃんもまだ子供です。
 素性が全く分からない相手と対峙するのは、凄く勇気のいる事です。
 只でさえ誰の助けも届かない走る列車の中。言葉には出さなくても、
 2人の心は不安で一杯だったと思います」

言葉を区切り、アヤネはナツキ達の手を握る。


「貴方達の存在はアキラ達の心の支えになった筈です。だからどうか…自分を卑下しないで」
「…しかし、」
「……」

未だに表情が暗いナツキと、無言で握られた手を見つめるナツミ。
明るい遊園地の音楽や人々の笑い声が絶え間なく聞こえるライモンシティは、今は事件があったからか
静まり返っている。

その事が一層心を冷やして──


「俺は情けねぇ事に半分以上突っ伏してたから、偉そうな事言えないっすけど」

静寂を破ったのは、意外にもアキラだった。
全員の視線がアキラへ向けられる。


「四つの目は二つの目より多くを見る…っていう、ことわざがあるんすけど…ナツキさん達が来てくれて、
 本当にリオの負担は減ったと思います。言うの遅くなっちまったけど…ありがとうございます」

頭を下げたアキラにナツキ達は目を見開き──微笑んだ。


「…敵わないな。君にも彼女にも」
「全く…ボクの方がずっと年上だというのに」

そう言うと、2人は反対方向に歩き出す。
交互にナツキとナツミを見るアキラの頭に手を置き、アヤネが口を開いた。


「…発つんですか?」
「ええ。こんな事では、まだまだエリートになれない。各地を巡って、時間を掛けて力をつけるとします」
「ボクも今回の事を反省し、山籠りする」

ナツキとナツミは同時にアキラと、眠っているリオを見る。


「「君達/少年達に負けていられないからな!」」

そう笑って、夏の男達はそれぞれの道に向かって去って行った。


「……私達も帰りましょう」
「そうだな」


頬を撫でる涼風を感じながら、アキラ達もまた、ゆっくりと歩き出した──





申し訳ありません!まさかのスランプに陥ってしまい、更新が遅れてしまいました…
今回、話が進んでいませんね…ただナツキ達を励まして別れただけっていうね!←

最初は「母・ポケモンとの再会後、アキラがライモンジムに挑戦する話を書こう!」と
思いましたが、あくまでもリオが主人公なので、ジムバトルはリオに先駆けてやって欲しい…ってなって断念。
「じゃあアキラが特訓する話を!」とも思いましたが野生のポケモン相手にバトルするのも
イマイチ迫力に欠けるものが…と、グルグル考えた結果──

次 回 か ら 頑 張 ろ う 。

…って事で収まりました(えぇぇぇ
次回、ライモンジムに挑戦!それでは次回もお楽しみに!