二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 18章 リマvsマオ② ( No.39 )
日時: 2020/07/16 13:43
名前: 霧火 (ID: HEG2uMET)

「次はアンタの出番よ……スワンナ!」

マオの2番手は白鳥のような姿をした、白鳥しらとりポケモンのスワンナだ。
汚れの無い純白の翼を大きく広げて空を飛ぶ姿はとても優美だ。

「私は……そうねぇ〜エアームド、連戦お願い出来るかしら?」

リマの問い掛けにエアームドは静かに頷く。

「うふふ、ありがとう。私はこのままエアームドで行くわ〜」

そんな1人と1匹のやり取りを一通り見ていたマオは目を瞬く。

「母さんだから助言するけど、このバトルは先に相手のポケモンを3体戦闘不能にすれば勝ちで、
 交代は禁止じゃないわ。母さんのエアームドと、私のスワンナ……勝負はすぐにつく。
 ここは無難に交代させた方が良いんじゃないかしら?」

腰に手を当ててスワンナとエアームドを見比べるマオに、見学組(リオとアキラの事)も頷く。

「やっぱりダメージを負ってる分、エアームドが不利だと思うし……」
「スワンナは水・飛行タイプ。鋼タイプのエアームドと相性も良いしな」
「へぇ、スワンナって水タイプでもあったのね。知らなかった」
「ははっ、これでまた1つ賢くなったんじゃね?」
「ちょっと……頭撫でないでよ。髪が乱れるじゃない」

見学組の会話を鬱陶しそうに聞き流し、マオはリマを見る。

「もう1度言うわ。交代しなくて良いの?」
「エアームドが戦えるって言ってくれたんですもの、私はその想いに応えられる様に指示を出すだけ。
 ──交代はしないわ」
「そう……ならバトル続行よ。スワンナ!《熱湯》!!」

スワンナは上空から熱く煮えたぎる水を下に居るエアームド目掛けて発射する。
落下の勢いも加わり、水は早くもエアームドの目前まで迫っていた。

「これは避けきれないわね…それなら《ドリル嘴》で突破よ〜」

エアームドは瞬時に体を捻ると、ドリルの様に回転しながら煮え滾る水の中へと突っ込む。
そのまま回転を利用して突き進み水の中を突破すると、エアームドは鋭い嘴でスワンナを突き飛ばした。
衝撃でスワンナの白い羽が数枚辺りに舞う。

「確かにスワンナは鋼タイプの技には強いけど、それ以外の技で攻めれば何の問題も無いわね〜」
「……言ってくれるじゃない」

ニコニコと笑いながら断言するリマに、マオは冷や汗を流す。
マオはこの3年間、スワンナの素早さと特攻を重点的に上げてきた。
相性が悪い敵と当たっても相手の攻撃を美しく躱し、その翼と自分の戦績に泥を付けない為に。

そんなスワンナの《熱湯》を浴びたというのに、エアームドは呼吸が乱れてはいるが
ダメージは少なそうだ。

(ダメージを最小限に抑える為に、咄嗟に《ドリル嘴》の回転を利用する事を思い付くなんて……
技がエアームドに当たるまで5秒も無かったわよ!?)

普段のマイペースで、動きも喋りもゆっくりな母親を知っているからこそ、マオは今のリマに
恐怖に近い感情を抱いていた。

(だけど、ダメージが最小限に抑えられたのはこちらも同じ)

エアームドの《ドリル嘴》はスワンナの《熱湯》の中を突破した時には殆ど勢いが無くなっていて、
技は直撃したもののダメージは少なかった。


(そうよ。恐れる事なんて何も無いわ。母さんは強い。だけど、私だって強いし完璧じゃない!)

マオは自分を奮い立たせ、リマを見据える。

「こちらの方が有利な事に変わりないわ!《冷凍ビーム》よ!」

スワンナはエアームドの攻撃が当たらない且つ、自身の攻撃が躱されない高さまで飛び、先程の
《熱湯》とは対照的な凍える光を下に居るエアームドに向けて発射する。
その光を躱すのは流石のエアームドにも困難だった様で《冷凍ビーム》を背中から喰らった
エアームドは攻撃から抜け出せず、押される様に地面に叩き付けられた。

起き上がろうと翼を広げるが、疲労が溜まっているのか、すぐに地面に伏してしまう。

「随分粘ったけれど、これまでのようね!《燕返し》で終わりにしてあげなさい!」

スワンナは華麗に宙返りすると一気に降下し、物凄い速さで地面に伏しているエアームドに
接近する。

「《燕返し》は必中技──このまま行くとスワンナの攻撃は確実に当たる!」
「……っ」

リオが空唾を飲むのとリマが指示を出したのは、ほぼ同時だった。


「《岩石封じ》よ〜♪」

エアームドは上半身を起こすと、翼を広げて地面を殴った。
すると地面から大きく尖った岩が出現し、地面スレスレを飛んでいたスワンナを囲んで押さえ込んだ。

「『!?』」

突然体を押さえ込まれた事により、スワンナの攻撃は中断させられた。

「《岩石封じ》は岩タイプの技で、飛行タイプのスワンナには効果は抜群だ。それに、あの技には
 相手の素早さを下げる効果がある。つまり、」
「えっと、今の攻撃でスワンナは素早さが下がったから……今度はエアームドの方が速く
 行動出来るって事?」

「「つまり、エアームドの連続攻撃──!」」

何とか脱出を試みるスワンナだが、翼を両脇から抑えられているため身動きが取れない。

「接近戦に持ち込んだのと、高い素早さが裏目に出たわね〜……《鋼の翼》!」

エアームドは足に力を入れて起き上がると、硬化させた翼でスワンナを叩き付けた。
最初の《ドリル嘴》と《岩石封じ》のダメージ、そして今の《鋼の翼》によるダメージと、
飛び散った岩の破片により、スワンナの体は岩と共に崩れ落ちた。

「ありがとう…ゆっくり休んでね」

そしてエアームドもまた、力尽きてスワンナの横で倒れた。


リマvsマオ、2戦目は両者戦闘不能の引き分けだ。