二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.65 )
- 日時: 2012/04/01 15:29
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
「ったく、アイツ等何処に居んだよッ!!」
灰色の路地裏に空を切る音が響く。
漆黒の剣が人肌を貫けば当然の様に鮮血が飛び交う。こんな狭い路地裏で、命を懸けた殺し合いが繰り広げられていた。
うめき声を上げて倒れて行く黒い輩に表を歩く通行人は気付かない。
其れもそうだが。此処は“ライヴリーアヴェニュー”。西洋風の町並みで栄える、別名“ニュータウン”である。西洋の街とそう変わらない一言で言うと、明るい街。其れを連想させるこの街は、賑やかという連想用語では表せない位、活気だって居た。
只、この街はあの理想郷“失われた理想郷”の中に滞在する街だという事。なので、人々は魔族である。人間に近い者も居ればもう人間の姿形が一欠けらも残っていない魔族も居る。妖精も居れば狼人間などの動物人間の様な魔族も居る。
そう言った意味でも、ある意味活気だって居た。
「ツルギ、貴様は我々刺客が即排除する」
「———っは、んなデケぇ口叩いてる割には指一本俺に触れられてねぇけどなっ」
「貴様達、“革命者”等の排除は我々に命付けられている!」
「知るか!だったんなら何故俺達を呼んだッ!!」
激しく金属がぶつかり合う。この狭い路地裏に黒い服で纏められた少年と、同じ様に黒フードを被った少年達、約15名等が見えていた。
15名と言っても、もう立っていられるのは後4名だが。
ツルギ、そう呼ばれた少年、剣城京介はこの魔聖大戦に参加する魔族の一人だ。彼は“革命軍”という役割を持ってこの戦いに臨んだ訳だが、どうも限界した場所が悪かったらしく、他の仲間に会えないまま刺客達に見つかり、襲われながらも天馬達を探していた。
否、襲われると言うのはこの状況に合っていない。圧倒的に、剣城の方が押しているのだから。
「ったく、俺はアイツ等と合流するのに忙しいんだ。余計な面倒させないでくれるかっ!」
無駄にしつこい敵に、もう彼もキャラ崩壊寸前である。
「だあああああもう、邪魔なんだよっ!」
「ツルギ、排除!」
「黙れ!」
嗚呼皆様。かつてあのクールだった剣城が、此処まで馬鹿みたいに取り乱した事があっただろうか。あの兄さん大好きな剣城が、キャラ崩壊という重大な罪を犯してまで、こんなに怒鳴った事があっただろうか。此処までツッコミにキレがあっただろうか。
京介であって京介でない。一応格好良い台詞を並べてみるものの、とんだ無駄足だ。今はこの戦いに集中しようぜ。ほら、もう剣城が全員片付けたみたいだよ?
「また、時間が無くなる」
今まで戦っていた刺客達に目もくれず、剣城は腕の時計を見た。
そして欠伸をしてから、また歩き出す。天馬達を探す為、寝てないのだろう。
堂々と、相手の流した血溜りを踏み付け、彼は言った。
「早くアイツ等探さねぇと」
刺客達の血は、ちゃんと紅色をしていた、
18AD:( 漆黒色の革命者、 )
240401
京介口調がWAKARANAI