二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.69 )
- 日時: 2012/04/09 17:13
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
「ただいまー。」
「あ、マサキ。おかえり」
扉を開ければ、普通の家族とは打って変わって人口密度の高い家だった。
其れもそうだ。何故なら此処は、孤児院なのだから。
×
ピッとテレビの電源を入れれば、液晶のカラー画面が映る。最初に付いたのはニュースだった。俺は余りニュースは見ない主義なのでチャンネルを変えようと再びリモコンに手を伸ばしたが、其の行為は丁度目の前のニュースで取り上げられていた一件の事件が耳に入った事で阻止された。
“夜間連続暴行事件!”大きく見出しが表示された次の瞬間、現場が表示される。しかも其の暴行事件は此の街“ヴェネティア”通称“ニュータウン”で起きた事件らしい。背中に冷や汗が伝う。其の暴行事件の被害者の欄に、見知った名前が二つ、表示されていた。
「へぇ、最近の此処も物騒なんだな。オラ、マサキ。あんまし夜中に外放っ付き回ってんじゃねぇぞ」
「黙れ晴矢」
「お前の心配をしてんだ!」
此処の孤児院の名前はお日様園。一つ年上の口煩い晴矢と、ヒロトと風介とカノンなどが居る。皆、親に捨てられたり事故で家族亡くしたりで一人になった。そして此処に居る。勿論俺もだ。俺は前者の方だが。
もしも俺が将来誰かと付き合って、結婚して、相手の女に子供が出来て父になったら。絶対に俺の父さんや母さんの様にはならない様にと思っている。だから結婚するなら俺の我侭もすんなりと受け入れて貰える穏やかで優しい女と結婚したい。だが其れは全て理想であって、現実はそんなに甘くない。親に捨てられ誰からも愛されなかった子供は、将来子供が出来た時虐待や暴行をしてしまうという。俺もそんなになっちゃうのかな。でも其れはもし仮にとしての立場だし、まだ何年も先の事だから焦らなくても良いのだけど。
話が反れたが俺は最近ヒロト達に黙って此処を抜け出す時がある。そういうのは自由なので止められたりもしないが。この世界に来て数日が過ぎた。そして裏で密かに動いていたんだ、革命軍は。
俺は天馬君率いる“革命軍”に所属している。勿論この事は極秘だ。ヒロト達にも言っていない。この世界での革命は、此の世界を壊す事だ。此の世界を壊す=今の現実が現実では無くなる。一見悪者のする事だが、俺達は丸っきり「正義の味方」だ。此の世界を創っているのが“聖書管理組織フィフスセクター”。同時にこのゲームを裏で遂行させているのも、それだ。
「正義の味方」、俺達はそれであってそれでない。只の正義の味方なら、フィフスセクターという名の悪者を倒してそれでお終い。だけど俺達は仮にも「革命者」だ。「正義の味方」だけども、その前に「革命者」だ。悪者も倒すさ。だけど同時にデッカイ事を成し遂げならなければいけない。この世界を、壊したりとか。
俺達の目的は、悪者を倒し、此のゲームを完結させる。最悪の無限ループしているこの“殺し合い”自体を、消滅させる事が目的だ。だから、正義の味方なんてほざいていても捉え方次第で正義にも悪にもなれる。革命者は、人も平気で殺すし、余り正義の味方らしい事をしない。勿論俺達もだ。
何故なら俺達の目的は、世界をぶち壊して俺達の理想を完成させる事なのだから。
「っていうかさ、マサキ。君は毎晩遅く何処に行ってるんだい?」
「え、散歩だよ」
「ふーん」
ヒロトは見かけに寄らず案外鋭い。後を付けられて俺達のしている事がバレたらこの数日間やってきた事が皆無になってしまう可能性がある。其れだけは何とか避けたいから、今日はパスしとくか。後で天馬君に連絡して置かないとな。
此処で言ってしまって良いのだろうか、迷うけど、読者の皆さんを信じてちょっとだけ話してみようか。だけどやっぱり全部は話せないよ、ごめん。
最近此の街で不穏な動きが見えている。この島の世界全てを仕切っているのが、フィフスセクター最高責任者“千宮寺大悟”だ。多分本人では無いと思うが、この世界を創ったのがフィフスセクターだって事は聞いたよな?
フィフスセクターは此の世界でゲームを創って、大きい何かを成し遂げようとしている。あいつ等が裏でやっている事はもう把握済みだ。此のゲームを開催させる為に“聖書の願望の力”とやらを欲し、幾つかの町村を消して其の力に当てる。要は魔聖大戦の根源は魔族の命と言う事だ。
だがどうも奴等の動機が見えない。こんな馬鹿げた殺し合いをさせて、何かを得ようとしているのは確かなんだけど。どうも、其の何かが分からないんだ。
そもそも殺し合いをさせるのが間違っている。何処にも死んで良い命なんてないんだ。自らの野望の為に何十人もの魔族を虐殺して何十人もの魔族を殺させあう。結局残るのは最後の団体兼個人なのだから、何人何十人と死ななければならない。
俺達はそんなの間違ってる、平和な世の中を実現させる、という理想を持った魔族達が集まった、“革命軍”だ。
「それにしても、最近物騒だよね。本当にマサキも気をつけなよ?」
「俺よりも自分の心配しなよ、カノン。女の子なんだから、一番狙われやすいじゃん」
「私は風介が居るから」
「私か」
話が結構前に戻る。俺が見たテレビに映った二人の名前。“一乃と青山”だ。二人は此の「革命軍」のメンバーで、街の方に調査をしに行っていたはず。このニュースで流れるまで知らなかった俺は、只聞いていないだけなのか、それとも、犯人が勘付かれない様に仕組んだのか。
其れより前に二人の容態が心配だ。今度見舞いに行こう。
犯人は恐らくフィフスセクターだろう。天馬君は見たかな、このニュース。後で一緒に聞いてみようか。でも何でだ?集団リンチだったらしい。たまたまか?否違う。なら何で?
俺は気が付いた時にはもう、受話器を片手に握り締めていた。
「あ、もしもし天馬君?———俺だけど」
19AE:( おひさま園。 )
240409
今日は登校日でした。今日から私も二年生です。あー3組だったよ、仲良い人とはなれたけど、男子嫌だな。
激しく4組が良いと叫ぶさくらでした。だって4組完璧なんだもん!