二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 中篇が始まる予感。。。 ( No.84 )
日時: 2012/04/25 20:47
名前: さくら (ID: te9LMWl4)

 何と言うか、幸せな時間が過ぎたと思う。私は最近転校して来たばかりでまだ各教室の場所も覚えていないそんな時だった。
 その日は提出物などが多くて少し日が暮れそうになるまで学校に残っていた。先生は職員室に居て、面倒だったけど終えたら職員室まで届けなければいけなかった。提出すると其れをざっと見た先生は「うん、帰ってよし」と偉そうに言うもんだから、軽く返事をして出て行った。

 すっかり予定の時間より遅くなっていて、空の夕焼けが眩しい時間帯。何処の部活か分からない声が辺りに響き、校舎からは吹奏楽の軽快なリズム音が重なる。何と言うか、放課後って感じだ。
 ふとグラウンドの端を通った。只正門を通って帰るよりそっちの方が近かったというだけ。只それだけ。


「うおっ!?」


 ビュンッ、と風を切る音。後何ミリ位で私の鼻は圧し折られてた、と思う。其れ位私の顔前を通ったボールは風に乗っていた。吃驚して!?っていう記号しか浮ばない訳じゃ無いのでコロコロと転がったそのボールを拾い上げる。
 まさか態とか!?転校生が調子乗ってんじゃねえよコノヤローっていう奴か!?あはは冗談きついぞ、んな訳無い…じゃ、ん。

 良く見ると此れはサッカーボールらしく、後ろから「すみませーん」と軽い謝罪が降って来た。否もっと謝れよ鼻潰れそうになったんだぞ?もっと謝れそして償えや。とは言えず、「いいや、大丈夫です、此方こそごめんね」と言って顔をあげた。

 ボールを取って、蹴りながら走って行く彼を暇だから見ていたら、もう目が離せなくなっていたなんて理不尽な話だ。

 こういう時はどんな表現をすれば良いのだろうか、今一良く分からない。と、いうかこういう感情に慣れていないのだから当たり前だ。所詮、一目惚れっての。
 肩まである綺麗な青い髪は後ろの夕日に良く映えていて、目つきは悪いけど瞳は大きくて、顔は整っている方だと思う。彼の顔に惚れたんじゃない。彼のサッカーをしている姿に惚れたんだ。
 だって、凄い。すごいすごい。決して背が高かったりとか言う訳じゃないのに、彼の柔軟性を見事に生かしていた。アクロバティックにバク転をしたり身軽な身体を自由自在に操る。運動があまり得意では無い私にとって、それは楽しいに過ぎなかったんだ。見てるこっちも楽しくて、混ざりたいと思ってしまう。転校してきたばかりで友達もまだ居なくて、忙しかった私にとって、それは凄く嬉しい出会いだった。
 本当に、すごい。かっこいい、真っ赤に染まる私の頬は今、夕日が上手くカバーしてくれているだろう。




 (( 空っぽの頭で目蓋にうたうの ))

240425
続く…かも?狩屋中篇になるかもしれません。
狩屋夢。主人公は少し変わり者かも。名前は固定でサクラ。