二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*神将と月将を使役せす者達* ( No.6 )
日時: 2012/01/28 12:44
名前: 翡翠 (ID: S0MI/6xp)

◆ ◆ ◆

大百足の一件を傍観している者が数名、その屋敷の屋根に佇んでいた。

「チッ……あんな子供が朝陽の実の娘だと? 笑わせるな」

忌々しそうに発せられた声は長身で蒼い髪と鋭く細められた、藍の瞳が印象的な男のものだった。

「そうね。宵静……私達が手を差し伸べるのはまだ先、ね」

それに答えるように発せられた声は、水面の澄んだような美しい声音で、銀に輝く長い髪と細められた碧の瞳が印象深かった。
彼女が言葉を発する度に空気が澄み渡るようだった。

服装は二名とも軽装の鎧に薄い着物のような変わったものだったが、二名の男女にそれぞれよく似合っていた。

「……一旦、天海へ戻るぞ」
「ええ」

天海……十二月将のみが入ることの出来る聖域。
都とも繋がりのある場所で、主に呼ばれない十二月将は基本此処に集っている。
十二神将の集う天界とはまた別の聖域であり、“裏”と“表”とも言える場所である。

彼等十二月将達が何を思い、何を信じ従うのか。
それは各々の胸の奥にある、が。
その思いに値しない主を主と認めるほど彼等の意思は軽々しいものでは決してないのだ。

例えそれが、今は亡き主であった玉依姫の願いと思いであっても。
——彼等の主たる人間は自らの目で見て、見極める……それが、彼等十二月将の誇りと誓いなのだから。

◆ ◆ ◆