二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 私はただの平凡主義者です。 【REBORN】 ( No.10 )
日時: 2012/06/07 21:34
名前: なゆ汰 ◆TJ9qoWuqvA (ID: 6vo2Rhi6)

「東城さん、次移動教室だよ。一緒に行こう?」
「……、……(ぼーっ)」
「東城さん?どうしたの?」
「…え。…あ、う、…うん。ごめんね、行こうか」


笹川さんの声で、一気に覚醒する脳の中。可愛い子は偉大だとチンプンカンプンなことを思いながら、席を立つ。笹川さんは「変な東城さん」とふふっと笑いながら私の横に並んだ。…訂正。可愛い子は神だ。私が先程ぼーっとしていた理由。もうお分かりだろう(分からない人は前話へGO!)。それは、リボーンくんのことであった。リボーンくんの言葉を簡潔にまとめるとこうだ。「ファミリーに入れ。拒否権はない。」彼は私が何よりも平凡を望んでいることを知った上でそう言ったらしい。ならばなおさら困る。マフィアなんて、非凡といわずして何というのだ。そんな非凡な日常、お呼びではない。私にとって非凡な生活とは、「沢田くんが実は優秀でした」ということくらいありえないことだ。

今まで普通で平凡だけどそこそこ良い生活をしていた、ただの凡人に、人殺しになれと?涙が込み上げる。非凡なんて、望んじゃいなかった。イヤだ。イヤだイヤだイヤだ。ファミリーになんて入らない。そのファミリーが、普通の家族という意味だったならどんなによかったか(まあ家族になれといわれても吃驚だが)。けれど現実は違う。ファミリーとは無論、マフィアのことなのだ。


「?なんか東城さん、元気ないね。何かあったの?」
「…心配してくれてありがとう、笹川さん。けど、大丈夫。ちょっと考えことしてただけさ」


笹川さんが、純粋で穢れを知らない笑顔を見せる。私には、無理なこと。随分昔から穢れを知っていた私には、そんな笑顔つくれない。引きつる頬を強制的につりあげて、苦笑い。どうして、うまくいかないのだろうか。努力は実る?そんなこと誰が言ったのだ。ソイツぶっ殺してやる。どれほど努力をしても実らないことなどたくさんある。例えば、その純粋な笑顔とか。私にはどんな努力をしてもつくれない。
例えば、平凡な日常とか。私にはどんな努力をしても平凡には暮らせない。


私は、平凡に〝なりたい〟けど〝なれない〟哀れなピエロだ。平凡の仮面を被った道化師同然の人間。

人はそんな私を嘲うだろう。けれどどうしても手放せないというものが私にはある。だから今だけは悲劇のヒロインを気取らせてはくれないか。



@欠陥とは、不完全であることだ。(標的08)