二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.21 )
- 日時: 2012/07/05 19:42
- 名前: なゆ汰 ◆TJ9qoWuqvA (ID: 6vo2Rhi6)
「やれやれ。また幼いオレが10年バズーカを撃ったらしいな。ああ、お久しぶりです。若きユウさん。」
「……どなたですか。」
いやまじ誰。天然パーマだろうか、くりんとした髪の毛と、垂れた目、目尻につく〝#〟のマーク、はだけさせた牛柄のシャツ。無駄にたれ流し状態の色気。以上が目の前にいる青年への感想だ。色気くれ。休日だからという理由で散歩し始めたらこれだ。爆発音とともに現れたこの色気ムンムン青年は、もう一度「やれやれ」と首をふると、私の手をとってキスをした。ちょ、キザ!こいついつか恋人に「君の瞳に乾杯」とか言いそう。てか言う。てかもう言ってるかも。とにかく誰。
「オレはランボですよ。」
「ランボって誰です。」
「やれやれ。……この時代のユウさんはまだ幼いオレに会ってないらしいですね。この時代の——つまりユウさんのいる時代のオレは被弾してしまうと10年後の自分と入れ替わってしまうという10年バズーカに被弾してしまったのです。だからオレは幼い自分と入れ替わってこの10年前の世界にきた。」
非科学的な話だな。そう考えつつも、冷静に話しを聞く。あの赤ん坊に会ってから、こういうことに驚かなくなった。それに、信じるようになった。はたしてこれはいいことなのか、悪いことなのか。とにかく私は無表情のまま、口を開いた。
「つまり君は未来の人間?……逃げていいですか?」
「何でですか?」
「見るからに非凡そーですからね。どーせマフィア絡みにきまってる。」
「やれやれ、やはり未来ではボンゴレの参謀なだけあります。」
ランボさんがまいったという風に両の手をあげた。
——今、なんて。なんて、言った?〝未来では、ボンゴレの参謀〟?うそだろう。私がマフィア?そんなバカな。きっとうそに決まってる。おそるおそる、ランボさんに聞いてみる。何となく、こわくなった。額に汗がぽつりと浮かぶ。
「私、マフィアなんですか?」
「…?何言ってるんですか?貴女が自らボンゴレに仕えると志願したのですよ?」
「……うそだ。うそ、だ…。」
あれだけ平凡を望んだはずの、私がマフィア。私にはつらい事実だった。聞かなきゃよかった、と後悔の念が私に押し寄せてくる。しかも、自らボンゴレに仕える、だなんて。私が自ら非凡に手を染めたなんて、ありえない。ありえ、ない。私はランボの制止を振り切って、一気に駆け出した。「どうして逃げるんですかー!…が・ま・ん…!」と、涙ぐむような声が聞こえたが、気にせず逃げた。
「っっはあっ、私、が…マフィ、ア…っ!!…っは、ありえない…!」
そんなこと、あってはならない。非凡に手を染めるなど、あってはならない。私の中での、禁忌——タブーのはずだった。なのに、何故。何故、未来の私は、ボンゴレの参謀なんかに。
視界が滲むのを感じつつ、思う。
こんな結末は待っていなかった、と。
@知らぬが仏であると知ったのは(標的14)