二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブンgo 〜もう一つの物語〜 ( No.2 )
日時: 2012/07/16 23:48
名前: ぽぽりっち (ID: npB6/xR8)



「・・・あっつ・・・」

サンサンと照りつける日差しの中、天馬たちは土手道を走っていた。
額から滝のように汗が流れ、それをぬぐいながら足を前に出す。

「やっぱり暑いときは、ランニングも大変だね〜」

柔らかな笑みをむけ、影山は天馬に声をかけた。
天馬は「そうだね」と肩をすくめる。

「話してると辛くなるぞ」

剣城は顔をしかめながら二人に言った。
さすがの剣城も、この暑さはこたえるらしい。
表情は険しくなる一方だ。

「でも一年生だけ町内5周だなんてさ〜」

信介は「もう疲れたー」と声をあげる。

そう、今走っているのは雷門中サッカー部、一年生のみである。
文句を言いながらも足を止めないのは、彼らしいともいえるが。

「ハァ・・・ハァ・・・」

極端に荒い息遣いが聞こえ、後ろのほうを走っていた信介は振り返った。
最後尾を走っていた狩屋が、膝に手をあて立ち止まっている。

「狩屋、大丈夫?」

天馬もそれに気づき、彼のもとへと駆け寄った。
剣城や影山も後へと続く。

「うん・・・ごめん」

狩屋は嘘くさい笑みを浮かべた。
汗びっしょりの彼は肩で息をし、どう見ても大丈夫ではない。

「どうしたんだ?珍しいな」

剣城は狩屋を土手の川沿いに連れて行き座らせると、そう問いかけた。
彼がこのように思うのも無理はない。

狩屋は本来、運動神経がとてもよく持久力もある。
皆こんな姿は見たことないのだ。

「熱中症かな・・・。休めば治るから皆先に行ってて」

狩屋は周りを見上げ言った。
天馬は声を荒げる。

「何言ってるの!?おいていく訳ないだろ?」

剣城もうなずくと、狩屋に背をむけてしゃがみこんだ。

「のれ」

ぼそっとそう付け足す。
おんぶしようとしているようだ。

「い、いいって!」

狩屋は黄色い瞳を見開いてから、ぶんぶん頭を振った。
そしてまた微笑みをむけた。

「邪魔したくないんだ。終わったら来てくれればいいしさ」

背中に乗ることを断固拒否し、狩屋は言う。
そんな様子に違和感を覚えながらも、剣城はため息交じりに腰をあげた。

「そこまで言うなら分かった。絶対ここから動くなよ」
「剣城!」

それは嫌だとでもいうように顔をしかめる天馬に、剣城は小さく口を開く。

「天馬、本人もこう言ってるんだ。すぐ向かえにくればいい」

確かに本人が動かなければ埒があかない。
天馬は不満そうだが「そうだね・・・」と呟いた。
一年生たちは走り出す。

「じゃあ狩屋!動かないでねー、すぐ戻るからー!」

信介は上半身をそり、狩屋に大きく手を振った。
狩屋もそれに返すように、ゆっくりと掌をゆらす。

そしてみんなが土手をおり見えなくなった頃、何事もなかったように立ち上がった。
汗びっしょりだったはずなのにそんなことはなく、呼吸も落ち着いてる。

あたりを軽く見回して、右手首につけていたリストバンドを外した。
そこにからまるで、通信機のようなものが現れる。
狩屋はそれに顔を近づけた。

「ガーネット様、こちらラルです。松風天馬と思われる人物の特定に成功しました」

淡々と話す彼のその瞳は、青く光っていた。