二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブンgo 〜もう一つの物語〜 ( No.7 )
日時: 2012/07/21 23:11
名前: ぽぽりっち (ID: npB6/xR8)




「霧野のやつ・・・おそいな」

神童は心配そうに、時計とドアを交互に見た。

霧野が狩屋を迎えに行って、もう1時間以上たっている。
いくらなんでも「遅すぎる」と、神童は腰を上げた。
ガタッ音を立て、天馬も立ち上がる。

「神童先輩・・・やっぱり俺たちも行くべきですよね」
「ああ、そのつもりだ」

神童はチラリと天馬を見るとうなずいた。

三国は少々苦い顔をして、「俺たちはいかなくていいのか?」と神童に問いかける。
神童はなにも言わず、またも天馬に視線を注いだ。
天馬はハッとして口を開く。

「だ、大丈夫です!皆さん練習していてください!」
「そうか。気を付けろよ」

三国はキャプテンである天馬を、今度はしっかりと見据えた。
そして部員たちを振り返り、「練習を再開するぞー」と叫ぶ。

「行こう、天馬」
「はい」

神童はそう言うと、足早に歩き出した。
それについていくように、天馬も雷門中を後にする。
1年生たちが最後に狩屋を見た場所、あの川岸へと向かった。

「あっ」

何かを見つけたかのように、天馬は声を荒げた。

「どうし・・・」

神童も目を見開く。
驚いたように瞳が揺れていた。

「狩屋!」

天馬と神童は同時に叫ぶ。
彼らの視線の先には、ぐったりと倒れこんでいる狩屋がいた。

慌てて駆け寄り、神童は狩屋の上体をおこす。
狩屋はハアハアと呼吸が荒く、汗もびっしょりで脱水症状をおこしていた。
暑さのため人通りが少なくなっていたせいだろう。

「熱中症ですか・・・?」
「いや、日射病だ。救急車!」

神童は声を張り上げ、天馬はもうスピード走り去っていった。
部活着だったため、携帯を持っていなかったのだろう。

「狩屋、大丈夫か?」

天馬や救急車を待つ間、神童はそう呼びかけもっていたタオルで狩屋の汗をぬぐった。
ゆっくりと彼の体を寝かせ、川の水でタオルを冷やし触れさせてやる。
川岸でできることは少なかった。

「・・・くそ」

神童は小さく呟く。
その声はまわりでなきわめく、セミの声でかき消されてしまう音量だった。

あたりを軽く見回し、あの人の姿がないことを確認する。

「霧野・・・どこに行ったんだ・・・?」