二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 織田信奈の野望  ( No.2 )
日時: 2014/08/31 06:24
名前: ぜにがた (ID: vokdlDRO)

藪を掻き分けると目の前には戦国ゲームと同じ風景が広がっていた。
風にたなびく軍旗、駆ける騎馬隊、あがる雄たけび!
龍介は姿勢をさらに低くして、ほふく前進で少し後ろに戻った。
(わけがわからない、映画の撮影場所にでも紛れ込んだかな?)
(まぁいい、ここにいても仕方が無いとりあえず移動しよう)
龍介は藪に沿って移動し始めた。
すると少しいったところに黒い塊が落ちていた。
(あれは・・・)
龍介は記憶を探り、そして

「俺のバックか?!」

と、ほとんど飛びつくようにバックを取る。
中に手を突っ込み、手の感触だけでM9を取り出し腰のホルスターのいれた。
しかし、ほっとしたのもつかの間、急に藪が左右に分かれると、一人の足軽が前から歩いてくると目の前に倒れてきた。
龍介は隠れていた茂みからとびだすと、小さな足軽に駆け寄った。
龍介は高校生で実力を買われ、自衛隊に入隊を許可された最年少記録の保持者である。
入るときの入隊テストに傷ついた兵士の対応の仕方があったので、ほとんど無意識に行動していた。

「おい!大丈夫かよしっかりしろ!」

手際よく傷を確認しる。
足軽の鎧には二箇所の穴が開いていた。一発は胸の近く、もう一発はわき腹に当たっている。

「うっ! ぐ・・・」

どうやらまだ意識はあったようだ。
しかし、薄く開けられた目は焦点が合っていない。

「ぼ・ぼうず、織田の陣地がどっちにあるかしらないみゃあ?」

「織田の陣地?」

織田ってあの織田信長のことか?

「わしは木下藤吉郎ってもんだ。織田に志願しようと今川方から逃げてきたんだが、途中で見つかってしまってのう・・・」

自分の経緯を話していた藤吉郎だが、龍介はそれどころではなかった。
木下藤吉郎!? それって確か豊臣秀吉じゃ無かったか?
(けど・・・この傷は・・・)
藤吉郎の受けていた傷は致命傷だった。
そのとき藪の向こうから、人影が近づいてきた。
それを見た藤吉郎は、鞘を杖代わりにして立とうとした。

「すまんな・・・、どうやら巻き込んでしまったようみゃあ」

目の前に立ちはだかった足軽は4人、どうやら藤吉郎の追っ手らしい。

「やっとみつけたぞ・・・んっ?何だお前は?」

龍介は、藤吉郎を無理やり座らせると、ナイフを抜き、逆手に持つと立ち上がり叫んだ。

「それ以上近づくな。後一歩でも踏み出したら容赦はしない」

しかし

「ハハッ。何を言っているんだこの坊主は」

とずいっと近づいてきた。

「・・・警告はしたからな?」

龍介はバンッ! と右足で地面を蹴り、距離をつめた。
そして一人目に上段蹴り、その足を軸に、二人目に裏拳、そしてそのまま三人目に正拳突きを繰り出した。
最後の一人は刀を抜くと、雄たけびを挙げながら突進してきた。
(これで戦意がうせないなんて・・・なかなか・・・)
龍介はその全力攻撃をナイフを持った右手だけで受けた。
ギャリリン! という不協和音が響く。
鋼鉄の刃に超合金で出来た刃がめり込むのを感じた。
果たして、日本刀は根元10センチを残して、無くなっていた。
刃を見つめながら呆然としている足軽は、首下に手刀をねじこむと崩れるように倒れた。
龍介はナイフを鞘に納めると、目を丸くしている藤吉郎のところに戻った。

「お・お前さんえらい強いのう」

「おみゃあ・・・・・・、わしの一国一城のモテモテの夢を・・・継いではくれぬか」

そろそろ限界らしい、ろれつが回っていない・・・
龍介は方ひざを付いて笑いかけた。

「一国一城の持ち主になってもモテモテになるかは怪しいぜ?おっさん。
まぉいいぜ、ここであったのも何かの縁。おっさんの夢、俺が継いでやるよ」

「そうか・・・頼んだぞぼうず

そうゆうと大きく息を吐きだし、止まった。
こと切れた。
天下の大将軍、豊臣秀吉は足軽のままこの世を去った。
まぶたをそっと閉じると、龍介は立ち上がった。
しかし、後ろから突然声が聞こえてきた。

「藤吉郎氏は死んでしまったか。南無阿弥陀仏で、ござる」

龍介は流れるような動作で、ナイフを抜くと後ろへ切りつけた。