二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 織田信奈の野望 うつけ姫と未来の最強軍人 ( No.7 )
日時: 2014/08/31 06:26
名前: ぜにがた (ID: vokdlDRO)

(いやぁ、本当に運が悪い。)
龍介は心のそこからそう思った。
いや、思うしかなかった。

「なんで、なんで藪から出たらいきなり・・今川の陣地なんだよ!」

現在、龍介は逃走中。
追っては元康(大将っぽい今川の女の子がそう呼んでいたのでおそらくそうだろう)率いる軍勢50の弓矢隊。
こうしている間にも、空からは雨のように弓矢が降ってくる。
避けることは容易いが、とにかく数が多い!

「そういえばさっきあった女の子が今川義元か?」

龍介は走りながら隣を、まるで滑るように走る五右衛門に話しかけた。

「そうでござるが、どうかしたのでござるか?」

「後ろを追っている松平元康(?)、もそうだがなんで女なんだ?」

「大将はいつも命の危険にさらされているので、女でも大将にするでごじゃる。なので姫武将と言うものがそんじゃいちまちゅな。織田の大将も姫武将ですじょ」

納得しながらも、こっそり頭のメモに{五右衛門は30文字ぐらいが限度}と書き入れた。

「そうか。ところでいつまで後ろの連中は追っかけて来るんだよ」

「そろそろ陣地が終わるので、そこで逃げ切れるでござろう」

「それは助かる。さすがにこんな無駄な鬼ごっこにも飽きてきたからなぁ」

「おにごっことは?」

五右衛門が首をかしげて聞いてくる。

「ごめん、こっちの話だ」

「おっ、そろそろ戦場ど真ん中じゃないか」

少し先で金属がかち合う音が聞こえてきた。

「このまま織田の本陣に行くとしますか。雇ってもらいに」

「がんばるのでござるよ風間氏」

その後、追っ手を振り切った龍介は、疾風のごとく戦場をかけていた。
刀や槍は手甲の着けた腕で弾き、飛んでくる矢は体をひねってかわす。
おそらくこの戦場でこんな事をしているのは、龍介だけだろう。

「おし!ぬけた!」

そうこうしている内に戦場を抜け、とうとう織田の本陣の目の前までやってきた。
しかしどこから入ろうかと考えていた龍介の耳に、聞き捨てなら無い言葉が。

「て、敵襲だー!今川の軍勢が奇襲をかけてきたぞー!」

龍介は最初を幕をナイフで破り、駆け出した。
(さすがに秀吉に続いて信長が死んだらやばいぜ!)
急げ急げと心をせかしながら、とうとう最後の幕を破り戦いの場に突っ込んだ。
すぐに状況を確認する。
(織田の兵が二人、対する今川の兵は七人か)

「の・信奈様!早くお逃げに! ぐはっ!!」

「くっ!また一人!・・・」

龍介は最後の一人と織田の大将の前に飛び出した!

「さっさと大将を連れて逃げろ!」

「し!しかし!」

「早くしろ!」

苛立ちを覚えながら、大声で叫んだ。

「ーーっ!さぁ大将今のうちに!」

(よし!これで・・・)
しかし振り向いた視界の端に、種子島を構えた敵の姿があった。
(くそっ・・・)
ダーン!!

「ぐふっ!」

鉛玉を胸に受けた最後の兵士は前のめりに倒れた。
これで大将を守るものはもう何も無い。
もう二人目の敵が大将に種子島を向け・・・
龍介は叫んだ。

「もう撃たせねーぞ!!」

ベルトにはさんであった小刀を片手で抜くと一瞬の動作で投げた。
投げた小刀は、種子島を持っていた兵を含む5人の肩や腰を貫いた。
仲間を5人もやられた残りの2人は刀を抜くと、龍介に襲い掛かってきた。
(よし、これなら・・)
体勢を立て直し敵を正面に捕らえると、右手を前に突き出して構えを取り、片方の兵の手首を力強く掴む。
そしてひねりながら軸足を蹴り上げる。
バランスを失った敵は、きれいな弧を描き、背中から地面に叩きつけられた。

「−−−っが!?」

「あと一人!」

最後の一人は、目の前のことを理解できなかったのか反応が遅れた。

「もらった!!」

龍介は体勢を低くすると、諸刃突きを繰り出した。
拳は相手のわき腹に食い込み、あばら3本をへし折った。
今立っているのは大将と龍介本人のみ。
こうして龍介は一人で7人もの相手に、勝利を収めたのだった