二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 織田信奈の野望 ( No.11 )
- 日時: 2012/11/27 18:00
- 名前: ぜにがた (ID: 5QvnJaR.)
美濃の蝮こと、斉藤道三。元は商人だったが、今では美濃を治める大名である。
「信奈様は、道三の娘を義理の妹に貰い受け、縁戚関係を築く予定なんだ」
「なんでいちいち妹を?」
「この戦国の世では、口約束ほどアテにできないものはないからな。妻を娶るか、妹を貰うかして、はじめて同盟を結ぶんだ」
その後、勝家から今の尾張の情勢を教えて貰った。
尾張は経済的には豊かだが、国がまとまってない上、兵が弱い。
そして現在、海道一の弓取りと名高い今川義元と合戦中。
しかし兵力差が圧倒的な為、隣国の美濃と同盟を結ぼう、ということだった。
「せめて国だけでもまとまってたらなぁ」
勝家はハァと、ため息をついた。
「勝家、ため息をつくと皺が増えるぞ」
「なっ、私はまだ18だぞ!」
またしても槍攻撃、しかし
「そうか、じゃあ年上だな、ヨロシク先輩」
と、軽い口を叩きながらよけるよける。
「ハァハァ、なんてすばしっこい、やっぱりサルだな」
「サルじゃねぇって! それに今ほとんど動かなかったぞ」
実際、龍介は最小限の移動で、槍をよけていただけだった。
「ならなおさら不気味、やっぱサル!」
なんか俺、自分でサルだって言ってるみたいだな。
「ほら、正徳寺につくぞ。いいか、着いたら信奈様から目を離すなよ」
「へいへい」
正徳時。
ここは美濃との国境付近にある、両国の軍勢が立ち入れない非武装地域だった。
そしてこの会合で、この後の尾張の運命が決まるといって言っていい。
しかし、ここに来ても信奈は相変わらずのうつけ姿だった。
憂鬱そうな顔して、馬上でふらふら揺れる。
髪は茶筅まげ、鶏の描かれた湯帷子を着て、片袖をはずしていた。
種子島を担ぎ、腰にひょうたんと火打石ぶらさげて、腰には珍品、トラの毛皮。
「おおい、うつけ姫ー。そんなんじゃ蝮にあきれられるぞ」
「あんたまだいたの?」
「足軽として雇ってくれれば離れてやるよ」
「じゃあ、ほらひょうたん持ってて」
「ほいほい・・・・・・あぶ!こらっおい!」
この近さでは、考えられないような速度のひょうたんを、片手でキャッチした。
「よし! じゃいくわよー」
「・・・道三どのはすでに到着されているとのこと」
犬千代と呼ばれた小柄な小姓が報告した。
「デアルカ。早く行かないとね。あんたは庭で犬千代とはべってなさい」
「いい犬千代、道三の小姓かなりの腕と聞いているわ。気をつけるのよ」
「・・・御意」
「いざとなったら、そのサルを使うのよ。それじゃ」
「・・・いってらー」
しかし信奈はすぐ振り向くと、
「ああ、そうそうこれも持ってて」
と、ぞうりをびゅん!と飛ばしてきた。
くそっ! 足軽ってこんなめんどくさかったのか!」