二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 『イナGO』-アドニス〜永久欠番のリベロ〜 ( No.9 )
- 日時: 2012/11/12 18:53
- 名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)
第三話 『雨宮 太陽』
天馬には悪いと思っている。
本当に、心の底から悪いと思っている。
おれは……
「ここが新雲か…。結構でかいな」
新雲に入った。
いや、本当に悪いと思ってるんだぜ?
あんなに目ぇきらきらさせて雷門に誘ってくれたってのに、それを断るって、おれって最悪な女だ。(顔と性格は男だけど)
とりあえず、自分のクラスを確認して教室—1−4—に行ってみた。
廊下歩いてた時は女の子の視線がおれに集中してたけどな。
教室に入ってみれば、廊下を歩いてた時と同じ現象が起こる。
おれを見て顔を真っ赤にさせる子、おれに見惚れて硬直する子、様々だ。
その子達をシカトして廊下から2列目の一番前の席に座った。
担当の教師が来るまで机に伏せて寝ておくことにした。
……眠かったから。
目が覚めた時、ちょうど教師が入ってくるところだった。
白衣を着た教師で、一目で担当科目が分かった。
だってよ、白衣っつったらやっぱあの教科だろ。
理科。
で、この教師は覇気がねぇが、結構顔は整ってんじゃないのさ。
まぁ、そのなかなか男前な教師に引率されて、おれ達は体育館—アリーナ—に移動した。
クラスごとに用意されたパイプイスに座って、PTA会長やら、教育委員会の長々した話を右から左へ受け流す。
やべぇ…眠い。
校長の話まじ子守歌。
おれが教員どもにどやされる前に早く終わってくれ……。
眠気地獄の入学式がとりあえず終わった。
教室に戻ってまた机に伏せる。
廊下側に顔を向けると、右隣の席にこれまたイケメンがいた。
オレンジの髪が複雑に波打ってて、少し濁った翡翠の目をしてる。
することもないし、おれはそいつの顔をじーっと観察していた。
顔のパーツそれぞれが計算し尽くされたように配置されていて、すげぇきれい。
女の子と話そうとしないおれは、静謐だとか、ミステリアスだとかよく言われる。
おれとは違って、甘い雰囲気が漂ってる。
「……何?僕の顔に何かついてる?」
出たー!!
このシチュエーションで絵に描いたようなこの文句!!
「あ?何もついてねぇよ。お前がきれいな顔してるからみとれてた」
「え……。あ、あぁ、ありがとう」
そいつは少し照れた。
…っつーか、困った顔だ。
「でも、僕は別に自分がかっこいいとか特に意識したことないかな」
そうか?おれはお前の顔かっこいいって思うけど?
というとそいつはさらに困り顔をした。
困った顔もいい感じだな。
「あ、おれ、和藁 尊—かずわら みこと—。よろしくな」
「僕は雨宮 太陽—あめみや たいよう—。よろしく、和藁君」
「尊でいい。おれの友達、みんな尊って呼ぶから」
「そう?じゃぁ、僕のことも太陽って呼んで」
「おう」
雨宮太陽、か。
まず、今日の収穫。
『知り合いができました』