二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 東方夢幻道 Visitor of Another World
- 日時: 2010/11/25 12:36
- 名前: 桜丸 ◆u8da6hjvyw (ID: iP.8TRIr)
登場人物
■ユアル・ヴェーダ・・・魔導師の少女で、本作の主人公。主に四元魔法を得意とする。超次元道を利用し、幻想郷へとやって来た。
■リムス・・・土でできた巨人。いわゆるゴーレムで、ユアルの相棒。人間の言葉は話せない。魔法でコーティングされているため土といえどボディは頑丈である。
- 第四話「訪問、博麗神社」 ( No.7 )
- 日時: 2010/12/07 09:03
- 名前: 桜丸 ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)
魔理沙の手伝いを始めてから約二時間が経過した。十分茸が採れたので待ち合わせ場所で魔理沙と合流することにした。
「ふう。これくらいでどうかしら」
カゴからあふれんばかりの大量の茸。それを見て魔理沙も満足しているようだった。
「なかなかやるな。茸採りの名人になれるぞ」
別になりたくない。心の中で私はそう呟いた。
約束どおり、魔理沙は博麗神社へと案内してくれた。そこは閑散としていて参拝者の姿は微塵もない神社だった。さびしくそよ風が吹いていてなんだか哀れだった。
「おい、霊夢。いるんだろ」
魔理沙がそう声をかけてから数秒後、戸が開き、紅色と白色の、袖のない巫女装束を着た少女が顔を出した。
「その大量の怪しい茸は何なのよ、魔理沙。ん? そっちのお嬢さんとでっかい人(?)は誰なのよ」
「お前に用があるらしくてな、案内してやったんだよ。それより今日の晩飯は一緒に茸鍋でもどうだ?」
私たちはお茶の間へと通され、三人でちゃぶ台を囲む形になった。リムスは縮小して膝の上に乗っけている。霊夢が湯気の立つ湯のみを私たちの目の前に置いた。
「あ。まず自己紹介するわ。私はユアル・ヴェーダ。セカンドワールドからきた魔導師で、こっちがゴーレムのリムス」
私は手のひらサイズに縮まったリムスを指差した。お茶をずずっと飲み、湯のみを静かに置くと、霊夢が不思議そうに尋ねる。
「セカンドワールドって何よ」
「魔法が最も発展した世界のことよ。簡単に言えば異世界ね。で、このファーストワールドは科学が最も発達した世界って聞いてるんだけど」
湖に到着したときからずっと疑問に思っていた。
ファーストワールドには天を貫くような高い建物、四つの車輪がついた高速で動く乗り物、果ては宇宙を航行する船もあると聞いていた。なのにそういったものが何一つ見られなかったのだ。
「ここはそんな近代的なとこじゃないぜ。まあ、山の河童どもは妙なモン作ってるが」
魔理沙がさらっと、澄ました表情で答えた。どういうこと? 私は疑問を抱かずにはいられなかった。
「幻想郷は幻想となったものの行きつく場所。博麗大結界っていう結界で外の世界と隔離されてるわ」
「そんな場所があったなんて・・・。あの、よかったらこの世界についてもっと詳しく教えてほしいんだけど。そのために神社を探してたの」
そしてすっかり二人と打ち解け、会話が最高潮に盛り上がって来たとき、あまりに唐突に事件が起きた。
ドッゴォォーン!!!!
『邪魔するでぇ!!!!』
神社の壁は荒々しく破壊され、私たちのいる部屋は非常に風通しの良いものになった
- お詫び ( No.8 )
- 日時: 2010/12/07 09:04
- 名前: 桜丸 ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)
グダグダになっちゃったので第四話修正しました。
- 第五話「第二の故郷」 ( No.9 )
- 日時: 2010/12/07 09:07
- 名前: 桜丸 ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)
私たち三人は寸刻の間、呆然としていたが我に返り、外へと飛び出した。そこに待ち構えていたのは見覚えのある二人の少女たちだった。
一人は長身で、胸を大きく露出した服を着、腰まで伸びた血を連想させるような紅い髪が特徴的だった。もう一人は対照的に身長はかなり低く、あまり肌の露出しない服を着、漆黒のマントを羽織っている。
共通点は両者とも、コウモリのような翼と槍のような尻尾をはやしていることだ。
「あんたたちね〜、いきなり神社の壁を破壊するってどういうつもりなのよ。バチが当たるわよ」
「家の壁ぐらいでガタガタ抜かすんやない! どうせこの世界も破壊されるんや。ねえ、ベリ様」
紅い髪の少女はマントの少女に話を振った。
「その呼び方はよせといつも言っているでしょう! ベリアルと呼びなさい!」
私の脳裏を駆け巡る忌々しい記憶。こいつらは私の・・・。
「どうしたんだ、ユアル。汗だくじゃないか。それにメチャクチャ震えてるぞ」
魔理沙に声をかけられ、はっと我に返った。怒りと恐怖が一体となり、得体のしれない感覚に襲われていた。
「私の故郷はこいつらサードワールドの連中に乗っ取られたの。私の故郷だけじゃ飽き足らず、ファーストワールドにも手を出すとはね。」
震える声で私は霊夢と魔理沙に説明をした。私がこの世界に来た目的は第二の故郷を探すためだと。霊夢と魔理沙は目を大きく開き、無言で驚いている。
「ほう。まだ生き残りがおったんか。ノコノコとファーストワールドに逃げるとは笑えるで」
紅い髪のアエーシュマ・ドランカーが嘲るようにそう言った。そして次に小柄のベリアル・ビトレイヤルが口を開いた。
「先ほどの話は聞かせていただきました。何度超次元道を通っても必ずここへ着く理由がわかりましたよ。我々悪魔は現代の人間にとって幻想の存在。ゆえに、この幻想郷へと自然に引き寄せられる。そういうことですね」
再びアエーシュマがだるそうにしゃべりだした。
「早い話がやな、どないしたらこの結界をブチ破れるかっちゅうことを聞きたいんや。うちらはまず東京っちゅうちっぽけな都市を破壊する予定なんや。こんなとこに用はあらへん」
「結界の管理なら私がやってるわ。その気になればあんたたちも外の世界へ出られるわよ」
一体何を考えているのか、霊夢は実に簡単に白状してしまった。
- 第六話「幻想郷の命運」 ( No.10 )
- 日時: 2010/12/07 18:19
- 名前: 桜丸 ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)
二人の悪魔人は顔を見合わせ、ニヤッと笑った。それなら話が早いと、早速結界を解除するよう霊夢に要求した。
「嫌よ。結界を緩めたら紫が怒るんだもの」
「な・・・!」
アエーシュマとベリアルだけでなく、私もその答えに驚かされた。「紫って誰?」と思う前に、嫌なら結界を操れることを黙っていればいいのにと思わずにはいられなかった。ただ、魔理沙だけが平常心を保っていた。
「ならば、少し脅す必要がありますね。アエーシュマ、やっておしまい。殺さない程度にね」
「お任せや! 憤怒の悪魔アエーシュマの力、とくと見ぃ!」
神社の壁を破壊した時点ですでに十分な脅しだったとは思うがそのような突っ込みをしている場合ではない。アエーシュマは手のひらを天に向け、バチバチバチッ というけたたましいスパーク音を立て特大のエネルギー弾を形成した。
「こりゃやばそうだぜ」と魔理沙が言った。飽くまで落ち着いた顔だが。
「ガガ、ウガガガ(おい、俺の存在を忘れるな)。ウガウウ!(あれを受け止めるから元の大きさに戻せ!)」
手のひらサイズのリムスが私の足元でわめいている。小さくなっていたからすっかり空気だった。
「ごめんネ、今戻すから。—— 私も一緒に止める。あなただけ危険な目に会わせられない」
「ウガウガ(ありがとよ)」
私たちが意を決し、一歩大地を踏みしめると同時にそれよりさらに前に出た人物がいた。それは霊夢だ。
「あんたたちは下がってなさい」
「霊夢、危ない!」
「望みどおりS席で喰らわせたるわ! 消し飛べ人間!!」
「殺すなと言ったでしょう。もう遅いけど」
視界を真っ白に塗りつぶすほどのまばゆい光を発してエネルギー弾が襲いかかる。絶体絶命だ。
「このくらいでうろたえる博麗霊夢じゃないわよ。夢符『二重結界』!」
霊夢の眼前には御札が乱舞し、二重の神々しい光の壁が現れた。壁は勇ましくエネルギー弾とぶつかり合うとすさまじい衝撃波を生み出し、バリバリと激しい音を立てている。
その状態が三十秒ほど続くとエネルギー弾は力尽きたように消え去り、二重結界も消滅した。
「す・・・ごい」
その光景に驚愕し、私は数秒の間放心状態になった。私は魔理沙が余裕をかましていた理由がやっとわかった。
「ふん! 少しはできるみたいやな。あの湖の雑魚妖精より遥かに強いわ」
「まさかあなたがチルノちゃんの友達を・・・」
ふんっとアエーシュマが鼻で笑う。さすがに私も我慢がならなくなったが、恐怖で戦闘態勢に入ることができない。それが悔しくてたまらなかった。
霊夢は「あんたたちね」とため息交じりに言うと、さらに続けた。
「『郷に入れば郷に従え』って言葉を知らないの? 幻想郷でもめ事があったらスペルカードルールの決闘で解決してちょうだい。いきなりそんな物騒なもの飛ばすんじゃないわよ」
「なんですか? そのスペルカードルールというのは」
ベリアルは不思議な物を見るような目で霊夢を見てそう言った。すると霊夢は巻物を一つ悪魔に投げ渡した。
「それにスペルカードルールの詳細が書かれてる。よく読んで理解してきなさい。勝負は半年後、七人の精鋭を集めて決闘を行い、私らが負ければ結界は解除してあげる。あんたらが負ければ大人しくあきらめることね。それでどうかしら?」
二人の悪魔人は顔を見合わせ、きょとんと突っ立っている。魔理沙は「おもしろそうじゃねーか」と感心している。
「どうします、ベリ様? ルシファー様がなんと言うか・・・」
「わかりました。我らのボス、ルシファー様にそう伝えておきましょう。あの方もこういうことは好きですから」
彼女らは意外にすんなりと霊夢のアイデアを受け入れ、超次元道からサードワールドへ帰っていった。
「首を洗って待ってろ」と捨て台詞を吐いて。
- 第七話「六人の精鋭」 ( No.11 )
- 日時: 2010/12/11 08:34
- 名前: 桜丸 ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)
これまでのあらすじ
少女魔導師 ユアル・ヴェーダはゴーレムのリムスとともに異世界から幻想郷へやって来た。情報収集のため、霧雨魔理沙の案内で博麗神社を訪問する。そこへ、かつてユアルの故郷を侵略した悪魔たちが現れる。
そして博麗霊夢は幻想郷の存亡をかけたスペルカード戦を約束してしまうのだった。
ここより本編
ベリアルとアエーシュマが去り、神社は静けさを取り戻した。リムスも安堵しているようだった。
「しっかし霊夢、とんでもない約束しちまったな。紫に怒られるぜ」
「あんただって楽しそうにしてたでしょうに。それに大丈夫よ。ここには化け物じみたやつがいっぱいいるんだし。勝算は十分にあるわ」
「化け物じみたも何も本物の化け物じゃんか、幻想郷にいるのは」
霊夢と魔理沙の会話にまた「紫」という名が出た。紫とはいったい誰なのかということも気になったが、私にはもっと気になることがあった。
「で、どうやってその決闘への参加者を集めるの? 七人チームでしょ? 私、霊夢、魔理沙の他にあと四人必要だけど。リムスは一人では戦えないし・・・」
「おいおい、ちゃっかり私もチームに入ってるんだな。ま、いいけど。で、霊夢、どうやって募集するんだ?」
「簡単よ。富士山を逆立ちで登るのと同じくらいね。ま、見てなさいって」
「それは例えがおかしいぜ・・・」
霊夢は一週間時間がほしいと言った。その間私は魔理沙の家に居候し、毎日少しづつ自分の家を作っていった。建てる場所は魔理沙の家のご近所にすることにした。そして、一週間が経過し、私たちは再び博麗神社へ足を運ぶことにした。魔理沙も誘ったが用事があると言って家に残った。
「あら、いらっしゃい。参加者が集まってるわ。まだ一人足りないんだけどね。まあ、中に入ってよ」
戸をあけて霊夢が手招きをした。先日無残に破壊された壁は板で応急修理されており、さみしい神社が一層さみしくなっているように感じた。
リムスを縮小し、お茶の間に入ると、中で雑談していた三人の視線が全て私たちに集中した。
「ウゴ・・・」
三人とも綺麗な女の子だった。リムスはゴーレムとはいえ、感情は持っている。美女三人の視線をいっぺんに浴びて、少々辟易したのだろう。そんなところが可愛いのだ。
「こいつらの紹介するわね」と霊夢が切り出した。見事な白銀のショートカットヘアで、背中に二本の剣を携えている少女が「魂魄妖夢」、見た目は幼いが立派な二本のツノを持つ少女は「伊吹萃香」という鬼だそうだ。そして三人目は・・・。
「八雲紫よ。どうぞよろしく」
一番大人っぽい、紫色のワンピースを着た女性が自ら名乗った。長い金髪が特徴的で、どこかミステリアスな雰囲気を漂わせている。
「あなたが紫さんだったんですか?」
紫さんはふふっと笑ってから「そうよ」と答えた。
「幻想郷は我が子も同然。お馬鹿さんの霊夢がその我が子を懸けた決闘などを・・・」
紫さんはそう言って嘆いていたが当の霊夢は知らん顔で話を切り替えた。
「さて、残るはあと一人。ったく幻想郷の危機だってのに集まったのはたったこれだけ!?」
危機に陥ったのは霊夢のせいでもあるが、誰も突っ込みはせず、残る一人のことを考えていた。そのとき、神社に続く石段をたんたんと軽快に駆け上がってくる音が聞こえてきた。
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