二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【AR∀GO】 ロンドン警察と四騎士の物語 【短編集】
日時: 2012/01/29 15:00
名前: まがりーの ◆a3jxhh.W4s (ID: B2mAVKR/)


皆様こんにちは&こんばんは&初めまして!!

和菓子大好きな まがりーの と申します☆
アラゴの短編集を書こうと思いスレッドを立てたのですが
そもそもこの漫画を知っている方はどれほどいるのでしょうか……(汗


☆作者のへっぽこ小説を読むにあたってとりあえず注意☆

・書き続ける気力がないため短編集
・妙にシリアス風味な話が多い(あくまでも『風味』)
・実は種(シード)とかブリューナクの定義がいまいちよく分かってない
・そのため原作と微妙に違ったりする
・四騎士率・脇役率が高い
・妄想オンパレード

駄文オンリーで申し訳ありませんが、
もしよければ少しでも読んで下さると嬉しいです。
あと作者はとっても寂しがり屋なので、ぜひ声かけてくだs(殴

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Re: 【AR∀GO】 ロンドン警察と四騎士の物語 【短編集】 ( No.1 )
日時: 2012/01/29 18:51
名前: まがりーの ◆a3jxhh.W4s (ID: B2mAVKR/)

一発目の話が四騎士ってw しかもこんなのってww
何が起きても大丈夫だぜーっという方はどうぞ↓↓


 












【 狂気は誰のもの? 】












その日は深夜まで雨が降り続いていた。

個人経営のクリニックの院長であるサイモン・クロトーは、最後の客である老婦人のために、自らが濡れるのも構わず先にドアを開けて黒い傘を開いたところだった。
彼の体に隠れるようにして縮こまっていた老婦人は、驚いたように目を見開く。
それを見たクロトーは、穏やかな笑みを浮かべて小さくうなずいた。

「私の傘でよければどうぞ。車までお連れいたしましょう」

クリニックの前に停めてある車まではわずか数メートルの距離しかなかったが、クロトーは傘を開いたまま笑顔で彼女を車までエスコートする。
老婦人が車に乗り込み、エンジンをかけて走り出すまでの間、彼はじっと車のそばに立っていた。

「……お気をつけて」

やがてエンジン音が響き、車はゆっくりと動き出した。

それを見送るクロトーは、もう笑ってはいなかった。






クリニックのドアを開けると同時に、彼は大きくため息を吐く。


「何の用だ、スカーレット」

電気こそ点いてはいるが微妙に薄暗い院内を見渡すと、どこかで少女の笑い声がした。


「あれ? 何でばれちゃったわけ?」
「お前の気配がしたからだ。同じ種の保持者同士で気づかない訳がなかろう。せめて気配を消したらどうだ」
「別に本気で隠れたかったわけじゃないもん。ほんっと小言が多いんだから」

クロトーが視線をソファに向けると、そこには女子高校生くらいの美しい少女が足を組んで座っていた。豊かな金髪を波打たせてこちらを向いた少女は、クロトーを見て上目づかいに微笑む。

「ねぇねぇ、さっきのおばさんだぁれ?」

クロトーはさっさと彼女の前を通り過ぎ、デスクの上に散らばっていた書類を片付け始めた。

「ちょっとシカトォ? そーゆーのひどくなーい?」
「黙れ小娘が。いちいち癪に障る言い方をするな」

少女の方を見もせずに手際良く書類を片付けるクロトーを睨みつけた後で、少女はぷいとそっぽを向いた。

「あっそ。いいもん。じゃあアンタが地下で大事にしてる化け物ぜーんぶ燃やしちゃおっかなー」

そこで初めてクロトーの手が止まった。振り返った彼はスカーレットと呼ばれた少女を冷たい目で見据えていた。

「もう一度だけ聞こう。何の用だ? まさかブリューナクの男の情報なしでここに来たわけではあるまいな? 今ここで貴様の息の根を止めることなどこの私には容易いのだぞ」
「ふーん、そう」
スカーレットは彼の視線に臆することなく、挑発的な眼差しで彼を見つめ返す。
その唇はうっすらと笑みを湛えていた。
「バカじゃないの? そんなことしたらアンタが王様に殺されるって分かってるくせに」
その一言がクロトーの何かを刺激した。
彼は憤怒の形相を浮かべ、スカーレットの愉快そうな顔めがけてこぶしを振り上げる。
彼女の顔いっぱいに笑みが広がった。

「貴様——」

その瞬間、閃光とともに雷鳴がとどろいて、まさに拳を振り上げていたクロトーの顔を照らし出した。

スカーレットの動きは素早かった。
一瞬だけ彼の動きが止まった隙に、スカーレットは真っ直ぐに————彼の胸に飛び込んだ。

「なっ……」
「あれ? アンタって意外とあったかいんだね」

くすくすと笑うスカーレット。
拳を振り上げたままの状態で固まるクロトーを尻目に、彼女はそこからパッと離れて、一瞬でその体を燃え盛る炎の渦に変えた。
クロトーはというと、呆気にとられた様子で目の前の炎を見つめている。

「バイバイ、イカれクロトー! ブリューナクのお兄ちゃんによろしくねー!」

炎の渦はその場で勢いよく回転し始めたかと思うと、徐々に形が細長くなり、次の瞬間には消えてしまっていた。

クロトーは拳をおろして、しばらくの間は炎が消えた辺りを呆然と見つめていた。
どうやらたった今起こったことを理解するまでに、それなりの時間を要するらしい。

「……」

長い沈黙が流れた。

やがて、彼は吐息とともに小さな笑みを漏らす。

ゆるゆると諦めたように首を振り、小声でぼそりと。



「イカれ小娘が」





そうして再び、彼は仕事に取り掛かった。
わずかに微笑みを浮かべて。





クリニックに降り続いていた雨は、いつの間にか止んでいた。





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