二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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薄桜鬼 追憶録
日時: 2012/04/20 18:52
名前: さくら (ID: MOENhrWN)

はじめましての方、そうじゃない方もこんにちは。
さくらです

ここでは薄桜鬼の小説を書いていきます
特別このキャラの話を書く、というわけではありません
薄桜鬼にでてくるキャラクターの色んな視線から色んな話しを書いていったります
興味のある方は駄文ですがどうぞ温かい目で読んでやって下さい^^

薄桜鬼 沖田総司と同時進行なので、ぼちぼちやっていきます
では、はじまりはじまり


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Re: 薄桜鬼 追憶録 ( No.11 )
日時: 2012/06/23 17:58
名前: カノン (ID: KjYpxfgY)

またまたお久しぶりですね!
やっぱり神文だぁ!

テストの疲れ吹っ飛びましたよ!
がんばってください^^

では、また来ますね。

Re: 薄桜鬼 追憶録 ( No.12 )
日時: 2012/06/24 12:52
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

やっほ来たよ!!

左之さんのお話で一番頬が緩みました(ニヤニヤ^^

これからも頑張って。コメ少なくてゴメン!!

Re: 薄桜鬼 追憶録 ( No.13 )
日時: 2012/06/25 13:40
名前: さくら (ID: cPNADBfY)

カノンちゃん

テスト私も一緒←
でも小説は書きたいんで書いていきますね^^
読んでもらってありがとう


桜舞姫ちゃん

お久だね^^
原田はあたし一番好きなんだよ(沖田も同じくらい好き!)
だから原田の話になるとすごい力が入ってたりする
桜舞姫ちゃんも頑張ってねノシ

Re: 薄桜鬼 追憶録 ( No.14 )
日時: 2012/06/25 15:21
名前: さくら (ID: cPNADBfY)




『思わぬ出会い』




「つまらん」

もう飽きるほど吐いたその台詞には少々怒気が孕んでいた。
二階の部屋に設置された香蘭に肘を突き、その鋭い眼光を近くに控えている側近、天霧に向ける。
もう幾度となく睨まれている天霧は慣れた様子で、その視線を受け流す。

「本来の目的を果たして頂けるのであれば、すぐにでも帰館いたしましょう」
「目的?目的などとっくに果たしたではないか」

眉根を寄せて更に睨み据える風間の顔は、整って美しい顔立ちであるためか背筋が凍るほどの畏怖を感じさせる。だが天霧にとってはこれが日常茶飯事であるためさほど慄くこともなく、話を進める。

「あれでは果たしたとは言い難いものです」
「薩摩の連中に挨拶をするだけで良いとお前が言ったのだ。言われた通りのことをしたまでだが?」

この池田屋の一階には薩摩藩士が集まり、会合を開いている。風間達がここにいる目的というのは、文でしかやりとりをしていなかったとうことで、顔を合わせをしようという薩摩の申し出に従ってここに来たのだ。だが風間からすればそんなことに割く時間が煩わしく、こうして苛立ちながらも会合に顔を出し、挨拶を済ませるや否やさっさと二階に引き上げて一人酒を飲んでいた。

「会合というものは語り合うとうことも目的のひとつです。挨拶だけされて一人二階に引きこもるのはいかがなものかと」
「人間どもの下等な奴等に話を合わせることもないだろう。俺は薩摩に力を貸す。そのことが今宵確認できたということであちらも満足している。それ以上に何を語れというのだ?ここの酒にも飽きた。帰るぞ」

手に持っていた杯を膳に戻し、立ち上がろうとした。が、何かに気づいたのか、一度浮かせた腰を下ろした。

「いかがしま———これは…」

天霧も同様に気づいたのか、眉根を寄せてすぐさま蝋燭の火を吹き消した。部屋は暗くなり、頼れるのは月光のみとなった。

「一体これは…」
「面白いものが見られそうだな」

口端を吊り上げて微笑む風間の視線の先には、軒の間や家々の隙間に身を潜めている複数の影があった。夜といっても月光に照らされれば一目でわかる浅黄色の羽織を着た面々が、池田屋を囲むようにして動いている。

「あれは…新選組?どうにかしてここの情報を掴んだということですか」

さほど時間は経っていないにもかかわらず、池田屋の周りは肌を刺すような殺気に包まれる。

「あれが噂の壬生狼か…天霧」
「は」

風間の言葉ひとつで天霧は部屋を退出したかと思うと、一升徳利を手に戻ってきた。静かに風間が持つ杯に酒を注ぐ。

「見物といこうか」




騒がしい。刀と刀がぶつかり合う音。何かが倒れる音。断末魔の叫び声。怒号。すべてが一つの音となって池田屋を包む。
新選組が池田屋に突入してまだ間もない。庭を見下ろしていた風間はうっそりと微笑みながら眼下で繰り広げられている剣劇を楽しんでいた。

「風間様」
「何だ」

激戦に夢中になって眺めている風間は、天霧の方を見向きもせず短く答えた。

「我等はあくまで薩摩に力を貸すのみ。無用な争いは…」
「わかっている。巻き込まれる前に引き上げるぞ」

風間は溜息とともに腰を上げた。と同時に足音は殺しているが、殺気までは殺せていない気配が二つ近づいて来た。その気配はまっすぐにこちらに近づいている。巻き込まれる前にと思ったが遅かったらしい。
風間が刀を手に取ったのと同時に勢い良く部屋に飛び込んできたのは、浅黄色の羽織を着た小柄な青年と長身の男だった。




天霧が青年とともに奥の部屋へと戦闘を繰り広げていったのを確認して、風間は嘆息した。
目の前に立っている男は刀を“突き”の上体で構えている。

「俺に刀を抜かせるのだ。有難く思え。どうせ抜かせるなら楽しませてもらおう」
「その上から目線。誰かさんにそっくりで苛立つなぁ!」

男が地を蹴った刹那に、風間が刀を抜いた。
相手が一気に間合いをつめて突きを繰り出す。三段突きと呼ばれるその剣捌きは見事なものだった。が、風間にはその動きが赤子のように見て取れ、あっさりと避ける。その動きを利用して一閃を相手に見舞う。相手はすぐさま受け止めたが、やはり人間の力では己に勝るはずもなく、数歩後ろに下がり間合いを取る。
今度は風間から剣撃を見舞う。その流れるような動きと癖のある剣筋に違和感を覚えたのか相手は眉根を寄せて対応する。
そんな攻防を繰り広げているうちに小さな足音が一つ、部屋に飛び込んできた。その小さな影は羽織を着た男を見つけるや否や、状況を把握した上で畳に転がるお猪口を拾い上げ、風間に投げつけた。
事も無げに叩き割ると、その隙を突いて相手が飛び込んできた。相手の行動が読めていた風間は刀ではなく脚で相手の胸を蹴り飛ばす。

「っ…!」
「沖田さん!!」

それほど力を入れたつもりはなかったが、沖田は部屋の隅まで飛んでいった。小さな影はその男を庇うようにこちらを睨んでくる。

「邪魔立てする気なら斬る」

小さな影、青年というにはあまりにも小さい男に刀の切っ先を向ける。
その瞳はどこまでも澄んでおり、その視線に風間は眉根を寄せた。
何だ?この身の内を掻き混ぜられるような違和感は。

「あんたの相手は僕だよね…?この子には手を出さないでくれるかな?」

沖田は吐血とともに青年を庇って立ち上がる。だが沖田の足元はおぼつかない。それを見た風間は嘆息した後、静かに刀を納めた。

「!?何のつもりだ!?」

沖田は気色ばんだが風間は気にも留めず、踵を返して窓の外へと身を翻した。沖田の叫び声が聞こえたが、風間は振り返りもせずに闇の町に溶け込む。
胸に残る違和感に眉根を寄せながら天霧と合流するため静かに駆け出した。

Re: 薄桜鬼 追憶録 ( No.15 )
日時: 2012/07/08 18:13
名前: さくら (ID: cPNADBfY)




『決意の訳』



初夏も終わり、夏も盛りに入った頃。
山南は副長室から自室に戻るところだった。
先日の池田屋事件から数日。新選組の功績を世に知らしめたと同時に、多くの命を失った。負傷者も当然出てしまった。手に入れたものと引き代えに、失ったものも大きい。
しかも功績が上がったからと喜んではいられない。池田屋事件の影響で堰を切ったように不逞浪士が京になだれ込んでいるらしい。保たれいた互いの均衡が事件をきっかけに崩れてしまったのだ。
問題は他にもある。事件のあの夜。強豪の沖田と藤堂を負傷させた者がいあたらしい。その相手はかなりの力量を持っていて、他の不逞浪士とはどこか違う部類の者だと、藤堂が唸っていたのを思い出す。
事件による痛手。減るどころか増える不逞浪士。未知数の敵。
先ほど副長室で土方とその問題に対する対策を練っていたところだ。

「さて…どうしましょうか」

眩しいほどの夏の日差しを見上げて、山南は目を細めた。
太陽の位置からしてまだ昼前だった。ぼんやりと中庭を眺めながら廊下を歩いていると、大きな掛け声が耳朶を打った。
視線をそらせば道場のすぐ近くを歩いていることに気づく。声は道場から聞こえる。
風を通すために全開にされた入り口からは永倉をはじめ、多くの平隊士が稽古に励んでいた。皆一心に木刀を振っている。
その様子を見ていた山南の腕に小さな痛みが走った。

「っ…」

稽古の様子を眺めていた山南は自然と手が、腰に提げている刀へと伸びていたらしい。刀の鯉口を握ろうとしただけで、傷ついた腕は悲鳴を上げる。

「……」

山南はしばらく己の腕を見つめ、そっと目を伏せた。
そのまま自室へと再び足を向ける。
蝉の鳴き声が耳につく。山南はその騒音から逃れるように、この暑さにも構わず障子を閉めた。隊士達の掛け声もこうすれば耳には届かない。
ただ部屋に戻れば待っているのは静寂。静まり返った室内の空気が己を孤独へと誘うように。
山南は頭を振った。暑さのせいで疲れているのかもしれない。悪い方へと思考が回転してしまう。

「刀の手入れでもしましょう…」

腰から刀を抜き、文机から道具を持って畳の上に腰を下ろす。
刀身を鞘から抜いて手入れに取り掛かる。
だが、微かに聞こえる蝉の声が雑音となり山南の耳に囁いているように聞こえた。

ジーワ、ジーワ、ジーワ…
ソンナニ刀ヲ手入レシテ、ドウスルノ———?
ジーワ、ジーワ…
モウ刀ヲ握レナインノニ———
ジーワ、ジーワ…
無意味ト思ワナイノ———?
ジーワ…
悲シイネ———?

「っ!!」

刀を畳に突き刺す。鈍い音で山南は我に返った。自分は今———

「どうやら本当に疲れているのかも知れませんね…」

そう呟いてふらりと立ち上がり、押入れの戸を開けた。手入れに使う懐紙を取るためだ。懐紙を仕舞っている木箱に手をかけようとした山南の目に何となく、別の木箱が目に入った。
その木箱は少々大きく、両手で抱えなければならないものだった。
山南は懐紙の箱よりそちらに手をかけた。蓋をそっと開ける。
中には大量の書物が入っていた。

「……」

それは羅刹の研究資料だった。資料は全て失踪した綱道が残していったものだ。変若水の精製方法。試飲の結果が事細かに記されている。
そして。大量の資料に埋もれるように、毒々しい光を放つ変若水があった。
綱道が失踪し、実験室に残っていた資料、および薬品を全てこの箱に仕舞い、その管理を山南が任されている。
血のように赤い変若水は光も当たらない押入れの中だというのに、光って見えた。否、山南にそう見えただけかもしれない。
山南を焦がれているように変若水はきらめきを放つ。山南は思わずそれを手に取りそうになった。
だが、すぐに思い直して手を引っ込める。

「今私は…いけませんね。こんなものに頼ろうとするなんて…」

一瞬でもこれを飲めば。と思った。飲んでしまえばこの腕も癒えるかもしれない。だが、羅刹化した者の末路は悲しいものだった。得るもののが大きいほど、その反動も大きい。その改善を期待していた綱道は姿を消し、実験は保留になったままだ。
だが山南の頭に小さな光が散った。

「…私が実験を続ければ、あるいは…」

蘭方医ほどの知識は持ち合わせてはいないが、昔多少医学をかじったことがある。残された資料をもとに変若水を精製することは難しくないだろう。
そうして改善したそれを自分が飲めば———

「…どいうやら本当に疲れているようですね」

山南の口から弱々しい笑みが零れた。
我ながら女々しいと思う。刀を握れない以上裏方として新選組を支えると決めたはずが、今なお本心では刀を振り続けたいと思っている。
目の前に転がるわずかな可能性にも期待してしまう。いかにそれが危険であっても。

「外の空気でも吸いましょう…」

そっと変若水を箱に戻し、押入れの戸を閉める。
外に出ると騒がしいほどの蝉の声と熱気が押し寄せてきた。のろのろと廊下を歩いていると、向こうから見知った人影が歩いている。

「雪村君———」


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