二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- [inzm]the jewel eyes〝忘却された感情〟
- 日時: 2012/08/19 15:51
- 名前: 黒狼架蒼月 (ID: DkN/A4kL)
- 参照: 蒼月律 零瑠→黒狼架 蒼月(くろす そうげつ)に変えたよ^^
昔々
其のまた大昔の物語
或る館に住まう一人の人形技師(ドールメイカー)によって作り出された一体の人形
作り出された其れは他とは異なる性質を持っていた
———『自動人形(オートマタ)』
人形にある筈無い〝心〟・〝感情〟を持った人形を、見事人形技師(ドールメイカー)は作り上げたのだ
子供がいなかったので人形技師(ドールメイカー)は大層喜んだ
人形技師(ドールメイカー)は自動人形(オートマタ)に様々な感情を教え込んだ
〝生きる喜び〟や〝働く辛さ〟、とにかく色々教え込んだ
教える度に自動人形(オートマタ)の感情は豊かになり人間に近い程に成長していった
人形技師(ドールメイカー)は人形の笑顔を見て思った
〝早く人間の友達が出来るといい〟、〝もっと多くの事を学ばせてあげよう〟、〝世界を見せてあげよう〟
彼の心の中は喜びと嬉しさで満ちていた
が、そんな楽しい時間はそう長くは続く事は無かった
ある日、人形技師(ドールメイカー)は重い難病を患った
医師によるともう長く生きられないらしい
無表情で人形技師(ドールメイカー)の手を両手で包む
人形の表情を見て彼は思う
〝そういえば、まだ〝悲しみ〟を教え込んでいなかったな〟
人形技師(ドールメイカー)は最後の力を振り絞ってこう告げる
『私はもう直ぐ天国に召される。
此れは〝運命(さだめ)〟だ。人間誰もが死に旅立ち、神のいる天国(セカイ)へ逝く。
人間は長く生きられない生き物。だが人間とは違い御前は人形(モノ)だから命の制限(リミット)など無い。
ハハッ、御前は人形(モノ)で良いよなぁ。なんせ永遠に生きられるのだから』
皮肉った言葉で語るが、瞳から一筋の涙が零れていた
どんなに綺麗な宝石よりも一段と綺麗で美しく輝き煌めいていた
『最期に一つ頼みがある。』
————————————————————誰よりも素敵な御前の笑顔を見せてくれ
〝主(マスター)の為なら———〟
自動人形(オートマタ)は涙を流し言いながらも誰にも負けない位の笑顔になった
太陽の様な其の笑顔は人形技師(ドールメイカー)の中に眠る今まで過ごした思い出を蘇らせた
———『有難ウ…』
息を引き取った彼の顔はとても幸せそうな表情(カオ)だった
人形技師(ドールメイカー)が眠る墓に寂しく寄り添う孤独な人形に話しかけた神秘的な一人の女性
『大切な主(マスター)を失ってしまったのね、可哀想に…。
でも私と来ればきっとまた新しい持ち主に出逢えるわ。生前の御主人みたいに可愛がってもらえるわよ』
自動人形(オートマタ)は考えた
確かに、主(マスター)みたいな人と出逢えば前みたいに可愛がってもらえるかもしれない
それに、ちっぽけな人形一人だけでは生き辛いかもしれない
確信した人形は女性の手を取った
『さぁ、ゆっくりと永い眠りに就くといいわ』
——————————〝希望を抱く人間(ニンギョウ)に安息の地があらん事を〟
*
another title/[優しい日本の嬢ちゃんよ 仲良く遊んでやっとくれ]
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- ♯黒猫に連れられて ( No.1 )
- 日時: 2012/08/19 16:37
- 名前: 黒狼架蒼月 (ID: DkN/A4kL)
- 参照: 蒼月律 零瑠→黒狼架 蒼月(くろす そうげつ)に変えたよ^^
季節は冬で月は12月。今日はやけに恋人や家族が多い。
雪降る街には吐き気がするほどイチャイチャしているバカップル、通称リア充の声や見ていて泣けてくる位微笑ましい家族の声が自分の耳に障るほど賑わっている。
今年もまた独りぼっち、か…。
俺、『南沢篤志』は人生でプレゼントを貰った事なんか一度も無い。餓鬼の頃、親にアレ欲しいコレ欲しいってせがんだ事もあったっけ。でも親は〝金の無駄〟や〝そんなモノ買ったってどうせ直ぐ飽きるだろう〟なんかの理不尽な理由で拒否られたな。思い出すだけでも泣けてくるよ。
いやいや、今日は年に一度しかない聖なる日。そんな神聖な日に暗い餓鬼の思い出なんかに浸ってはいけない。楽しまねば。
とりあえず何か目ぼしいプレゼント(といっても今まで頑張ってきた自分への御褒美だけど)を買おう。
近くの店に入れば、中はファンシーでメルヘンチックな内装だった。商品もどれもそこら辺の少女や幼女が喜びそうな物ばかりで、貧相な男子にとっては目が痛くなる配色をしていた。
○ーさんの縫い包みやジュ○ルペットのシャープペンシル、店内オリジナルの他その他のジャンルまで混ざっているとは。
…とりあえず外に出よう。周りの女の視線が痛い。
他の店舗も見回ってみたがどれも納得いかない様な物ばかりだった。
今年もまたプレゼントは無しか…。
そう諦め自宅へ足を進めようとした時だった。
『ミャオォーンッ』
足元のほうから聞こえてきたので視線を向けると、さっきまでいなかった筈の猫が俺の方を向いて鳴いていた。首には蒼と白の紐が編みこまれた首輪が着いている。どうやら飼い猫のようだ。
テレビによると確かコイツの種類は…カラーポイントショートヘアーだな。しかし、特定の猫にしか無い筈のオッドアイがコイツにあるなんて可笑しい。
『ミャア♪』
考え込んでいたら突然路地裏の方へ行ってしまったが、チラッと此方の方に顔を出した。
どうやら着いて来いと言っているらしい。御褒美(クリスマスプレゼント)にありつけなかったが、今までに起こらなかった奇妙な体験が出来るなら其れは其れで良しとしよう。
それから俺は飼い猫?の後を追っていった。路地を通り、鼻を突く腐臭漂う溝川を抜け、橋を渡り、街外れの森の小道を進んで行く。
しかし、
「何だアレ…」
気付けば子供がオシッコちびって泣きながら逃げ出すほどの襤褸屋敷に辿り着いていた。
やべぇ。俺、帰りたくなって来たわ。
*
another title/[好奇心から白兎の穴に飛び込んだの]
- ♯迷い込んだのは ( No.2 )
- 日時: 2012/08/19 17:27
- 名前: 黒狼架蒼月 (ID: DkN/A4kL)
- 参照: 蒼月律 零瑠→黒狼架 蒼月(くろす そうげつ)に変えたよ^^
着いてくるんじゃなかったか。と少し後悔する俺。
『さっさと入れよ、この意気地無しが』
そうだなぁ、意気地なしの俺がここでかえっちゃ…って、今コイツ喋らなかったか?
中に入る前に、まず此処に連れて来た理由を猫に尋ねる事にした。
「なぁ御前、どうして俺を連れて来たんだよ?」
『ククッ…。 入れば分かるさ』
コイツ可愛くねぇ。可愛い見た目しやがって全っ然可愛くねぇよ、うん。
こうなりゃ中に入って直接確かめるしかないか。煤被ったドアノブを回して開ければ咽返るほどの埃が舞い上がった。
咳き込みながらも何とか突き進む。埃のせいで視界がぼやけているが、分かることは天井にはシャンデリアがあって周りには本棚と貴族の胸像や高そうな花瓶等絢爛豪華な品々が揃えられてある。どうやら此処は金持ちの奴が住んでいるらしい。全て骨董屋に売り飛ばしてアパートの家賃でも払ってやろうか。
『煩悩か?払ってやるぞ』
瑠璃色と紅色の瞳をギラつかせながら猫は笑う。畜生、猫だからって見下しやがって。マジうぜぇのな。
「何処へ行っていたの亜璃栖(ありす)。 探したのよ」
突然女性の声が聴こえた途端にミャア〜ン♪と猫は声のする方向へ行ってしまった。
「あら、御客様?」
上の方から明かりが灯いたようだ。見上げてみると其処には銀色のロングヘアーを靡かせ、蒼色の目を細めた女性が柵の上に肘をついて俺を見詰めていた。
『由良(ゆら)、コイツが〝アイツ〟の主人になる男だ』
由良という女性に平然と話しかける猫。どうやら生意気な猫は理由があって俺を此処に連れて来たらしい。
「ふぅん、其の子がねぇ…」
二階から飛び降りたかと思えば今度はまじまじと俺を見た。何か怖い。
「貴方が〝あの子〟の御主人様になる人?」
はッ?〝あの子〟?
あの猫も〝アイツ〟って言ってたけど誰だよ。
「スミマセン、話が見えないんですけど…」
「あら御免なさいッ」
由良は一瞬目を見開いたが、直ぐに澄まし顔で笑った。
「私は由良、此処の屋敷の主なの。 そしてコッチは飼い猫の亜璃栖。とっても可愛いのよ〜♪」
何処が可愛いんだよ。と心中毒づいたが直ぐにしまいこみ、そうですかと流した。
「…貴方も気になっていたでしょう?此処に導いたワケを…」
そういえば如何して生意気猫に此処に連れて来られたか気になったんだった。すっかり忘れてた。
(writing now)
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