二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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うたかたの、     〜銀魂 土方沖田 〜 
日時: 2010/03/04 17:48
名前: すずの (ID: kUb2i5Pl)

小説を投稿するのははじめての体験で、いろいろと
至らないところがあると思いますが、
興味がある方は、良かったらご覧になっていってください***
コメントをしてくださると、大変嬉しく思います。

*死にはしませんが、結核ネタです。
では、どうぞ・・・



 うたかたの、


 
 うたかたの、

 あわのようだとひとはいった。

 ゆらゆらゆれて

 しまいには  
  
 きえてまう そのいのちを。





 「総悟はッ・・・?」

 必死でとっついてきた大将の目に、

 オレはうつむくしかなかった。

 「・・・結核、だと」

 瞳を見なくても、姿を見ずとも

 肩を掴んだその手から

 はっきりと動揺が伝わってきて

 「んな・・・バカな・・・」

 その言葉をも聞かぬまま

 オレはその場から去った。

 「何だってんだ・・・畜生ッ・・・」

 自然と、足は彼の部屋へと向かっていた。

 何も言わずにふすまを開ければ、

 当たり前のように、アイツはそこにいた。

 まっさらな、羽みてーなふとんに

 死んだように眠ったアイツに

 「総悟・・・」

 何だか

 すぐにでもどこかへ行ってしまいそうで

 そっと
 
 そっと

 名前を呼ぶ。

 ちりん、と

 秋の冷たい風が

 しまい忘れた風鈴をゆらす。

 すると、

 「・・・・・・あれ、片付けねーと」

 何事も無かったように

 まるで、今までも

 そしてこれからも

 ずっとずっと生きていて

 オレと話でもしてるみてーに

 アイツは、赤茶のひどく澄んだ目を開いて言った。

 「・・・・・・起きてたのかよ」

 あぁ
 
 オレは今

 どんな顔で笑っているのだろう。

 きっと

 ひどく虚ろな目で

 涙のあとなんか残って

 「・・・・・・・・・ユメを見ました」

 「・・・・・・」

 オレは返事をしない。

 言葉をかけるには

 オレの喉はかわきすぎていたから。

 「・・・・・・泣いてんでさァ」

 ちりりん。

 「姉上が・・・・・・こんどーさんが・・・

  山崎が・・・・・・アンタが・・・」

 ちりん。

 「みーんな、みんなでさァ」

 そう言って、ふふっと笑う。

 「おかしいや・・・アンタの泣き顔なんて」

 亜麻色の髪が、さらさらとゆれる。

 「拝んだこともねェのに」

 おれが死んだら、見られますかねィ なんて。

 口元を緩める。

 「総悟・・・」

 「土方さん・・・おれ・・・」

 アイツは、首を少し傾けて、こちらを向いた。

 「死ぬんですかィ」

 表情を少しも変えずに

 真っ直ぐオレを見つめてくる。

 そんなんだから

 涙が

 ポロポロ、ポロポロと

 また 

 あー、畜生

 ガマンしてたのによー。

 オレは繊細なんだ。

 もっと言葉を選べ、アホ。

 いろいろ言いたかったが

 口には出せなくて
 
 オレはアイツをひっつかむように抱き起こした。

 アイツは、痛ぇ、と一言呟いただけで

 他に文句は言わない。

 何でだよ。

 何とか言えよ。

 死ね土方、とか。

 そんなバカなこと言って

 バズーカもってこいよ。

 ムカついて、悲しくて

 オレはアイツの頭をぐしゃぐしゃに掻き回す。

 ちりりんっ・・・

 ちりりりんっ・・・

 「おれ・・・」

 ちり・・・

 「まだ・・・死にたくねぇなァ」

 「・・・あぁ」

 「もっともっと生きてぇな」

 「あぁ」

 「土方さんを殺すのは、おれですからねィ」

 「あぁ」

 



 うたかたの、

 あわのようだとひとはいう

 ゆらゆらゆれる
 
 あなたのいのちを。

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