二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- そこに空があるから [inzm]
- 日時: 2014/02/11 13:27
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
---祈りましょう
全ては誰のために?
---信じましょう
全ては何のために?
---癒しましょう
全ては貴方のために?
---始めましょう
全ては自分のために?
---集いましょう
全ては皆のために?
*
はい!皆様、夜桜です
ずっと、魔法ものが書きたかったんです!
そして、気が付いたら…新スレを立ててしまいました
はっきり言って好きなジャンルだけど…苦手なジャンルです
もしかしたら、魔法関係無しに日常だけになるかもです
注意事項
・挫折大!!!←重要
・更新スピードは物凄く遅いです!!!!
・内容は考えてません(設定だけは考えたよ)
・オリキャラ出します
・あくまで、主スレは「心に灯る星」なのでこれは…続くかどうか不安ですね
・悪口、荒らしはご遠慮ください
・本人これでも真剣なので、温かく見守ってくれるとうれしいです!
・パクリ禁止!!!
・原作のキャラ無視でオリキャラが目立つこと、多いです←
-----目次-----
プロローグ>>1
1話「世界を蘇らせた巫女」>>9
2話「風の使い」>>16
3話「日常と“気”」>>21
4話「氷の戦慄」>>29
5話「白い少年と少女」>>33
6話「氷の使者」>>35
7話「いるはずのない魔物」>>40
8話「狂嵐と京嵐の姫君」>>49
9話「インランスの“王代理”と“王”」>>54
10話「インランスの加護」>>60
11話「北へ」>>65
12話「北にいる南の魔物」>>68
13話「スインルーグの加護」>>73
14話「南の魔物を放した男」>>77
15話「ウィンフールの次期王」>>94
16話「ウィンフールの加護」>>111
17話「来客」>>113
18話「ヒーファイトゥの加護」>>117
「パンドラ」>>124
19話「笑う事を忘れた少女」>>130
20話「セントラルへの道のりで」>>136
21話「霧の中」>>138
22話「無邪気さの裏」>>142
23話「守った者」>>144
24話「大切な絆」>>147
25話「報告」>>151
26話「笑うことを決めた少女」>>153
27話「潜む影」>>161
28話「憎み羨み、そして」>>166
29話「苦しさを失くした少女」>>170
30話「森に響く声」>>173
31話「双子---姉と兄」>>179
32話「双子---妹と妹」>>185
33話「狂い咲く華」>>189
34話「傷み」>>192
35話「銀色の少女」>>201
36話「双子---兄と妹」>>205
37話「ターナとルーナ」>>209
38話「重要」>>213
39話「泣くことを忘れた少女」>>218
40話「響」>>220
41話「捨てるのは“自分”」>>230
42話「姉弟」>>233
43話「真」>>237
44話「嘘と本当」>>242
45話「災いの魔法」>>246
46話「“声”」>>249
47話「確かめ」>>253
48話「5年前の『終焉』」>>256
49話「眠り」>>260
50話「漆黒の幻想」>>263
51話「真とマコト」>>267
52話「黒キ想イ」>>268
53話「2人の弟」>>274
54話「夜の帰還」>>277
55話「自分を偽り続けた少女」>>286
56話「青髪の少年」>>292
57話「歴史の眠り」>>297
58話「純白の紅」>>300
59話「紅の道化師」>>303
60話「“ミユ”」>>305
61話「自分すらも失くした少女」>>312
62話「闇をとらえる」>>315
63話「冷たいの旋律」>>319
64話「幼き声」>>324
65話「“ルイ”」>>326
66話「凍りつく鈴蘭」>>332
67話「儚く」>>335
68話「ゲーム」>>338
69話「空に舞う雪のごとし」>>341
「キセキ」>>348
70話「聖令会」>>349
71話「5年前の行方不明者」>>354
72話「罪人」>>359
73話「攻め込み」>>360
74話「戦争」>>365
75話「月神」>>368
76話「多すぎる敵」>>371
77話「アンデッド」>>374
78話「冥界からの戦人」>>379
79話「最高のタイミング」>>383
80話「炎の天使姫」>>388
81話「戦人は夜に消え」>>391
82話「帝王」>>398
83話「欠けた石版」>>407
84話「手掛かり」>>410
85話「記憶を探しに」>>414
86話「それぞれの地」>>417
87話「仕掛け扉」>>420
88話「集いの巫女の聖地」>>423
89話「試練」>>426
90話「操縦者」>>429
91話「すべては今から…」>>432
92話「言っておきたいこと」>>435
93話「前夜」>>439
94話「シャズンズ城」>442
95話「分かれた先に」>>445
96話「それぞれの戦い」>>448
97話「迷い」>>451
98話「彼女の思い」>>454
99話「心が流すモノ」>>457
100話「無機質な涙」>>460
101話「流れるは透明な」>>463
102話「過去」>>466
103話「黒の言葉」>>469
104話「雷帝」>>474
105話「銀色の涙」>>479
106話「レオンという少年」>>487
107話「氷」>>490
108話「ひとこと」>>493
109話「進む」>>498
110話「異変」>>501
111話「対面」>>502
112話「兄」>>503
113話「私の声」>>506
114話「レオン」>>511
115話「氷裏」>>513
116話「ラスト・ブレッド」>>514
117話「地下」>>516
118話「終わりの巫女」>>517
119話「だって貴方は」>>523
120話「集い」>>525
121話「目指す場所」>>526
心時計メモワール
【私と貴方と運命論】>>521
-----オリキャラ&設定-----
星宮そら>>7
月風かがり
優樹つらら
凪原ゆうり
神田舞衣香
神田菜乃香
朱里澪>>95
真・マコト>>291
朱里心結>>296
天音美月>>364
姫佳様オリキャラ
ラティア・クラリス>>13
ティアラ・クラリス
おーかみ様オリキャラ
リオン>>382
設定紹介>>5
登場人物>>10
登場人物・敵version>>139 >>169 >>289 >>309 >>358 >>403
頂き物
風風様より 《悪逆と極悪な言葉と思い》>>477
☆来てくださったお客様(読者様)
・天音様
・姫佳様
・桜花火様
・おかゆ様
・紅闇様
・桃咲 梨莉様
・玲奈様
・雪姫様
・さくら様
・海穹様
・風風様
・甘楽様
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- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.531 )
- 日時: 2014/03/05 17:19
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
224「家族のかたち」
「護衛。いるだろ?」
「そーそー!私たちが氷裏に着いていかないわけがない!駄目なら勝手にいっちゃうからね!!」
宣言をする双子
この勢いでは何を言っても勝手に来るだろう
「ターナ、ルーナ。貴方たちにも出来る事はあるわ。だから、此処に残って」
「「嫌だ」」
誰かの溜息
特定が出来ないのは何人もがしているから
「判ったわ。だけど、こちらの指示には従ってもらう」
ラティアが言う
それを聴きターナとルーナの瞳が輝く
「レオン。今までお前を止めることが出来なくて悪かった」
「生きて帰ってこいよ」
ルイ、イクトが言う
「ああ…。リンとアンを、リオンを頼む」
「あら。私の心配はしてくれないの?」
心結が笑う
「お前は強いからな。心結」
「いいのよ。ごめんね、貴方の闇に気が付いていながら私は何もできなかった
そして、貴方も私も、大切な人を傷つけてしまった」
「それは僕のせいだ。心結を縛って傷つけた」
心結は首を振る
「ううん。私もね、弱かった。私は逃げてきた。皆を逃げ場所にしたの
でも…此処にいたい、そう思ったのは嘘じゃない」
だから、心結が続けた
「自分の責任だと、1人で背負い込まないで」
「私たちは、こんな関係で、人から見ればきっと可笑しいんだと思う。だけど、それでも…」
心結に続きリンが言葉を紡ぐ
「こんなに歪でも、私たちは家族だから」
幼い少女は笑う
強く、明るく、優しく
彼女は強くなった。幼い頃、無償で与えられるはずの親からの愛を知らなかった彼女が
“家族”だと言い、それを大切に、大事に、朗らかに、笑う
「そうだな。家族…か」
レオン自身、家族というものを知らない
守りたい妹はいる。だか、それだけ。親なんて信じていない
親の顔を思い出そうとするだけで気分が悪くなる
そんなレオンに家族
「でもね、その単語を教えてくれたのは、氷裏だよ」
リンが言う
自分たちの立ち位置が分らず、関係が分らず、曖昧な関係をどう表せばいいのか
そんな時、氷裏が言った『家族なんだ』と
自分たちは歪な関係で、皆それぞれ悩みがあって、苦しみがあって、消えない過去があって
それでも、出会えて、一緒にいるようになって
それはきっと、家族というものなんだ
氷裏は告げた時、とても穏やかで何処か遠くを見ている様な懇願するような瞳だった
リンはそう記憶している
「氷裏が?」
レオンは少し遠くでかがり達と何かを話している氷裏を見る
「レオン。私は家族を知らない。あんな形は違うというのなら、
私の知る家族はみんなだよ。レオンと氷裏が私を助けてくれて、イクトが馬鹿やってミユが優しくてターナとルーナがルイにつっかかってアンがそれを楽しそうに眺めていて…フーガはいつも仲裁役で。
私はそんなみんなと一緒にいる時が幸せだった。これが家族なんだって、思えたの」
「妾は感謝している。確かに、貴方がしてしまった事は褒められた事じゃないけど、
許される事じゃないけど、妾は良かったと思っている。少なくとも、
貴方が求めたことは、貴方が妾たちにしてくれた事は、間違いじゃないから」
アンは告げた
使うだけ使い、記憶を消され、利用され、捨てられたアン
だが彼女は告げた
“間違いじゃない”と
それだけの言葉がレオンの心をどれだけ救うのか
それだけではない
イクトがルイが、リンのアンの、ターナとルーナと、氷裏
いや。それだけじゃない。もっと、もっとたくさんの
レオンにとって、皆にとって唯一の大人。フーガ。彼はレオンに間違いを告げた
そしてレオンに否、ゼレフに殺された。だがフーガは正しかった
何よりもレオンの事を考えた言動だった
其々がレオンに与えてくれた言葉
其々がレオンを信じていた事実
其々がレオンと過ごした時間
全てが、現在(いま)レオンの目の前にいるという事が
レオンという人間を証明し、立たせている
其々の存在が実の妹であるリオンすらも知らない5年分のレオンを創世している
レオンの仲間が、レオンの友達が、レオンの家族が
5年で傷つきながら、苦しみながら、レオンが手に入れたものだ
レオン、後ろから声がかかる
「ターナ、ルーナ」
「僕たちは、氷裏にあんな事をさせているお前が、許せなかった」
ターナが告げたこと。ゼレフに操られ、してしまったこと
「氷裏は、上であるお前から命令されて行動している。そう、思っていた」
レオンは何も言い返すことができない。言い返す言葉をもたない
「違う。そう、思いこもうとした」
言葉をつなげたのはルーナだった
幼い少女の瞳は潤んでいた
「私たちは、氷裏に助けてもらった。その印象が強くて、貴方を忘れてしまっていた」
2人は告げた
氷裏が声をかけた時、すぐに来たのはレオンだった
レオンはあえて自分たちから距離を置き、心を開くときをまっていたこと
いつも、自分たちの事を守っていてくれた事
本当は知っていた、と
「私たちは知っていた。なのに、忘れてしまっていた」
「氷裏と同じぐらい、助けられて、救われて…。レオンがいなかったら、
氷裏も皆も、僕等も、いないのに…」
「それに気づくことが出来なかった。それを、忘れてしまっていた」
「「貴方がいなければ、笑えなかった」」
2人は泣きそうな笑みで告げた
2人は氷裏が好きだった。助けられて、救われて、親身になってくれる人だったから
その氷裏を利用し、使っていたのは他でもないレオン自身。ゼレフに操られていた、言い訳はある。だか、それでもレオンの罪だ
それを踏まえて、ターナは、ルーナは告げた
笑えなかった、と。レオンがいたから皆が出会い、笑う事が出来たと
レオンとって、その言葉があれば立つことが出来た
帰ってこられるか判らない闇の中へ、進む勇気になる
「(フーガ。弱くて、ごめん。弱くて…。でも、今度こそ僕が守るから)」
遠目でそれを眺めていた氷裏
その瞳は渇望するようで、祈るようで、願うようで
彼女が望んでいた光景。彼女が再び見たかったもの。彼女が、守りたかった全て
「なーに、黄昏てんの」
「別に。ただ…あの中で誰か1人だけでも、前へ踏み出せたら…。
あたしだけでも、前へ進めたら、こんな事にはならなかったかもしれない」
辛そうだが、確かに笑っているレオンを見て氷裏が言う
「あたしは…あの子を守りたかったのに、あの子に、笑ってほしかったのに」
レオンに救われた。レオンがいたからずっと忘れていた、
誰に呼ばれる事のなかった名前を思い出す事ができた
レオンがいたから、生きる事ができて、笑うことができて、
皆と出会えたから安心しできる場所ができた
全部、レオンがいたから
だが、氷裏はレオンに与えられるばかりで何も返せていない
レオンに笑ってもらう事すら出来なかった。
それが辛くて、哀しくて、自分の無力さを思い知らされて
なのに、レオンが笑っている。哀しそうであるけれど、
完全な笑みとは言えないけれど確かに、笑っている
「あの子たちの心が、想いが、レオンを支えている…。あたしが、望んで願って祈った光景」
寂しい。レオンはきっと変われる。いま、笑う事が出来たように。
変化を寂しく思うのはきっと、自分も変わらなければいけないと、気が付いているから
「なら、アンタも変わりなさいよ。今度は、着いていくんでしょ」
その言葉に氷裏が頷く
「当たり前よ。アイツを、絶対に独りにしない。もう、二度と…」
其々の決意を胸に
「いいね!皆!!絶対に全員無事でいること!」
ティアラが告げる
「巫女はきっと闇を抑えている間無防備になる。だから守り抜きなさい」
かがりが推測を述べる
「道、出来ました!」
美月が宣言する。結界を調和させ通り抜けるための道を開けていた美月、菜乃香
「私たちは私たちに出来る事を。だから、皆も気を付けて」
「行って来い!んで、無事で帰ってこいよ!」
秋がにこりと笑い告げ円堂がニカっと笑い親指を立てる
「あったりまえ!!」
「もちろん!」
各々が応える
そして結界の向こうを見つめ、飛び込んだ
“いつだって、前へ進めば何かが変わる”
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.532 )
- 日時: 2014/03/31 20:33
- 名前: 夜桜 (ID: AuasFZym)
225話「闇の中」
視界がグラつく
思考の全てを止めてしまいたくなる不快感
星も月も見えない夜に舞い込んでしまったかのような感覚
「苦しいわね。此処」
「そうね、人が嫌う感情を閉じ込めた様な…」
まるで開けてはいけないパンドラの箱の様
「パンドラの箱なら奥に希望があるはずだよ」
無闇に進むことは出来ない
出来る事は、前へ進むこと
より闇の深い場所へ
より世界の絶望へ
「敵がいなんだね」
「さっきから、まったく。出てくる気配すらない」
ティアラが確認をするように呟くとルーナが同意を示す
「人って、こんなに闇に染まれるんだね」
そらが静かに独り言の様に言う
どういうこと、尋ねる様に足を止める
私は、そらは告げた
「闇に囚われていても、レオンの様に心の底では光を持っていると思っているの。だからこそ、敵であったターナやルーナ、氷裏、他の皆も私たちと同じ先を見据える事ができた。だけど…」
光が感じられないということか、レオンが続いた
それに対しそらが頷く
「ゼレフが眠っていたのは千年だ。その千年間で、変わるだろう。たとえ、アイツに光があったとしてもそれが闇に変わっても不思議じゃない」
そうだけど、視線を足元に落とす
「おい。止まっている時間はないんだろう」
いつの間にか先頭にいたターナが進むことを促す
*
来たのか、苦しいほどの暗闇で彼は呟く
もう少しだというのに、何故…邪魔をする
もう少しだというのに、何故だ
お前たちはいつも…俺を追い詰める
俺をこうしたのはお前たちだというのに
進むしかないのだ
そうじゃなければ、俺…
*
「随分遅いお出迎えね」
挑発するようにラティアが告げる
「何アレ?カゲ?」
ティアラが首を傾げる
「こいつ等を倒さないと進めないの?それともあれをどうにかしたら進めるのっ?」
氷裏が目の前に見える壁を指す
壁、というのは正しくはない
正しく言うのならば城壁
一ヶ所のみある門
簡単には開きそうにはない
「どうして」
ルーナが声を上げる
「なんでアイツ等私たちに攻撃してこないの」
人の形をしていない黒いカゲのような2体は門を守る様に存在している
だが、一向に動く気配がない
少し考える素振を見せラティアとティアラがアイコンタクトをする
「アレを一旦あの場から移動させましょう」
「その隙に私とラティアで門を開ける。そのうちに向こうへ行って」
その言葉にかがりが声を上げる
「アンタたちはどうするのよ」
「私たちを誰だと思っているの。門が閉まるまで…そうね、10秒、否5秒あれば向こうへ行く事ができるわ」
ラティアが淡々と答える
「だいじょーぶ!任せておいて!」
綺麗な笑顔でティアラが宣言する
「行くわよ!」
掛け声と共に動き出す
カゲに向かって氷裏が氷の礫を、かがりが凝縮された水を放つ
カゲ2体は2人を視界へ入れ動き出す
大きなカゲの動きは遅い
だがその分威力が大きい
一発でも当たってしまえば重症になってしまうだろう
「っ!当たったらゼレフ殴る前に此処でお陀仏じゃない!」
「何言ってんのよ!生きて帰るんでしょう!!」
かがりに対し氷裏が言う
わかってんじゃない、かがりが笑う
だが、この状況を本気で笑えるのなら狂っているのかもしれない
かがりは思う
あの門を通れたとしても、このカゲたちが追ってこないとは言い切れない
この門の番人であるのなら簡単に開ける事は可能だろう
そうなってしまえば考えた事は全て無駄となる
だが、悩んでいる暇は存在しない
進むことしか残されていないのだから
「行けるわね」
「もちろん!」
ラティアが、ティアラが、魔力を掌へと運び門に触れる
微動だしない門が僅かに動く
全神経を使い魔力に繋げる
周りの騒音でさえ2人には届かない
一筋、二筋と汗が伝う
重たい、ラティアは感じる
実際の重さではない。この闇が重力を変えてしまっている
普通の門であるのなら既に開く事が出来ている
だが、それがまだ出来ていない
苦しい、このままでは不味い
ラティア、呼ぶ声が脳裏に響く
隣を見れば苦しそうに笑う姉の姿
どんな状況でも笑う姉
いつも冷静に判断し、前へ進んでいる様に見えて、どちらが姉だか、と呆れた声をよく耳にしながらも本当は違うのだ
いつも前へ先に進み笑っているのは姉
いつも、ラティアが手を伸ばしている様で、道を教えている様で、本当はいつもティアラだった
笑って前を歩く。手を伸ばして、背中を押してくれるのはいつだって
「大丈夫」
私の一番近くで支えてくれるのは姉(ティアラ)だった
そうだ。この、誰よりの身近に感じる笑顔は私に勇気をくれた
「大丈夫だよ、ラティア」
そうね。貴女が言うと、信じる事ができる
そして、1人を認める事で周りを認める事ができる
思い出す。周りの姿を
強く、前へ進むきっかけをくれたかがり、笑ってくれたそら
苦しみながらも必死に前へ進むことを選んだ氷裏にレオン
今度は自分たちが守るのだと、幼い拳を握ったターナにルーナ
そして、外でラティアたちの帰りを待ち、闘ってくれている仲間たち
そうだ。独りでいるわけではない。今だって、周りがいるから出来ている
ラティアたちは守っている様で守られている。守られている様で守っている
魔力の揺れを感じた
門を見れば、全てではないが開いていた
「ティアラ、ラティア!」
そらが呼ぶ
「急いで!!」
「速く!!」
その声に一瞬震えた
「行くぞ!氷裏!」
「かがり!」
レオンとそらがカゲと対峙する2人を呼ぶ
皆が門の向こうへと入る
最後に、ギリギリまでカゲを相手にしていたかがりが通る
一息つきすぐに振り返る
そして目を見開いた
「な…んで」
門は閉まってゆく
「ラティア!ティアラ!!速くしなさい!」
門の向こうにまだ2人がいる
2人は笑った
「「____________」」
何かを言っていたが、聞こえなかった
閉まった門を叩く
「ラティア!ラティアぁぁあ!!!」
「ティアラ。ねぇっ!!!」
かがりの声、そらの声
“大丈夫だよ”
脳裏に響く声
ティアラ?そらが口に出す
“ごめんね。勝手な事して。だけど…ここでアイツ等倒してから後を追うから”
「無茶よ」
“そら。そらは、強いよ。自分の中の光を信じて。そして、自分を、私を信じて。私は、貴女に嘘をつかない”
「だけど…ティアラ」
震える。門に触れ、小さく震えた
“大丈夫。私に自由である事を教えてくれたのはそらじゃない。だからね、今度は私が”
「ラティア」
“何かしら”
そらの隣でかがりがラティアを呼ぶ
「貴女がそっちを選ぶなんて、思わなかったわ」
“今、優先させる事は貴女たちをゼレフの前まで連れてゆくこと。この場を切り抜けたとしても、追ってこないとは限らない。なら…私とティアラでここを食い止めるわ”
「…格好いいことするのね」
“かがり。貴女と初めて話したと、貴女は私の手を掴んでくれた。そして背中を押してくれた。だから、たまには私に背中を押されなさい”
ラティアは考えた
自分になくてかがりにあるもの。未だにそれが何なのか、よく分からない
だが、その何かがこうさせている
“大丈夫よ。私が貴女に嘘をついたことはないでしょう”
その言葉にかがりは息をのむ
「そうね。ラティアはいつだって真っ直ぐだった。いいわ、先に行って待っていてあげる」
「「必ず追いついてきて」」
離れてゆく感覚
「行った…みたいだね」
「えぇ。これで、いいのよ」
自分たちの考えた最善の策
だが寂しいものだ。2人しかいない
いや、違う。2人もいるのだ
大丈夫、皆なら、そして私たちなら
「私とラティアがいれば、恐いものなんて何もない」
「守りたいモノがあって、守らないといけない約束がある」
ラティアはいう
いくつもの約束をしたと。世界を守るというもの、生きて戻るというもの、目の前にいるカゲを倒すということ、追いつくということ
知らなかったのだ。たかだが約束、破ったことで得に何もないだろう
だが、守らないといけない。その約束の数だけ、そう思える
その数だけ、強くなれる。前を向ける。独りではないと、信じていられる
「行くわよ。ティアラ」
「オッケーだよ!ラティア」
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.533 )
- 日時: 2014/04/01 21:31
- 名前: 姫佳 (ID: LOQQC9rM)
- 参照: 今頃進撃の巨人にハマるとか。リヴァイ兵長おおおお((ry
お久しぶりです。・・・あれ、なんか前もこんな感じで入ったよね←
無事3年への進級が決まり、教科書も買って、新学期を待っている姫佳です。つーか、このまま春休み終わらないでほしい。もっと進撃にハマってたい。兵長に浸ってたい←
ティアラ「うん、本当に今さらって感じだよね。」
2〜3カ月遅れてブームがやってくる人間ですので←
あー、でも春休み続くと修学旅行行けなくなる。グアム行けなくなる。初海外ヽ(^o^)丿
本編読んで思ったことは、ラティアと美月ちゃんにフラグ立てたい。いやマジd((蹴
ラティア「ついに頭が狂ったようね。」
私に画才があれば、絶対薄い本系のイラスト書いて送ってt((殴
ラティア「いや、それ迷惑だから。」
これからも更新楽しみにしてます!
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.534 )
- 日時: 2014/04/04 19:03
- 名前: 夜桜 (ID: AuasFZym)
姫佳
久しぶりーっ!
私は入学して次の日に合宿?的なことをしてきて
今日帰ってきたよ?
あ、でも寮生活してるから帰ってきたって表現は違うのか?
わからないからいいや
来週から授業スタートです
いろいろ大変そうで頭が痛い…
あれ?ん…そんなフラグ立ちそうなことしたかな?
あ、でも2人の短編は考えてるよ
イラスト?全然ウェルカムだよ!
はいはーい。頑張りますよー!
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.535 )
- 日時: 2014/05/02 20:18
- 名前: 夜桜 (ID: RqJf1b70)
226話「水と音」
「行くわよ」
静かに門に背を向けかがりは言う
「え?いいの」
いいのよ、問うルーナにかがりが返す
くぐったような声
だが、確かに強い声
「ティアラの強さも、ラティアの強さも、私たちは知っている。大丈夫」
あの2人は大事なことに対して、嘘をつかない
私は、私たちは。そらが告げた
「薄情だと思われるかもしれない。だけど、これが最善なの。あの2人を私たちは信じている。
絶対に大丈夫だって。だから、信じて前に進めるの」
*
「あーあ。こんなに服、ボロボロにして。私、あとでリオンに叱られちゃうよ」
煙が立ち込める中、似合わぬ声が聞こえた
「今更。ここに来るまでの間に既にボロボロでしょう」
澄ました声が呆れたように言う
門を背にして2人の少女はいた
「いつの間にか立場が逆転したね」
その発言に頭を抱える
もう少し、緊張感というものを持てないのか
悪魔姫はため息をついた
そんなの持ってたらやられちゃうよ、天使姫はにこやかに笑う
「≪天使ノ戒≫」
ティアラがカゲを拘束するように鎖で囲う
「≪悪魔ノ涙≫」
ラティアは頭上より魔力の籠った雨を槍の如く降らす
「ティアラ、いいわね。距離を保ち続けるのよ!」
「誰に指示してんの?私はラティアのお姉ちゃんなんだよ!!」
ラティアの脳裏に遠い過去の言葉が横ぎった
“人と触れ合う事で、笑う事で、あの子は強くなった”
そうだ。あの時からずっと知っていた
ティアラは私よりも早く出会い、そして見つけていた
自分が自分でいられる場所を。自分を出し切れる場所を
「休まずいくわよ」
「了解!」
2人の姫がカゲを見据える
「≪悪魔ノ十字≫!」
罪人を裁く十字がカゲへと向かう
カゲはそれを避ける
「≪天使ノ円舞曲≫」
ティアラはそれを知っていた
相手を惑わす軽快なリズム
リズムは実態となり音となる
音にぶつかり、普通ではできない動きをし十字がカゲへと再び挑む
「まだよ!」
ラティアがそのまま十字をカゲではなくカゲの頭上へとぶつける
同時に天井が崩れカゲを襲う
「うわ。まだ、いるよ…」
「本当に、しつこいわね」
呆れた後にラティアは静かに告げた
「他に沢山いるよりも、貴方と2人の方がやりやすいわ」
「あったりまえだよ!私たちが2人揃えば無敵なんだから!!」
応えるようにティアラが笑う
「≪悪魔ノ前奏曲≫」
「よし!≪天使ノ炎舞≫」
今度はラティアがカゲを誘いティアラが打つ
カゲの手から鎌が落ちる
「上手くいったわね」
「うん。このまま行ける?」
「行きましょう」
強くカゲを見据え魔力を操作する
「≪水ノ弓≫」
鋭い水
聖なる水
清き水
全てがカゲを打つ
「やっ…た」
ティアラが安堵の笑みを浮かべる
「そう、ね」
ラティアが魔力を使い果たしのか崩れる
「ラティア!!」
「大丈夫よ…はやく、後を追わないと」
ティアラがラティアを支え前へと進む
ラティアが小さく笑った
「何?」
「まさか、貴方に肩を借りる日が来るなんて、思わなかったわ」
「何それ。嫌味?」
見るからに不機嫌な表情をする
そうじゃないわ、ラティアは告げた
やっぱり、先を歩いているのはいつも貴方なのね
門へと近づいた
満身創痍だった
油断していた
それが、命とりだった
後ろからいきなりの衝撃
2人は共に門へと撃ちつけられた
*
「「!」」
そらとかがりが後ろを振り返る
「どうかしたのか」
「いや。何もない」
「先を急ぎましょう」
前へ進もうとするそら、かがりに声がかかった
「待って!やっぱり…戻ろうよ」
ルーナは弱い声が言う
「2人に、何かあったんじゃないの?そんな顔してるよ」
「判らないわ。だけど、あの2人なら、たとえ命を犠牲にしてでも、戦いぬくわ」
「ならっ!」
「その意思を、私たちは裏切れない」
続けたのはそら
「裏切ったら…私たちが逆にあの子たちにやられちゃう」
でも、ルーナが戸惑いの色を見せる
緊張が走る
それを破ったのは幼い少年のため息だった
「仕方がない。僕とルーナがあの姫さん方のところまで戻る」
え、その発言にそれぞれ反応をみせる
「それならいいんだろ。僕たちは守護者でも巫女でもない。氷裏の護衛のつもりで来たけど」
ターナはレオンを見る
「お前がするんだろ」
試すような、幼いはずの少年の大人びた声
レオンが頷く
「ルーナ。行くよ」
「え?あ、うん!姫ちゃんたちは私たちに任せて!」
2人は来た道を戻る
それを見てかがりは嬉しいようなため息をする
「はぁ。ま、いいわ」
「ちょっと、気が楽になったかな」
*
ら、てぃあ
声が聞こえる
この声は誰よりも自分に近い片割れの声
「ティアラ…」
顔をどうにか上げれば少し離れたところに倒れている姉の姿を伺える
「ラティ、ア。わた、し」
「無理に話さないで!」
「まだ、戦える。まだ…いける」
告げるがティアラは下を向き動かない
目を見開いたとき、ラティアの視界に残った“音”が入った
あの音は、ティアラが攻撃力をあげるために使ったカケラ
“クレッシェンド”の効果
ティアラ、かがり、そら……みんな。ごめんなさい
ちょっとだけ、無茶をさせて
ラティアの既に使い果たしているはずの魔力が高まる
極限まで
普段ならそれをさせる事ができない
なぜなら、それ以上は命にかかわることであるから
「≪水妖ノ弓≫!!!」
叫びに近い声が響くなか
鋭い音
崩れゆくカゲ
荒い息
「こっちの、仕事。終わったわ…」
ラティアはティアラを見る
出来るならすぐに治癒魔法を使いたい
だが、それをラティアは使えない
門に背中を任せそのまま崩れる
「少し、休ませて」
美月がいたら、叱られるのかしら
だけど、今は少しだけ、眠りたいの
起きたら、ちゃんとするから
*
息をのむ音が僅かに響く
「そら…?」
「風が、やんだ…」
その言葉にかがりは幼い双子が戻った道を、そして自分たちの親友のいる方向を見た
ティアラ、ラティア
「信じてるから」
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