二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ボカロ小説集
日時: 2011/12/16 22:41
名前: 緑翠&藍蝶 (ID: gZQUfduA)

緑翠と藍蝶の合作小説始めました!

ボーカロイドのリレー形式小説集です。

藍蝶→緑翠→藍蝶の順番で書きます^^こんがらがっても最後に書いた人の名前を入れておくのでご安心を。

*決まりごと*
・荒らしお断り。チェンメも同じく。
・コメント大歓迎。リクエストもどうぞ!
・緑翠はカキコ初心者。温かく迎えてやってください。叩くのは無し。

目次
【ラストステージ】
キャラクター紹介 >>1
第1話<藍蝶>  >>4
第2話<緑翠>  >>5
第3話<藍蝶>  >>6


作成日
2011/11.23

Page:1 2



Re: ボカロ小説集 ( No.4 )
日時: 2011/12/06 18:42
名前: 藍蝶 (ID: gZQUfduA)
参照: ごめん緑翠、ノートがないからどこまで書けばいいか分からん^^;

第1話 鈴視点


また、まただ。

「マジ可哀そう!独りでよくいられるね〜」
「え〜、慣れたんじゃない?」
わざと大声で話す悪口。皮肉ったらしい。
独りぼっちの僕はただただ、何も書かれていない黒板を凝視するだけで休み時間を終わらせていた。
でも大声は笑う集団が存在するのはどこでも当たり前なわけで、同じ部屋で笑う奴らが憎かった。僕の事を嘲笑っている事が多いのは、周知の事実である。
予鈴が鳴った。聞きなれた福音、すぐに教室を飛び出す。移動教室の授業だ。

授業中でも当たり前の様に小さい嫌がらせが続く。「死ね」と書かれた紙がそこらから沢山飛んでくる。僕は読むことのない紙切れが犠牲になるのを、たまに同情していた。いや、同情するようになった。
(アンタ達も千切られて捨てられて可哀そうね)
授業中、催眠電波を流す教師の前で寝ることはなかった。紙切れが飛んでくるせいで。おかげで授業はまともに聞けるから、感謝すればいいのか。

帰り際いつも耳元で囁かれる言葉。
「お前、家に父さんも母さんもいなくてどうしてんの?独り虚しくただいまですか〜あ?」
一度ムカついて相手を殴り飛ばした。なのに、担任はこっちの非しか言わない。味方がいないと分かったのは、まさにその日だった。

「……あ」
雨がポツポツと降り出した。今日は傘持ってきてないんだっけ。
置き傘はあるかな、と一瞬思って諦めた。多分”また”壊されてるか誰かに取られてるんだろう。
仕方ないからそのまま通学路に出た。靴の中に雨水が滲みて、とても冷たかった。僕のところまで走ってきた女子達は傘を半開きにし、また勢いよく開けることで溜まった水滴を僕に向かって飛ばしびしょぬれにさせた。
僕が顔を上げた時、彼女等が遠くに笑いながら走っていくのが見えた。
勢いを増す雨は、虚しくて悲しくてさびしい、まるで僕の心の中同然であった。


また次の日も、その次の日も同じような内容だった。
独りでいる、笑い話にされる、ハブられる、帰る。もう飽きた。
今日も独りで本を読んでいたら、隣の席の男の子が数人の取り巻きを連れてやってきた。
「鏡音さんだっけ。同じ苗字の人だよね」
同じクラスの女の名前くらい覚えろ、とは言わなかった。
「何」
「いやちょっとさ、皆笑ってるのに鏡音さんだけ笑ってないな〜って」
「それで?」
「うん」
「そう」
「……あのさ、鏡音さん」
「何」


「笑ってみたら?」

その言葉は僕の腹を立たせるのに十分過ぎた。
バンッと勢いよく本を机に叩き付け、立ち上がった。その音に周りがいっせいに静かになる。
「僕だって好きで無愛想じゃないんだ!!アンタみたいな人気者がそれ言うとホント腹立つ!!!」
それを僕が言った後、皆何も言わなくなった。
もう一人の鏡音さんが何か言い返すのを待っていたけれど、何も言わず固まっていたので、諦めて
「もういい」
とだけ言って、逆回しした様な動作で席に座りなおした。
————これだから嫌なんだ。人と関わるのは。皆が元に戻ったのは、僕が本を読むのを再開して二行目に差し掛かった辺りだった。

Re: ボカロ小説集 ( No.5 )
日時: 2011/12/13 20:22
名前: 緑翠 (ID: VmEJEvT3)
参照: だいじょうぶだよ、藍蝶。

第2話 鈴視点



もう嫌だ。
今日も僕は無意味ないじめに遇っている。
「なにー?こっちみないでくれるー?」
「気持ちが悪いんだけどー?」
前よりか少しエスカレートしている悪口。 


ガンッ!!

「痛っ」
「あぁごめーーんでもわざとじゃないんだよー?痛いんだったら保健室行ってくればー?」
「わっははは!!演技上手いねーあんたww」

はっきり言ってうるさい。早く視界からきえてほしい。目ざわり・・・というか僕にとって周りの人間、いや、世界中の人間が憎い。


授業に入った。いつもどおり教科書を取ろうと机の中に手を入れる。
(チク)
突然手に走る痛み。何か・・・刺さった?

ガサガサ、カラカラ・・・・。

・・・机からまち針が約15〜20本。悪口の書かれた紙が大量に出てきた。
「うわっきたね!」
「・・・」
私は睨んだ。
「こ、こっちみんなよバーカ!」


もう嫌だ。私の心、体はもうボロボロ。先生もいじめを見ているのに見て見ぬふり。

帰る途中。私は会いたくも無いやつに会う。あれいらい無視していたのだが・・・無視して押し通そう。
「鏡音さんー?」
イラッときたので早歩きして無視した。
「・・・」
「ちょっとまってよー」
「・・・」
「鏡音さんってばー」
ついに私は走った。クラスの中では足が1番速いから逃げ切れると思っていた。 

ガシッ

うしろにあった手をつかまれた。
「はなしてよ!」
「はなさない!」
握力がすごいので逃げれないと思い抵抗をやめた。
「どうして無視するの?」
私は心の中で答えた
人がきらいだから。とくにあんたが。
「・・・」
「・・・ねぇ僕はね君がいじめられるのを僕もいやだったんだよ」
うそつき。
「僕はいじめるのをさそわれたけど拒否したんだよ」
「・・・・なんで」
「やっと口を開いてくれた。なんでかっていうと君が笑ってなかったから」
「錬は誰の味方なの」
「君の味方だよ」
錬はにっこりと答えた。私は涙があふれた。
「鏡音さん、いっしょに勇気を出していじめをなくしていこう?」
私はちいさくうなずいた。
「・・・うん」
私達は明日、大きな敵と戦う。

Re: ボカロ小説集 ( No.6 )
日時: 2011/12/16 22:38
名前: 藍蝶 (ID: gZQUfduA)

第3話 <錬視点>


鏡音さんが泣いた。
僕のかけた言葉が嬉しかったのか、たまっていたものなのか。
どちらにしても僕にとっては嬉しい事。あの日からすっかり仲良くなった。
酷かった虐めも大体やんだが、まだ陰口はこそこそと続いているらしい。僕を騙してクラスを一掃するとか、僕が可哀そうとか、鏡音さんサイテーとか。
一発ぶん殴ろうかと思った。でも鏡音さんに止められた。
「十分なの」
我慢強すぎてこっちが泣きそうになった。陰口を延々と言われてもそれで十分なんて、欲が無い。

————。

——————ン。

———————錬。

「錬!」
「わぁっ!?」
びっくりした。気づけば鏡音さんの怒った顔が目の前にある。苦笑いして両手を広げて壁を作り言った。
「ごめんね、ボーッとしてた」
「そうなの?死んでるかと思った。あ、じゃあさっき言った事聞いてなかった?」
「え、何だっけ……」
思い出すフリをしながら別の事を考えた。
鏡音さん最近凄く喋るようになったし、乏しかった表情も七変化同然にコロコロ変わる。前の固定表情でいる時をあまり見なくなったな、と。
「今日、錬の家遊びに行くから。あ、一緒に帰っていい?」
「あぁそういう事。ん、分かった」
覚えといてよね、と微笑みながら読書を再開した。

帰り際、真っ先に鏡音さんが来てこう言った。
「さっ、帰ろっ!」

僕らも中学生なんだから、傍からみればリア充とか恋人同士とかそんな風に見えてんのかな〜なんて少しだけ思った。
いやまぁ、鏡音さんにそんな自覚はないと思うけど。

「うわっ……大きぃ……」
気づいたら僕の家の前。背丈よりも高い門、広がる庭園、聳える城の如き自宅。昔からのちょっとした自慢で、面と向かって言われると照れる。
「そうかなぁ?」
「うん、大きい大きい!いいなぁ、僕もこんな家に生まれたかった……」
きゃいきゃいと燥ぐ鏡音さんはごく普通の女子中学生にちゃんと見えた。でも、目が本気だ。ホントに生まれたかったような、目をしていて。
少し待っていると門が開いた。深々と数名の執事が頭を下げる。その中でも僕が最も信頼している執事に通学鞄を手渡し、こう告げた。
「今日は友達が来てるんだ」
手のひらを鏡音さんの方へ向けて、執事の目線を送る。鏡音さんは緊張したようにカチコチと固まり、ロボットの様にカクカク頭を下げた。
「かっ……かくあ、あ、噛んだ。……鏡音鈴です!」
何となく見ていて微笑ましい。執事たちの顔が緩む。僕の顔も緩む。そこに、コツコツと靴音が聞こえてきた。
「あら、錬君お帰り。……その女の子は?」
僕の母親。後ろにはメイドを二人引き連れていた。その母の口元はお帰り、までは緩んでいたのに鏡音さんを見るなり急に固く締った。あぁ、この目は絶対に人を見下してる目だ。
「僕の友達。最近仲良くなってさ」
「ふうん……」
母は鏡音さんを舐め回すように見てから僕に顔を向け、はぁ……と溜息を吐いてから執事たちにこう命令した。
「その娘、追い出しなさい」
凍りついた。絶対零度並みの冷たい言葉は場を一瞬で静めた。
いち早く元に戻ったのは執事たちだった。
鏡音さんの両腕を掴み、門の外へ放り出す。言葉も出なかった。
「錬っ……!?ゲホッ、ゴホッ」
余程強く叩き付けられたのか鏡音さんが咳き込んだ。
「錬、どういう事……?ごほっ」
「ちが「あら可哀そう、錬君にまたハメられた子がねぇ。悪いわね」お母様!」
ハッとした。鏡音さんが目に大粒の涙を溜めて、こっちを見ていた。
「酷い……酷い酷い酷い酷い酷いっ!!」
転がった鞄を拾い上げ、東の方へ逃げていってしまった。
何も言えないでいると後ろからクスクスと笑う声が聞こえた。
「あの子も馬鹿ねぇ。自分の事が相当な噂になってるのも知らないで。ふふ」
もう、本当に何も言えなかった。茫然と石畳の庭道を見ていると、
「ほら錬君。次ヴァイオリンのレッスンでしょう?最近やってないでしょう、早く支度しなさい」
「……はい」
トボトボと歩き始めた。あぁ、明日なんて話しかければいいのだろう。


<鈴視点>

酷いっ……!酷い酷い!
ハメたの!?ハメられたの!?貧乏で薄汚い僕を今まで嘲笑っていただけなの!?
息が切れた。留めていた涙が溢れる。ガチガチと歯が震える。
「……っ、ぅぅぅう」
しばらく道の真ん中で蹲って泣いていた。精一杯声を押し殺して泣いていた。
ようやく泣き止んだところでポツンと頭に浮かんだキーワード。
”バイト”
最近は錬と遊びほうけていて、バイトに顔を出さなくなっていた。クビかな?でももうすぐガス止められそうなんだよなぁ。
「行くか」
立ち上がって、ふらふらと歩き始めた。まだ目は腫れているのかな?ちょっと思ったけど、もっと大きな悩みが僕の行く先を拒んだ。

僕は、錬に嫌われてた。

Re: ボカロ小説集 ( No.7 )
日時: 2011/12/17 20:02
名前: 緑翠 (ID: BuoUCzPG)

第4話 <錬視点>



次の日。
「・・・」
どうしよう・・・もう学校は目の前。鈴になんて言おうか。
もういっそのこと行方不明になろうか。成りたいほど心が苦しい。
僕はランドセルを放り投げて逃げた。


 これじゃあ最初と同じ。また大きな敵が現れた。だけど僕にはもう戦う勇気が無い。もう逃げるしかない。


 いつの間にか僕は鈴と作った誰にもきずかない秘密基地にいた。ここはちょっと近くにコンビニがあるしそこの店員さんは、優しくて売れ残りの弁当はくれるし、なにより僕と鈴の味方だった。ここは学校から遠いし鈴が嫌われ者って事を知らないのだろう。しばらく、ここで暮らせる。

「鈴、ごめん・・・。そうゆうつもりじゃあなかったんだ。ゴメン、鈴。」
僕はその日1日中何度も同じ事を言ってた。



次の日、昨日の売れ残りはないかとコンビニにいった、するとテレビに
(00様のお子様が行方不明になりました)
フン、いい気味だ。ずっとここにいよう。しばらく鈴には会えないかもしれないけど。




<鈴視点>

 錬酷い。どうせ私の味方なんていって本当は嫌いだったくせに。だから追い出したのね。錬が消えたせいでまた始まったじゃない。


虐めが。


「あんた、錬君が好きだから隠したんでしょ?」
「ちがう。」
「分かっているのよずっといっしょにいたし。」
「ちがう。」
「いつまでも隠さないでよ。好きだからって。犯罪に・・・」
「あんな奴大っ嫌いだ!!!」
私はつかまれていた腕を凄い力で跳ね除け、走った。もう戦う勇気が無い。


 錬は酷い!あそこまで仲良くなって実は嘲笑ってたなんて。私は信じたのに!


 僕はずっとあの時楽しかった。あの楽しいままでいたかった!錬が居てくれたから救われたのに。あの時の嬉しさはたまらなく嬉しくて、あの嬉しさ、楽しさを知った以上もうあの時のように戻りたくなかった。



 しばらく前を見ず走った先は秘密基地だった。誰も居なくてラッキーだと思った。
 ふと錬のことを思い出した。思い出すと嘲笑ってた錬なんていなかった。むしろ僕のことを思っていつも優しく笑ってくれた。

タッタッタッ・・・・

えっ?誰?ここは私と錬しか知らないはず。

「鈴?!」
「錬・・・。」

 私は錬の前で思いっきり泣いた。

Re: ボカロ小説集 ( No.8 )
日時: 2012/02/11 12:35
名前: 藍蝶 (ID: gZQUfduA)

第5話<錬視点>


「ごめんなさいっ……ごめんなさっ……」

鈴が弱々しく膝から崩れ落ちるのを見たのは、これで二回目だった。

「鈴…いいよ、泣いていいよ」

そっと鈴をこっちに寄せた。彼女が泣くのは、あまり見たくなかった。
やがて、鈴がうわ言の様にポツポツと呟きだした。

「僕がもっと強ければ良かったのに」
「僕は泣いてばっかり」
「僕は弱虫なんだ」
「僕は戻りたくないんだ」

弱い力で僕を殴るその手が止まった時、うわ言も止まった。
泣き止んだらしい。じっとその場で二人一緒に固まっていると、鈴がまた口を開いた。

「あのね、僕、弱いんだよ」
「うん」
「僕、ずっと泣いてる、泣き虫なんだよ」
「うん」
「反論なんて一回もした事ない、出来ない弱虫なんだよ」
「うん」
「昔に目を向けられなくて、怖がってるんだよ」
「うん」
「そんな僕でも……」
「うん」


「友達でいてくれますか」

その言葉に、僕はニコッと笑って

「うん」

と返した。
鈴はパッと顔をあげて「よかった」と花の様に笑った。
あぁ誰なんだろう。鈴の笑顔を奪っていったのは。
誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう、誰なんだろう……————。

「錬、帰りなよ」
「えっ……」
「顔色悪いよ、さっきから喋ってくれないし」
「あ……うん、そうだね。でもなぁ」
「ん?どうかしたの?」
「僕今家出同然でここにいるんだよね、ニュース流れてたし」
「そうなの!?じゃあ尚更……」
「ううん、いいんだ。……もうちょっとここにいたいんだ」
「……そう」

そこに座って、母親に対する言い訳を考えていた。

————ごめんなさい。
————もうしません。
————僕が悪いんです。

駄目だ、上辺だけじゃ駄目だ。もっと……納得のいくような言葉を。


「ねぇ錬、もう暗いよ。早く帰らないと」

気づいたら辺りは真っ暗。隣にいる鈴がかろうじて見える程度だった。

「そうだね。早く帰らなきゃ」
「うん、バイバイ」



それが、最後に見た鈴だった。





























キキイイイィィィッ!

「えっ……」

帰り道、どこから来たか車が僕に突っ込んできた。

————サヨナラ、鈴。

そんな言葉が脳裏に浮かんだ。



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