二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 曇天 死んだ人もでてきます。ご了承下さい。up ( No.49 )
- 日時: 2008/08/29 22:21
- 名前: 護空 (ID: bG4Eh4U7)
テロから次の日。
万屋は相変わらず仕事もなく、暇で、平和な朝を迎えていた。
しかし、新八が出勤したときに、デスクにはオーナーの姿がなかった。神楽はいつもの事だが、銀時がまだ寝ているのは少しだけ珍しい。
また風邪でも引いたのかと思い、新八は寝室の戸を少しだけ開けて中の様子を伺った。 すると、思わぬ光景が広がっていた。
丹波が銀時の上に覆い被さる様に眠りこけている。銀時も眠りこけている。天井にはぽっかりと穴が開いている。
「…あれ、こんなの前にもあった気がする」
7
同じネタは、忘れた頃にやってくる。
新八は、このような光景は二度目なので、少々冷静な判断をし、とりあえず銀時を起こしにかかった。
「銀さん、銀さん。起きてください」
二、三回呼びかけて肩を揺らし続け、よだれを垂らしながら寝ていた銀時がようやく目を覚ました。
が、新八の顔を見た途端、枕の下に潜り込んでしまった。
「なんだ、せっかく桜と一緒に寝ている夢みてたのに。起こすんじゃねェコノヤロー」
「いや、その光景が今ココにかなりの広範囲で広がってるんですが。つか、どんな夢みてるんですかァァァァァあんた!」
新八との会話で少しずつ目が覚めてきた銀時は、自分の身体に何かが乗っている圧迫感に気が付き、とりあえず首だけ起こして様子をみた。
自分の上に、丹波が寝ている。
一時思考停止。
「うわァァァァ!!桜がいる!サンタさんが俺の願いを叶えてくれたァァァァ!!なんて幸せなの俺、死んでもいい!」
「あんた、どんだけ丹波さんにベタ惚れなんすか」
銀時は興奮し、飛び起きていまだに起きない丹波を抱きしめた。新八がその光景を少し引き気味で見ていると、神楽が寝ぼけ眼をこすりながら起きてきた。
「なにがあったアル、マミー今日は日曜日アルよ。おっちょこちょいネー」
「おっちょこちょいはテメーだァ!!」
そして、銀時の腕の中にいる丹波を見つけた途端、すっ飛んでいって銀時の顔面を蹴り飛ばした。
「姉御ォォォォォ!!どうしたアル!何があったアル!!銀ちゃんに何されたネ!!」
「ちょっとォォォォ!何かしたかったけど!俺今起きたとこだから!!なんにもできなかったぶェ!!!」
新八にぶったたかれた銀時は、舌を噛んで部屋中をのたうち回っている。その間も、神楽は寝ている丹波を抱きかかえて、大声で呼びかけている。
「姉御ォォォォ!私を1人にしないでェェェェ」
さすがに神楽の声がうるさかったのか、丹波が目を覚ました。
目をこすりながら、あたりをキョロキョロしている。
「あれ、俺屋根の上で寝てたはずなのに」
「丹波さん!!アンタ寝るとこなかったんすか!?」
新八が驚いた様に聞くと、丹波は眠そうに胡座をかいて座り直した。
しばらくすると、徐々に目が覚めてきたらしく、恥ずかしそうに二人に頭を下げた。
「朝早く邪魔して悪かったな」
「いえ!丹波さんなら大歓迎ですよ」
新八が嬉しそうに笑うと、神楽も白い歯を見せて笑った。その顔を見て、丹波は安心した様な表情を見せる。
「新八君と、神楽ちゃんだよな。これから迷惑かけると思うが、よろしくな」
「新八でいいです。迷惑だなんてそんな」
「ちゃん。なんてつけないで欲しいネ、私たち家族アルよ」
神楽が言うと、丹波はびっくりした様な顔をした。新八と神楽の表情とは裏腹に、目を丸くしていた。でも、すぐに柔らかい笑顔を浮かべると、嬉しそうにうなずいた。
そこで、新八が玄関の新聞入れに何か入れられる音を聞いた。今日は新聞休みなのに。と不審に思いながら、玄関に行くと、薄くて白い紙が落ちていた。
「なんだろう」
素足で玄関から降り、紙を拾い上げる。白い方は裏だったらしいので、ひっくり返して裏面を覗いてみた。
途端に新八は寝室へと猛ダッシュした。
「銀さんんんんんんんんん!!!!!!」
「あん?なんだようるせーな」
「玄関にパンティでも落ちてたアルか」
「んなわけないでしょォォォォォォ!!コレみてください!」
神楽が鼻をほじりながら言うと、新八が持っていた紙を銀時に突きつけた。
銀時は面倒くさそうにそれを受け取る。
「あ?なんだこ…!?」
《探し人》と赤いインクで目立つように印刷されたその文字の下に、でかでかと隣にいる青い髪の侍の写真が写っていた。しかも一番下には真選組の電話番号まで記されていた。
「何コレェェェェェェ!指名手配!?」
「俺有名人じゃん」
「姉御すげェェェ!かっくいい!!」
「のんきなこと言ってる場合じゃないですよ!!逃げなきゃ…」
新八が叫ぶと、張りつめた空気を引き裂く様に、間抜けな家のインターホンが鳴った。
間の抜けた声が響く。
「真選組だーィ、探し人について話があるんでーィ」
『はやくねェェェェェェェェ!?』
沖田の声だった。スピーカーかなんかで玄関から呼びかけている様だ。
「怪しまれたらまずい。俺がでてくる」
銀時はそう言うと、何事も無い様な素振りをして玄関の戸を開けた。
「んだよ、朝っぱらから。そろいもそろって」
「あー、丹波さんについてお話を聞きたいのだが」
伊藤と近藤が、あまり銀時に怪しまれない様に下手から話を切りだした。
これは、うまくいけば何事もなく帰ってくれるかもしれねェ。
そう思った銀時が「別にいいが」と返事をした瞬間、沖田の目が光った。
「そこでィ!」
沖田がどこからともなくバズーカを取り出すと、引き金を引こうとした。まずいと、銀時が思った瞬間、その場にふわっと心地よい風が通り過ぎたと同時に、青い物がチラついた。
すると、沖田の手の中のバズーカは姿を消していた。銀時がニタァっと笑う。
「しまった!」
土方が振り返ると、バズーカをもった丹波が、飛び降りざまにニタァっと笑った。
「さよーならーめんの替え玉」
引き金を引くと共にでかい爆発音が響いて、真選組を包み込む様に網が発射された。
「うォ!しまった!!」
それを見届けると、屋根から神楽と新八が飛び降りてきた。
そして、四人並んで走り出す。
「ほな、さいなら」
「ちくしょー、取り逃がしたか…って」
丹波がふざけて笑顔で手を振る。土方が隊士達に潰されながら悔しそうにしていると、他の隊士達はでれでれしながら手を振り返していた。