二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 36話更新 ( No.10 )
- 日時: 2010/01/27 20:23
- 名前: アビス (ID: 7.60N42J)
37話
絶対の危機に回り続ける運命の歯車
「ソニックさん!!」
クルトが打開策を話した直後、ソニックはウィルに一人で突っ込んでいった。
「ソニックさんは今冷静さを欠いています。私はソニックさんを止めます。
サラさんはあいつを倒してください」
「でも、私はガンナーです。そんな斬撃系のなんて・・・」
サラがそこまで言うと、クルトはサラの手のひらに弾頭が緑の弾を置いた。
「これは・・・?」
初めて見る弾にサラが尋ねる。
「話しましたよね。竜人族で形なきものを操る武器を開発していると。
これはその技術により出来た『風』を操る弾『真空裂弾』。
弾が発射させると弾の周りに真空波、つまりカマイタチをつくり相手を
斬ることが出来ます。これを使えばあなたの銃でも切ることが出来るはずです」
クルトがソニックに向かって走り出す。そして後ろを振り向き
「いいですか。その弾は一発しかありません。
きっちり狙いを定めて撃ってくださいね」
ソニックはウィルに向かって突き進む。いつミルナに感染した菌が全身に
回るかわからない。ソニックは焦らずには入られなかった。
(早くしないとミルナが)
ソニックの頭の中はそれで一杯だった。ウィルは液体を飛ばしてくる。
それを完全に避けるためになかなか前に進む事が出来ない。
それがソニックをさらに焦らした。
焦りがピークに達し飛び交う液体に無謀にも突っ込もうとしたとき
「ソニックさん!!」
クルトが追いつきソニックの腕をつかむ。
「離せ!クルト!早くしないとミルナが」
そう後ろを向き言ったとき、二人に液体が飛んできた。
クルトが前に立ち
「ワルツ」
液体はソニックの両脇に散る。クルトは落ち着いた口調で
「頭を冷やしてください。もしここでソニックさんがやられたら
ミルナさんが助かる確率はさらに低くなってしまいます。
今、サラさんに作戦の要を任せてきました。私たちで、サラさんを
全力でサポートしましょう。
それが、今私たちに出来るミルナさんを救う最善の策です」
ソニックは一瞬顔を伏せた。だが、顔を上げたその顔はもう先ほどまでの顔ではなかった。
「悪い、クルト。サンキューな。おかげで頭も冷えた」
「いえ、それほどでも。それではいきますよ」
「・・・・」
サラは先ほどクルトに貰った弾を装填して構えていた。その手は震えていた。
今まで自分がこんな重大なことを任された事もなかったし、
任されてもやり遂げる自信もなかった。
人の命が掛かっている。絶対に外せない。
でもいつまでも機会を伺っていられるほど時間もない。
大きく深呼吸して自分を落ち着かせようとする。
ソニックもクルトも自分を信じてくれている。
自分が信頼する人たちが自分を信じてくれている。
サラの震えが少しずつおさまっていく。そして改めて銃口をウィルに合わせる。
ソニックとクルトはウィルを自分たちに集中させるように目の届く範囲で
逃げ回っていた。そして少しずつ体の向きを変えさせ、
サラが攻撃を放てる角度まで持っていかせる。
少しずつ、少しずつ。もう少しでベストなポジションに持っていける。
そこまできたとき、ソニックの態勢が大きく崩れる。
後一歩というところで、砂漠の砂に足をとられ踏ん張りがきかなかったのだ。
ウィルの菌の液体はすぐそこまで来ていた
「しまっ・・・」
当たると思った瞬間、ソニックは横から衝撃を感じて吹っ飛ぶ。
そしてソニックの変わりにクルトが液体をかぶる。
「クルト!!」
クルトは羽織っていたマントで防ぐが浸透してきた液体が肌に触れる。
「くっ・・・」
クルトはその場に倒れこむ。ウィルが止めを刺すために爪を振りかぶる。
「いまだ!」
サラは構えていた引き金を引く。弾をものすごい勢いで飛ぶ。
「きゃあ!!」
その反動で小さな体のサラも吹っ飛んでしまった。
しかし、弾は一直線にウィルに向かう。そして
—ズパン!!—
見事命中、かと思いきや弾はウィルに尻尾を僅かに切っただけで終わった。
反動の勢いで標準が僅かにずれてしまったのだ。
「そ・・そんな。外しちゃった・・・」
悔いてる時、自分の体に異変が起きていることに気がつく。
全身が痺れて動かない。体がどんどん熱くなっていく。
近くにマスクが落ちていた。吹っ飛んだ勢いで外れてしまったのだ。
「あ・・あ、体が・・・うぁ」
サラはそのまま気を失ってしまう。ソニックはその現状を見る。
ミルナもサラもクルトも死にそうになっている。
そして、それに喜んでいるウィルテリアス。
—ザワッ!—
ウィルが動かないクルトに爪を振り下ろす。
—ドォオオン!!—
辺りに砂埃が舞う。そこにクルトの姿はいない。
ウィルが顔をきょろきょろさせ辺りを探す。
その時正面から凄まじい衝撃がきて、ウィルの巨体が10メートル近く吹っ飛ぶ。
その時ミルナが薄れゆく意識の中その状況を見ていた。
自分の近くにクルトを抱えて立つ人影を感じる。
それはソニックなんだが、様子が違った。
「よくも、俺の大切な仲間を・・お前は・・」
—ザワザワッ!—
<お前だけは・・許せない>
ソニックの体から以前ジスペルに憑依された時の変異が現れる。
尻尾がうねり、黒いオーラが全身に立ち込める。
別れ際のジスペルの言葉が蘇る
『貴様の力は我と同じだ。
いつかお前は自ら傷つけたくない者も傷つける。それが運命だ』
運命・・・