二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 45話更新 ( No.105 )
- 日時: 2010/06/14 17:12
- 名前: アビス (ID: 4K4kypxE)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
47話
最終準備
「これは・・・指輪?」
4人がそれぞれ受け取ったのは、勾玉が埋め込まれた指輪だった。
「ただの指輪じゃないぞ。ま、百聞は一見にしかり。それを付けて自分の武器をもって見ぃ」
4人は長老の言うとおりに指にはめ、各々武器を手に持つ。
因みに4人の武器、防具は竜人族の人の手によって新調されている。
ソニックやスタークの武器はもちろん、サラの銃の構造もすぐに理解して立派な物に仕立てあげてくれた。
すると、指輪が光りだしたと思ったら、武器にそれぞれの色のオーラのようなものが纏い始めた。
スタークは赤、サラは黄色、ミルナは白銀、ソニックは黒のオーラ。
「これは・・・」
皆が己の武器に纏っているオーラを見つめる。
「勾玉には邪を払う聖の力が宿っておるんじゃ。それを武器に転移させるようにしたのがそれじゃ。
いうなれば、お主たちの武器は聖属性の武器になったということじゃ」
「なんで聖の力なんてものが古龍の腹の中で生まれるんだ。
あいつらはどっちかって言うと邪だろ」
スタークが呟くと長老はそれを否定するように首を振ると
「古龍は邪なんてものじゃないぞ。それはただ単に古龍が人間に被害を与えているからモンスターの
一種にされているにすぎん。昔の書物によっては古龍は聖獣と呼ばれている物もあるほどじゃ。
古龍を悪者扱いするが人間はどうなのじゃ?
人間のやっていることが正しいっと誰が決めた?それが間違っていないと決めたのは誰じゃ?
どれもこれも人間自身の勝手で決めた法律にすぎん」
長老は吐き捨てるようにそう言った。
・・・竜人族が自分たちの知識を人に教えないのに理由がある。
ただ単に人間じゃあ扱えない技術ってこともあるけど、それ以上に恐れているからだと聞いたことがある。
長老の口ぶりからしてそれはおそらく本当だろう。
人間が自分たちの優れた知識を悪用しない証拠はどこにもない。
むしろ悪用する証拠は今までの人間の歴史で証明されてしまう。
竜人族の里が人里離れたところにあるのもそのためなのかもしれない。
「ふふ、安心しろ。わしは人間は好いていないが、少なくともお主たちの事は
気に入っておる。それに全ての人間を嫌っているわけでもない。
お主たちのような人間も沢山いるということは熟知しているのでの」
ほっほっほと笑いながら長老は言った。
「さて、話を戻すが正直その力を持ってもガルドロスには今一歩足りんじゃろうの」
「え、それじゃあ・・・」
「安心しろ。まだ手はある」
そう言うと長老は懐から地図を取りだした。
「お主たちには竜聖山にいってもらう」
「!!。長老、そこは・・・」
竜聖山という単語を聞いた瞬間クルトが顔色を急変させた。
「あそこは里の長の者にしか入ることが出来ない場所じゃあ」
「だからもお前も付いて行くんじゃ。お前は実質里長じゃ。お主も一緒なら大丈夫じゃ。
それに今はこんな世じゃ。竜神様も許してくれるはずじゃ」
「・・・はい、分かりました」
クルトは苦い表情でソニック達をみた。
「竜聖山というのは我ら竜人族のお墓になっているところを指します。
そこで先祖の竜人族の方々の力をその身に宿してもらいます」
「その力って強いのか?」
ソニックの問いにクルトは頷く。
「はい。『竜神の加護』と呼ばれるこれは、絶対の死から身を守る力があるといわれるほど強力です」
「そんじゃあ、出発するか。早いにこしたことはないからな」
ソニックの言葉に皆は賛同して里を後にした。
〜竜聖山前〜
「それにしても長老さん。随分と積極的だよな」
歩きながらソニックが言った。
「正直私も驚いています。まさか長老が人にここまで尽くそうとするなんて。
よほどあなたたちの事が気にいったみたいですね」
「ねえ、クルトさん、竜神様って?」
ミルナの問いにクルトは前を向いたまま答える。
「竜聖山には先祖の人たちの意思が残っているといわれています。それが竜聖山に入る資格を
持つものかどうかを見極めているんです。しかも入れるのは数限られて人だけ。
里の中じゃ、私と長老しか入れません。
だから里長に選ばれてしまったんですがね。
ですので、畏敬の念を込めて竜神様と称えているんです」
そんな話をしている間に竜聖山の目の前までやってきていた。
目の前には階段があり、その両端には二つの奇妙な形をした竜を模した像が二つ。
「ここで、この竜聖山に入れるものかどうかが試されるんです」
そういうとクルトは先に歩き出し、階段へと足を踏み入れた。
「ここまでくれば大丈夫です。一人ずつお願いします」
クルトに言われまず初めにスタークが足を進める。スタークの足が階段へと迫る。
—タン!—
無事に階段へと踏み込めたスターク。続いてサラも問題なくたどり着く。
次にミルナ。不安気味だったが、何とか中に入れた。
「なんだ、思ったほどにのところじゃないな」
スタークががっかりしたように言った。
「きっと竜神様があなたたちが本当に自分の力が必要なのだと感じたからだと思いますよ」
クルトが少し自慢気に言う。
「お〜い、ソニック!早く来いよ」
「ん、ああ・・・」
スタークの呼びかけに、なぜかソニックは気乗りしない声で答えると歩き出す。
そして階段手前まで来ると見えない壁にぶつかった様に弾き飛ばされてしまう。
「ソニック!?」
ミルナが声をあげる。ソニックは立ち上がると小さな声で
「やっぱな、そんな気がしたんだ」
と、呟いた。クルトが理解できないといった顔で
「どうして、どうしてですか竜神様・・・なぜソニックさんだけが・・・」
『それは本人が一番理解できているのではないか?』
誰の声でもない幾重にも折り重なった声が空に響く。
まるで山から空へ放たれた声が反射しているかのように。