二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル  53話更新 ( No.134 )
日時: 2010/09/04 23:35
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

—————数年後—————

「ソニックさん!!ソニックさーーーん!!!」

一人樹海を走り周るサラ。髪と背は伸びたが、まだ顔には幼さが残っている。

「もう・・・。どこいっちゃったんだろう??」

サラが困り果てていると、そこに一匹のナルガクルガが現れた。
ナルガはサラに向かって直進した。だが、それに対しサラは武器を構えようとしない。
あわやナルガがサラを襲うと思ったら・・・

「くすっ・・・あははは!!もう、アル!!
会うたびに舐めないでっていつも・・・あははははは」

ナルガはサラの顔をぺろぺろとなめ始めた。そう、このナルガクルガは
以前にサラが仲良くなった二匹の子供ナルガの一匹なのだ。
一人前・・・には及ばないが、前とは比べられない大きさに成長している。

名前はアルとディルと名付け、この樹海で今も親と暮らしている。
舐め続けるアルにサラは笑い声をあげるが手で制止した。

「ごめんね。今は遊んでる時間はないの。ソニックさん来てる?」

そう言うとアルは背中に乗れと言わんばかりに身を屈める。
それにサラが乗ると、アルは颯爽と駆け出した。

——————————

着いたのは巨大切株の中。ナルガ親子の住処だった。
そこにソニックの姿があった。ソニックはディルと一緒に昼寝をしていた。

「ソニックさん、起きてください。ソニックさん!」

ソニックの体を揺すりながらサラが言うと、体を起こした。
ソニックは髪が以前から随分伸びている事以外変わっていない。

「おう、サラか。・・・ふぁ〜あ、お前もこいつらに会いに来たのか?」

「寝ぼけてるときじゃないですよ。もう・・・」

ソニックの平和そうな顔にサラが呆れてため息をつく。

「自分の妻が苦しんでいるって時に、こんなとこで何やってるんですか??」

「えっ・・・!!」

その言葉にソニックは目を見開いてサラに詰め寄る。サラはもう一度ため息をつくと

「陣痛・・・・始まりましたよ」

「・・・・・!!!!アル!!」

ソニックは血相を変えるとアルを呼び、その背中に乗ると駆け出した。

「村までノンストップで頼む!!」

「あ、ちょっとソニックさん!!アルじゃ海は渡れません・・・・」

誰かが叫ぶサラの背中をちょんちょんと突く。振り向くと大人ナルガが身を屈めていた。
サラはすぐにその背中に乗ると、慌てん坊なソニックとアルの後を追った。
ディルはその様子を眠たそうな目で見た後、また寝てしまった。

——————————

ソニックが病室の扉を勢いよく開けた。その瞬間、ゴツンと一発頭を殴られた。

「おせーよ、タコ」

「いってぇな、スターク」

目の前に立つ人物に言うソニック。スタークは前とはあまり変わり映えはしていなかった。
スタークはため息をつくと、道を開ける。
スタークの後ろにある一つのベット。そこには一人の女性が生まれて間もない赤子を抱いていた。

女性はこちらに気づくと優しい微笑みを浮かべた。

「ソニック・・・」

「・・・・ミルナ・・・」

ソニックはベットに駆け寄ると、自分の最愛の妻と子を見つめる。
ミルナは出産後だからか、少し顔がやつれている。
髪はいつもと違い結んでいないので、すごく大人びて見える。

「男か?女か?」

「男の子だよ。と、いう事は・・・」

ミルナがソニックの顔を見つめる。ソニックは頷くと笑顔で

「ああ、もし生まれてくるのが女の子ならティナ。男なら・・・レイン。
そう・・・決めていたもんな」

「ええ。この子の名前はレイン。私とソニックの子ども・・・」

ミルナはレインを優しく包みこむ。そしてソニックが二人を抱くように手を置いた。

「良いもんだね、子どもが生まれるのって」

「俺にはわかんねぇよ」

傍らで見ていたサラとスタークが言った。サラはくすくすと笑うと

「確かにスタークはそういうのに喜びそうにないもんね」

そう言うとサラはスタークに体をもたせかけた。

「私たちもいつか・・・・ね?」

スタークはそのサラの言葉には答えず、ずっとサラの体を支えていた。

—————?????—————

『一時はどうなるかと思ったけど・・・。ソニックは勝ったようですね』

辺りは真っ白な大地と真っ白な空に覆われた場所。そこに立ち尽くすのはたった一人。
それは誰に言うでもなく呟いた。

『だけど、まだ片付いていない問題はたくさんある。
倒せたのはあれのたった一片のオディオだけ・・・。

私もリオに連絡をとって急がないとね。
・・・まだ、本当に平和な世の中が来るのは当分先のようね。

・・・でも今は、二人を祝福してあげたいですね』

それはくすくすと笑うと温かい眼差しを浮かべながら何もない白い空を見上げた。





〜END〜