二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 36話更新 ( No.16 )
- 日時: 2010/02/05 09:53
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
38話
終わらない仲間との歯車
憑依状態になったソニックは大剣を二人の身を守るように
ミルナとクルトの前に突き刺す。
そして、一気にウィルとの間合いを詰める。
ウィルはやって来たソニックに液体を被せる。
だが、ソニックは平然とした様子でそのままウィルに攻撃を仕掛ける。
ウィルの表面にはものを腐敗させる菌が感染しているのだが、
ソニックは平然としていた。
ウィルはそれに腹を立てたのか液体を四方八方に撒き散らす。
ソニックはそれをかわし、時にはあえて受ける。
飛び散った液体が大剣に当たり、腐食していく。
ソニックは後ろに回り込み、尻尾を掴むと力任せに引きちぎった。
ウィルが激痛でのた打ち回る。
その間にソニックはちぎった尻尾の断面をサラ、クルトに当てる。
すると二人の表情が和らいでいく。感染していた菌が消えたのだ。
これがクルトが考えていた策である。全身菌が感染しているウィルが
どうしてそれに耐えられるのか。クルトはウィルの体のどこかに菌を中和する抗体の様なものが
存在しているのではないかと考えていた。
それが尻尾ではないかと思ったのが攻撃をくらった時だ。
確証はなかったが、クルトの読みは正解だったようだ。
ソニックは最後にミルナにも当てて様子を見る。ミルナも菌が取り除かれたようだ。
ソニックはそれを見届け、ウィルに向き直ると黒いオーラがさらに増した。
どうやらここからが本気のようだ。ソニックが一歩前に踏み出したとき。
—ガシッ—
足を掴まれた感覚があり振り向くと、ミルナが掴んでいた。
「ソニック・・・だめ・・・戻ってきて・・・お願い」
ミルナは消え入りそうな声で言った。ミルナには今どんな状況なのかあまり分かっていない。
でもソニックがこのまま戦えば戻ってこれないような気がしていたのだ。
「ソニック・・・」
それでもう十分だった。黒いオーラは蒸気のように霧状になり、ソニックの体から消えていった。
「ミルナ・・・」
その声は自分のものとは思えないほど小さかった。その直後ソニックは膝が折れて
立ち上がれなくなってしまった。必死に踏ん張っても力が入らない。
ウィルの菌は取り除かれても、まだミルナたちは戦えるような状態ではなかった。
ウィルはまだ生きている。このままじゃ結局全員やられてしまう。
ソニックは何とか顔を上げたが、そこで不思議な光景を目撃する。
—ギュァア!! ギャァアア!!—
ウィルは先ほどからずっと苦しそうに咆えながら暴れている。
毒々しい体の色もみるみる変色していく。
(もしかして、あいつ自分の菌をコントロール出来なくなっているんじゃ)
ウィルはしばらく暴れたが少しずつ弱まっていき、数分後には完全に動かなくなっていた。
ソニックはそれを見届けてから、すぐに自分の体も動かなくなり倒れこんでしまった。
—ガタガタガタガタ—
うるさい。ソニックはそう思った。それに体もさっきっからすごく揺れている。
ソニックは重いまぶたを開けた。すると、ぼんやりと人の顔が間近にあった。
「あ、目が覚めた」
口元が動くが誰の声かよくわからない。だが次第に目も耳をしっかりしてきて、
その顔がはっきりと見えてくる。その顔は
「ソニック」
「・・・ミルナ?」
名前を呼ばれるとミルナは笑顔で頷いた。自分がミルナの膝枕に乗っている事に
気づくのはそれからしばらくしての事だ。
「起きたようですね、ソニックさん」
少し離れたところからクルトの声がした。サラの姿も目に入っている。
全員無事だ。ソニックは嬉しさに泣きそうになった。
「よかった、皆生きてて」
『お主が一番瀕死な状態だったと言うのに、よくそんな事がいえるな』
ソルトの声が耳に響く。ということは、ここは馬車の中か。
『驚いたぞ。私が駆けつけたとき皆が倒れていて。
3人は私が声をかけたら起き上がったが、お主だけは目覚めなくて』
「そうですよね。あなたは死に掛けてたんですよ、ソニックさん。
脈もどんどん弱くなっていって、呼吸もほとんどしていませんでしたし。
もし、ミルナさんが・・・」
「ちょ・・ちょっと、クルトさん!」
言いかけたクルトが後ろを振り向く。見るとミルナが恥ずかしそうな顔して睨んでいた。
クルトは、ははっと笑うと前を向いて話をやめてしまった。
「なあ、一体なんの話し・・・」
「ソニックは関係ないの!」
ミルナの強い制止でソニックは黙った。するとサラが何かの破片を床に置いた。
「はぁ〜。これはもうどうにもなんないですね」
見ると、サラの銃身がバラバラになっていた。すると、クルトが申し訳なさそうに
「すいません。私もそこまで銃に負担がくるものとは知らなかったもので。
まことに申し訳ありません」
そこまで言うと、クルトはポケットを探るとサラに渡した。
「お詫びとしては何ですが、これを受け取ってください」
それは、黄色い光沢を放つ宝石のような石だった。
「少し前に倒したモンスターから採れた非常に珍しい物です」
「きれい。本当にいいんですか、こんな物を貰ってしまっても」
サラの問いにクルトは笑顔で
「はい。私が持っていても意味がありませんし、村を救ってくれたお礼です」
〜村〜
村に着いた4人はウィルテリアスを倒したという報告を聞いて大喜びだった。
それに、ソニックが持っていた尻尾から薬を作って感染した病人に飲ませた。
これで村も元通りと、村長は村をあげてお祭りを始めた。
もちろん主役はソニックたち4人だ。
「本当に感謝しても仕切れないぐらいです」
と、満面の笑みでいう村長。
「ぜひ、なにかお礼をさしてください」
「いいですよ、そんな。村を救うつもりでやって来たわけでも、
お礼が欲しくて退治したわけではありませんから」
ソニックの言葉に村長は首を横に振り
「滅相もない。あなたたちがどんなつもりで着たとしても、
この村を救ってくれた事には変わりはありません。
そうでないと私の気が納まらないので、どうかお礼をさせてください」
そう言って頭を下げる村長。相手もここまで言っているので
お言葉に甘えて、ソニックは大剣2本と工房を借りてサラが銃を作った。