二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル ( No.3 )
日時: 2010/01/09 18:02
名前: アビス (ID: 7.60N42J)

番外編(ミカ・ミク)
          竜人の魂




—密林—

「きゃーーーー!助けてーーー!!!」

一人の女性がババコンガから必死に逃げている。
その先には一人の男性が座っていた。

「何やってんの、姉さん」

男はため息を吐きながら言う。

「あ、あれ退治して。早く」

女は男の後ろに隠れる。男は腰に刀をぶら下げていた。
長さは太刀と片手剣の間ぐらいだろうか。

ババコンガがすぐ目の前までくると男は塚に手を伸ばした。
そして次の瞬間

—ズパン!—

ババコンガを一瞬で切り裂いた。ババコンガはそのたった一撃で絶命してしまった。
男は刀を鞘に収める。

「まったく。一人でババコンガに近づくなんて」

「ごめんごめん。ババコンガの近くに珍しいキノコがなってたからさ。
取ろうとしたら起こしちゃって。ごめんね、ミク」

手を合わせて謝る女性はミカ。この二人は以前ソニックたちに武具を造った
竜人族の双子の姉弟だ。

二人は旅をしながら、いろんな所を回り素材を集めている。
弟のミクは抜刀術に長けている。その実力は見ての通りである。

「あ、ババコンガが持っているキノコってあれ・・・」

姉のミカがババコンガに近づく。その時ミクは空から不穏な気配を感じた。

「姉さん!下がって!!」

「え・・・」

—ズドン!—

空からモンスターが現れた。そのモンスターはなんとあの伝説の古龍、クシャルダオラだった。

「姉さん、にげ・・・」

ミクがそう言おうとした時はすでに遅かった。
ミカはすでにその場から逃げ切っていた。逃げ足の速さ、それがミカの能力だ。

クシャルは獲物を見つけると吼えて、連続でブレスを吐き出した。
ミクはそれをよけると、クシャルに突っ込む。

クシャルはそれを爪で引き裂こうとするが、上空に交わしがら空きの背に一撃入れる。
だが、

—ガキン!—

刃は届かず硬い外殻に阻まれる。ババコンガを一発で仕留めたミクの剣技もさすがに、
古龍の前では厳しかった。それでも、ミクは諦めずにいる。
その姿は完全にハンターそのものだった。

—ギャオウウウゥウゥゥ—

「!!!」

風が突然クシャルの方に向かって吹き始めた。
ミクは風に飛ばされクシャルに近づいてしまう。

何とか剣を地面に刺し止まる。クシャルの周りはまるで削岩機のように全てが
粉々に切り刻まれる。

「さすが、風翔龍と呼ばれるだけはあるんね。強風で自分に近づかせて
近づいてきたものは、カマイタチで切り刻むか」

ものすごい風だ。まるでクシャル自身が小さな台風のようだった。
こうやってじっとしているのも、正直つらい。だがいつまでもそうしているわけにもいかなかった。

クシャルがミクに向かってブレスを吐き出す。風で足止めし遠距離で攻撃する。
このクシャルは頭も相当賢いようだ。
ミクは逃げ遅れて、直撃をくらってしまう。

「ぐあ!」

なんとか致命傷は避けたが、もう2回も喰らえばさすがにやばい。
でも、あれほどの風の中、かつあのカマイタチでは近づきようがなかった。

唯一の賭けはあるんはあるが、危なすぎる。
だが、そんな悠長なことは言ってられない。この風でどんどん体力は減っていく。
何かにしがみついている力も除々に失われていく。

ミクは決心がつくとしがみ付いていた地を離し、クシャルの真正面から
一直線に突き進む。

クシャルはそれを待ってましたと言わんばかりにブレスを吐く。
だがミクはそれを避けようともせずに直撃を喰らい、歯を食いしばりながらさらに前進する。

その先に待っていたのはカマイタチの渦だが、それも真っ直ぐに突っ込む。
体中が引き裂かれるが、それでもミクは塚を強く握り締めた。そして、

「葬刃(そうじん)!!」

渾身の一振りは見事にクシャルの頭を捉える。刀は頭を通り、背の半分の辺りまで切り裂く。
そこまでいくと刀は耐え切れず折れてしまった。
だがクシャルは体の半分は裂かれてしまったので、倒れたまま動かない。

するとどこに隠れていたのか、ミカがテクテクと走ってきた。

「きゃー!これってやっぱり『仙薬万寿ダケ』だよ。ずっと探して素材の一つを見つけたー」

ミカは大喜びだ。

(重症の僕よりも、探してた素材の方か・・・まあ、姉さんらしいていえばらしいや)

ミクが心でそんなこと思っていると

「ねえ、ねえ。やったね、ミク・・・」

それまで喜んでいたミカの顔が表裏一変した。

「ミク、すごい怪我じゃない!!ちょ・・待ってて。今すぐ薬作るから」

そう言うと、持っていたポーチから出るわ出るわ、いろんな物が出て来て
それを使って何やら調合し始めた。

どうやら、ただ単に気がついていなかったらしい。ものすごい勢いで作っていく。
そこになんと、先ほど取った仙薬万寿ダケも加える。

「ちょ・・姉さん!それは僕たちが探していた素材の・・・」

「そんなの後で時間をかければ見つけられる。でも、あたなは私の唯一の弟だから。
あとでいくら探したって見つからない。だから・・・」

そこまで言うと喋るのをやめたが、ミクには十分だった。
体は重症なのに、笑みがこぼれる。

〜数分後〜

「出来た。名づけて『仙天の秘薬』。飲んでみて」

ミクは渡された仙天の秘薬を一気に飲み干した。
するとどうだ。体の痛みが消え傷もどんどん消えていった。

「・・すごい。いにしえの秘薬とは比べ物にならないよ。
でも、いいの?仙薬・・」

そこまで言うとミカがミクの口をふさいだ。

「さっきも言ったでしょ。それは探せばいいって」

と、笑顔で言う。すると、クシャルの方を見ると駆け寄る。

「どうしたの?」

ミカはナイフでクシャルの体を探る。すると手を突っ込むとそこから
白く光る不思議な鉱石のようなものを拾い上げた。

「それは?」

ミクがそれを覘くように見る。不思議と飲み込まれるような感覚になる。

「わからない。でもすごい力を感じる。これは一度里に戻って
長に聞いてみたほうがいいかもしれないね」

そう言って、自分のバックに入れる。
これが、なんであるのか。それを知るのは後の話しである