二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 39話更新 ( No.34 )
- 日時: 2010/02/15 18:23
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
9話
捕獲成功。深まる絆
「はあ、はあ。おい。あんなの反則だろ?」
ババコンガから一時逃げた二人は木の影で休んでいた。
あれからの戦いは最悪のものだった。
汚いものを投げてくるわ、屁は体から放出するはで、
ソニックは近づけず、ミルナも何を思い出したのか気分が悪そうにして、
ほとんど攻撃ができなかった。
「う〜。気持ち悪い」
ミルナはソニックの話しは全然聞いていない。
「おい!ミルナ!」
ソニックが叫ぶ。
「え!な、なに?」
「おまえな〜」
ソニックが呆れる。
「お前。なんでそんなに嫌いなのに請け負ったんだよ?」
断ることぐらいできただろうに。
ミルナは少し顔を曇らせて
「い・・一流のハンターなら、どんなモンスターも狩れるようにしないと・・・」
「一流のハンター・・・」
ミルナの言葉がとても重く感じられた。
「そういえば、なんでお前はハンターになろうとしたんだ?」
ソニックの問いにミルナは少し、悲しそうに見えた。
「そ・・それは・・・」
言葉を止める。
そして、決心がついたのか話そうと口を開いたとき
「!!」
「!!」
二人とも感ずいた。もうすぐここにババコンガがやって来ると。
「ソニック」
ミルナの呼びかけに、ソニックは見向きもせずに、
「いいたくねえなら、言わなくていいぜ」
「え?」
ミルナが目を丸くする。
「お前とはまだそんなに長い付き合いじゃねえが、お前がいおうとしていることが
自分にとって辛いことだってことは分かる」
ソニックがミルナに目を向ける。鋭く、怖く、とても優しい目で。
「ハンターになった理由が何なのか、俺には分からねえが・・・・」
—ドシン!—
ババコンガが現れた。しかしソニックの目はミルナに向けられたままだ。
「ハンターは、楽しく生きるものだぜ!!」
ソニックが武器を取り、ババコンガに突っ込む。
ミルナは突っ立ったまんまだ。
「なあ、ミルナ。狩猟仲間ってのは、なんでいると思う?」
「え?そんのなの・・・」
「助け合い、競い合い、一緒にモンスター狩って、成功する確率を高くするためか?」
ソニックが動きを止める。ここがチャンスとばかりにババコンガが鋭利な爪を
振り回し、襲ってくる。
「ソ・・ソニック!!」
ミルナが叫ぶ。だが
「それだけじゃねえだろ。仲間ってのは・・・」
ババコンガがもうすぐそこまで迫っていた。
「ソニック!!」
鋭利な爪がソニックを裂こうとした時、ソニックはババコンガを見た。
大剣が一気に赤い闘気に包まれる。
「溜め切り・魔紅閃(まこうせん)」
ソニックが消え、ババコンガの腹の辺りに赤黒い光が横に走る。
ババコンガがあまりの衝撃に倒れる。
すると、ソニックの姿がミルナの目に写る。
「ソ・・ソニック・・・」
ミルナが呟く。そして
「仲間ってのは、辛くて崩れそうになったとき、支えてもらうためにもいるもんだろ」
「!!」
「お前がなんであんな悲しそうな顔したかわかんねえけど、そんなに気張るなよ。
お前の心が崩れそうになったら、おれがちゃんと必死になって支えてやるからよ」
ソニックはそういって笑う。
—フゴオオォオオォオォォ!!—
ババコンガが起き上がる。その顔は真っ赤で、完全に頭に血が上っていた。
「なんだ、もう起き上がってきたのか。まあ、峰打ちだったからな。死なれちゃあ困るし」
ソニックが改めて構えたとき。
—ヒュン—
一本の矢がババコンガに刺さる。見るとミルナが弓を構えていた。
その目は先ほどまでの弱い目ではなく、強い力を感じた。
「ありがとう、ソニック。私、あなたのおかげで・・・」
「さっきもいったろ」
ミルナの言葉を塞ぎソニックが言った。
「『お前の心が崩れそうになったら、おれがちゃんと、必死になって支えてやるからよ』ってよ」
「そうね。お礼なんていらないか。当たり前なことをしただけだもんね」
ミルナがいつものような屈託のない笑顔を見せた。
ソニックもうれしくなって、笑う。
「へへ。そういうこと。じゃ、とっととこいつを捕獲しちまおぜ」
「うん」
このあと二人は、難なくクエストを成功させる。
しかし、二人にとってはそんなこと以上に大切なものが、心に残った。
『仲間がいるから。ソニック(ミルナ)がいるから、このさきも決して心が崩れることはない』