二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル  39話更新 ( No.41 )
日時: 2010/02/15 18:43
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

15話
   火山地帯の深紅のモンスター





火山地帯
マグマの熱により、辺りの温度が異常に高い、危険な狩猟区域。
しかし、火山から、とれる鉱石はハンターにとって重宝されるものも多く、
極稀に、太古の技術によってつくられた、未知なる武器が発掘されることがある。

ソニックたちは、いま拠点としているギルドの女性から、グラビモス亜種の狩猟に
行ったハンター、シルバの捜索を請けて、この火山地帯に足を運んでいた。

「うわ!火山からこんなにも遠いのに、熱気を感じる」

初めての火山地帯に軽くテンションが上がり気味のソニック。

「とりあえず、拠点に行きましょう。そこで、支給品を貰わなきゃ」

「ないと、おもうけどな・・・」

スタークがぽつりと言った。
こうして、拠点に向かったミルナたちは、早速支給品ボックスを確かめた。
しかし、そこは、全部、空だった。

「ほらな」

スタークがいう。

「そう、みたいね。それに、シルバはここにはいないってことは、この洞窟のなかに
いるってこと。早く探さなきゃ」

ミルナの言葉に2人も行こうとした時、スタークが足を止めた。

「どうした?」

ソニックが尋ねる。

「足音が聞こえる。あっちからだ」

スタークがそういい、今自分たちが行こうとした方を見る。
するとそこから、人影が見えた。その姿は・・・

「シルバ!!」

ミルナが声をあげる。
その声に気づいたのか、ボロボロの体で顔をあげ、

「お・・おまえたち。なぜここに・・・」

—ドサ!—
いい終わるか、そうでないかという所で、倒れてしまった。


彼を慎重にベットに運んだ。傷を見るとそれはとても酷いものだった。

背中の方は、完全に防具が焼けてしまって、皮膚は全身から血が噴き出し
たかのように、赤くなっている。

「ここまで、酷いんじゃ、応急処置もままならない」

ミルナが悲痛に叫ぶ。
その時スタークがミルナの前にでた。

「お前、相当の腕前らしいが、その様かよ。なさけねえ」

「スターク!」

スタークの言葉にミルナが叫ぶ。
しかし、スタークは無視して。

「何があった?はなせ」

「シルバは、話せるような状況じゃ・・・」

ミルナは止めようととしたが、

「かまわない、だが、喋るのもきついのも、事実だ。簡単にいうぞ」

シルバが苦しげにそういった。

「ああ」

「グラビモス亜種と戦っていた。もう少しで、
倒せるというところで、やつの体に異変が起きた。
私はその状況に目が釘付けになってしまって、後ろの敵に気がつけなかった」

シルバはそこまで話すと、苦しそうに唸った。

「後ろの敵ってなんだ?」

「バサルモスだ。気がついたときにはもう遅かった、
私はバサルモスの熱線を直に受けてしまった。それが、このざまだ」

話し終わった後、シルバは失笑した。
すると、スタークはどこかに行こうとした。

「スターク?どこいくの?」

「どこって決まってるだろ。クエストだよ。
俺たちは、一応このクエストを受注してるんだぜ。請けたクエストは必ず成功させる。
それが、俺のプライドだ」

スタークの言葉にミルナは呆れてため息をついたが、自分も狩りの準備をした。

「はあ。まあ、その異変を起したグラビモスってのを調べないといけないし。
いこう。そういえば、ソニックは?」

さっきから、姿が見えなかった。ソニックはミルナの近くでしゃがみこみ、耳を押さえ、
苦痛な顔を浮かべていた。

「ソニック?どうしたの」

「向こうの方から、なんだろう。ものすごい嫌な声が聞こえる。
悲鳴なんかよりもずっと辛くて苦しそうな声が、ずっと」

そういって、ソニックは火山のほうを指さした。

「その、異変を起したグラビモスのかもな。
とりあえずとっとと行くぞ」

スタークそういい、先に行ってしまった。

「ソニック、立てる?」

ミルナはソニック気遣いいう。

「ああ。大丈夫。いこうぜ」

こうして、三人は中に入っていった。


〜火山地帯中心部〜

—バキバキ!ボキ!—

「おい。なんか変な音しねえか?」

ソニック汗を拭きながらいう。

「しねえか?じゃなくて、普通にしてるだろ」

スタークがいう。

「たぶん、グラビモスだろうな」

「わかるの?」

ミルナがいう。

「ああ。さっきの声が強く聞こえるからな。ま、本当に声の主がグラビモスならだけどな」

しかし、その予想は的中することとなる。
3人が音の元へ行くと、そこにはグラビモスがいた。
しかし、シルバのいうような異変はなく、普通だった。

そして、この妙な音の正体は、食事であった。グラビモスがバサルモスを食べる音。

「おい。バサルモス食べてるぞ。あいつ・・・、何味だ?」

「岩の味がすんじゃねえのか」

「そうか。グラビモスは岩の味が好きなんだな」

「俺が知るかよ」

「ちょっと!そんなのんきな事言ってる場合じゃないでしょ!」

ソニックたちがそうこうしている内に、グラビモスは食事を終え、こちらを向いていた。
しかし、シルバの言う通り異変があった。近くで見るとグラビモスの体はいたる所に
ヒビが入っており、今にも殻がとれてしまいそうであった。
まるで、脱皮する直前のさなぎのような・・・

—ピキッ!ピキピキ!—
なんともぞっとしない音をたて、グラビモスの黒い殻が剥がれていった。
そして、完全に殻を剥いだグラビモスは、もう別の生き物であった。

血のような深紅の殻を鎧のように纏い、太かった尻尾は薄くなり、刃のように
研ぎ澄まされていた。
大きさも、前よりは少し小さくなったが、3人の目には完全にこちらのほうが
戦闘向き体に変貌したと確信した。

この時、ソニックは、ここに入るときに感じた声が、より一層、
強くなったことに気づいた。