二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 39話更新 ( No.44 )
- 日時: 2010/02/15 18:46
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
18話
気持ちの変化〜前編〜
「おい、ミルナ」
ソニックが診療所を訪れた。
そこには、ミルナが医師に、左肩を見せていた。
「ソニック。どうしたの?」
ミルナが不思議そうに聞く。
ソニックは、軽くため息をついて
「心配してきたんだよ。左肩、大丈夫なのか?」
イビルモスとの戦いから、数日後。攻撃を受けた左肩が良くならないので、
ミルナは、医師に見せに行っていた。
「心配してくれて、ありがとう」
ソニックの言葉にミルナが笑顔でいう。
ソニックは少し照れながら、微笑む。
すると、医師の人が
「うむ。モンスターのブレスを受けた時の熱が、神経を少し損傷している。
しばらくは、動かさないほうがいい。無理して動かせば、もっと悪くなって、
最悪、左腕が使えなくなってしまうから」
と、いった。
「わかりました。ありがとうございました、先生」
ミルナは頭をペコリと下げそういった。
そして、
「いこう、ソニック」
「ああ」
〜村の通り〜
「ねえ、ソニック。ひとつ、聞いてもいい?」
歩いていた、ミルナが突然いった。
「なんだ?」
「今回のモンスター。イビルモスだっけ。強かったよね」
「そりゃあな。あんな化け物・・」
「自分よりもずっと、強くて。死んじゃうかもって・・思った?」
言葉を少し重く言った。
「それは思ったが。どういう、意味だ?」
ミルナがいっている意味は分かる。でも、ソニックがいった『意味』は、
ミルナが言葉に乗せた、『想い』について。
「私もさ、ハンターやってて、自分よりも強いモンスターと戦うことなんて、
しょっちゅうだったけど、死んじゃうかもなんて思ったこと何てなかったんだよね」
「さすが、大した度胸だな」
ソニックがそういったら、ミルナは首を振って
「そんなんじゃないよ。前に言ったよね。一流のハンターを目指してるって。だから、そのためになら、
どんな、強いモンスターでも、命だって簡単にかけられたし、死ぬのなんて全然怖くなかった」
「おい。それはまちがっ・・・」
「うん。まちがってたよね」
ソニックが言おうとしたことが、分かっていたかのように、言葉をとめた。
「一流のハンターと呼ばれる人たちが、なんでどんなモンスター相手にも、勇敢に立ち向かえるのか。
それは、恐怖を恐れず、命を懸けてモンスターに向かっていってたからだと、思ってた。
でも最近は、恐怖を受け止め、命を守るために、命を懸けてるんじゃないかって、
そう思うようになった。
あのモンスターと戦っている時、初めて何も考えないで、『生きたい』って思えた。
この心の変化が、正しいのかは分からないけど・・・」
「正しいに決まってんだろ」
「え?」
ミルナが分からない事を、ソニックははっきりといった。
「一流のハンターがどうかなんてわかんないけど、ミルナは目的のためになら、
死んでもいいって思ってた。でも、今は、目的のために生きたいって
思えてんだろ。
そんなもん、正しいことに決まってんじゃねえか。
死んで叶って嬉しい夢なんてないんだからよ」
ソニックが当り前のようにいう。
そんな、ソニックの姿をみて、ミルナはくすっと笑い。
「そうだよね。ソニックって、簡単だけど難しいことを、簡単にいうよね。」
ミルナの言葉にソニックは
「なに、わけのわかんねえこといってんだ?」
と、いった。そんなソニックをみて、ミルナはまた笑い
「でも、誰もが持っていることだけど、難しい事には、ちょっと鈍感だよね」
といった。
「???。まあ、いいや。それより、最近スタークの姿が見えないけど、知ってるか?」
ソニックん問いにミルナは少し顔をにぶらせ
「わかんない。けど、ここんとこずっと、一人でクエストにいってるみたいだよ」
「なにやってんだ?あいつ・・・」
ソニックはそういい、遠くの空を眺めた。
- Re: モンスターハンター・バロル 39話更新 ( No.45 )
- 日時: 2010/02/15 18:47
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
18話
気持ちの変化〜後編〜
〜砂漠地帯〜
「ふ〜」
スタークは洞窟と砂漠の間で、敵を待ちながら休憩していた。
「これが、最後の応急薬か」
スタークはそう呟き、いっきに飲み干した。
それから、しばらくした時、砂漠が大きく揺れた。
「きたか」
スタークは砂漠に向けて走った。
ーボオン!ー
砂の海から出てきたのは、砂漠の暴君と呼ばれる『ディアブロス』の亜種だった。
だが、角の片方は折れ、尻尾も切断されていた。
ディアブロスはスタークを見つけるなり、吼えて突進してきた。
スタークはそれをかわすと、脚に3撃いれた。
しかし、それでもひるまず、ディアブロスは切れた尻尾の残りで
スタークに攻撃した。
「ぐ!」
太刀でなんとか、直撃は防いだが、太刀はもともと、攻撃を防ぐようにはできていない。
スタークは衝撃で、吹っ飛んで砂の地面にたたき付けられた。
ディアブロスは追い討ちをかける様に、また突進をした。
スタークなら、十分によけられる距離だった。
しかし、スタークは避けずにあえて突進をくらった。
「がは!」
角には刺さらなかったものの、その重量からくる攻撃に体が悲鳴を上げる。
それでも、スタークは、ディアブロスの頭から離れなかった。
そのわけは・・・
「うおおおおおお!」
スタークが吠え、腕に持つ太刀2本と、脚に付いている刀2本が、赤い光を巻き上げた。
「気刃乱舞!」
ディアブロスの頭が斬撃の嵐でうもれる。
ーグァァ!ー
ディアブロスが、倒れる。これでクエストは無事に完了。だが、
「はあ、はぁ・・・」
ードサッー
スタークも力尽き倒れこんでしまった。
ーキャンプー
「ん。ここは・・・」
スタークが目を覚ましたときは、そこは砂漠の上ではなく、キャンプのベットの上。
スタークが不思議がっていると、男の声がした。
「もう、目を覚ましたか。二日は寝ると思ったが・・・」
「シルバ!」
スタークが叫び、ガバっと起きる。だが、全身に激痛が走り、またベットに倒れこんだ。
「なんで、てめーがここに・・・」
痛みに耐えながら、いった。
「彼女に頼まれた。最近、お前は無茶をしていると、聞いてな」
シルバは冷静に答えた。
「けっ。誰も無茶なんてしてねえよ」
スタークがそういうと、シルバが、スタークを見て
「ここ数日、寝ずにクエストにいってるそうだな。
ドドブランゴ・イャンクック・ショウグンギザミ・リオレウス。
そして、ディアブロス。しかも、ほとんど手ぶらでの狩り。
たいした体力・精神力だ」
「そいつは、ありがとうよ」
スタークの言葉にシルバはスタークを睨みつけ。
「だが、こんな命を捨てるような狩りをして、お前はどうするつもりだ?」
「俺の勝手だ。おめーには、関係のねえことだ」
「イビルモスに負けたことがそんなにもショックか?」
シルバの言葉に、スタークが睨む。
「もう一度いうぜ。てめーには関係のねえことだ」
シルバはスタークから放たれる、静かな殺気に気づきながらも、続けた。
「請けたクエストは必ず成功させる。それが、おまえのプライドだったな。
今までは、クエストを全て成功させてきた」
「だまれよ・・・」
「だが、初めてのクエスト失敗。しかも、相手に自分は傷一つも付けられなかった。
失いかけている自信と誇りを取り戻すために、こんな無茶なことをしているんだろう。
だが、そんなことをしていれば・・・」
「だまれってんだ!」
スタークは体の痛みを、無視してシルバにつかみかかり、その顔面を思いっきり殴った。
その勢いで、サングラスが飛んだ。
「!!!」
スタークが驚愕する。拳の痛みなど、忘れてしまっていた。
シルバのサングラスの下に隠れていた目が、はっきりと見えた。
そこは、空洞だった。
「おまえ、目が・・・」
シルバは軽く鼻で笑い
「昔の狩りで失ってしまった。原因は、お前のように無茶に敵に突っ込み、返り討ちにあったからだ」
シルバは一呼吸置くと、
「私もあのころは、お前のように自身を持っていた。自分が負けるはずがないと。だが、世界は広い。
自分の知らないこと、自分より強いやつなんて、たくさんいる。
スターク。お前が私のようになるには、あまりにももったいない。お前はいままで
勝つ喜びしか知らなかった。だが、今は負けた悔しさも知った。
自分の知らないことは、相手から教えてもらえ。仲間だったり、他のハンター達だったり、
時にはモンスターから学ぶことだってある。
お前に今必要なのは、力ではなく、知ったことを自分が正しいと思ったことに生かすことだ。
知ったことが自分にとって、不快なことだったとしても、それを受け入れろ。
そうすれば、お前は今よりもずっと強くなれる。
例え、前と力が同じでもな」
「・・・・」
若干の沈黙そのあと、スタークは鼻笑い
「説教とは、面倒くせえ奴だな。まあ、先に生きるものの助言として、受け入れてやるよ。
そんな風には、なりたくないんでな」
「ふ。いってくれる」
そのあと、しばらく、2人の笑い声が絶えなかった。