二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 39話更新 ( No.50 )
- 日時: 2010/02/15 19:00
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
22話
今と過去の真実
〜跡地現場〜
先ほどの森とはうって変わって辺りは草一本ない荒野が広がっている。
まるで先ほどの夢の中を歩いているような気分だった。
しかし、肝心の大きなクレータは見当たらない。
しばらく歩いていたミルナがあることに気づいた。
「ここって変わった地形してるよね。妙に緩やかな傾斜が多くて歩きにくい」
ミルナのいう通り、緩やかな下り坂が続いたかと思えば、それと同じくらいの
長さの上り坂がある。
それを聞いたスタークが少し考えた後、
「ソニック、俺をさっき見たいに打ち上げろ」
「そんなことしてどうすんだよ?」
疑問に思いながらもソニックは、構える。
「確かめたいことがある」
そういってスタークはソニックの大剣の上に乗る。
そして、一気にスタークが空に飛んでいった。
スタークが小さくなる。それでも辺りをしきりに見渡しているのがわかった。
しばらくすると、スタークが戻ってきた。
戻ってきたスタークは顔をしかめて
「やっぱりな」
とつぶやいた。
「なにがだ?」
そう聞くソニックは何故かとても鼓動が大きくなっていた。
まるで、きいてはいけないといわんばかりに・・・
少しするとスタークが口を開いた。
「俺たちが探しているクレータはここだ」
「え!?」
ミルナが信じられないという顔でいう。
だが、ソニックはそれを聞くと鼓動が落ち着いていった。
おそらく自分の心の隅でそうなんだと気づいていたんだろう。
「飛んで確認したが、だいたい150メートルくらいの大きさだ。
あたりにもそれぐらいの大きさの地面のへこみがある」
スタークが舌打ちする。
「クレータの深さは10メートルから15メートルくらいか。
とんでもねえな」
「こんな化け物を倒そうってんだから、笑えるな。それと・・・」
スタークがかるく苦笑いした後、いった。
「なに、スターク?」
暗い顔をしたミルナがいった。
「ずっと向こうに妙な場所を見つけたんだ。多分、穴なんだが
やけに暗くてまるで・・・」
「空間が口を開けて大地を飲み込んでいるかのよう」
スタークの言葉に続くようにソニックがぽつりといった。
スタークは目を大きくして尋ねた
「なぜわかった?」
ソニックは自分でもよく分からないといった顔で。
「あ、いや。なんとなく・・・」
「・・・とにかくその場所に行ってみよう」
ミルナが優しく言った。
「ここか・・・」
ソニックが驚愕する。いやソニックだけじゃない。ミルナもスタークも
目の前のものに目が離せない。
そこはさっきソニックがいった言葉に相応しい穴があった。
その穴の中には、まったく日差しが入っていなかった。
本当にすべてを飲み込んでいるかのような穴。不思議とその穴に
吸い込まれるような感覚もしてくる。
「もしかしてここに・・・」
この穴を見てから最初に喋ったのはミルナだった。
「ガルドロスがいたのかも」
「そうかもな・・・」
ソニックがそういったっきり、また3人は黙り込んでしまった。
それほどこの穴は衝撃的なものだった。
「ソニック?」
しばらくした後、ソニックが急に穴に向かって歩き出した。
「どうしたの。そっちはあぶな・・・」
ミルナが駆け寄ってソニックを見ると、ソニックの目は虚ろだった。
その目にミルナがハッと息を呑む。その後ミルナは何か言おうと口を開いたとき、
スタークが近づいてきてミルナの腕をとった。
「諦めろ。ああなったら元に戻るのを待つしかない」
スタークがいう。ミルナも頷き。
「うん。そうだよね。でも・・・」
と悲しそうに言った。実は2人はソニックがこの状況に陥るのをみたのは
初めてではない。その、初めてというのは
〜鳥竜との激闘時〜
「いったい何だってこんな数のモンスターが・・」
スタークは辺りにいるランボスやイーオスを、片っ端から倒しながら思った。
そして、太刀を持った状態でポーチから、飲むと一定時間体力が急激に倍増する
「狂走薬グレード」を飲んだ。
その時、辺りの血の臭いが一層強くなった。思わず鼻をおさえたくなるような臭いだ。
モンスターを片しながら辺りを探すと、やけにそこだけ豪快に血が噴出している所を見かけた。
そこに急ぐと、そこは鳥竜との激闘とは別の行為が行われていた。
それは鳥竜を使った、殺戮ショーだった。
一度首をはねたモンスターを、さらに一回二回と切り刻む、酷い光景が広がっていた。
それを行っていた人物はたった一人のヒトだった。
「ソニック」
スタークが呟く。スタークはソニックの事はほとんど知らなかったが、少なくとも
こんなことをやるような奴ではないとは分かっていた。
しかし、今現実にソニックが行っているのだ。
ソニックは縦横無尽に走り回りやたらと高速で剣を振り回す、いつ仲間に当たっても
おかしくはない状況だが、決して当たることはなかった。
それでも、ソニックによる殺戮ショーは激しくなるばかりだった。
ソニックが通った場所はモンスターと血で道ができていた。
ソニック自身もモンスターの返り血で真っ赤になっていた。
それでも、攻撃の手を休めることなく、そのまま最後をむかえた。
村は無事に守られた。モンスターの半数近くをソニックが倒していた。
帰り道、仲間のハンターに声をかけられたが、ソニックはまったく耳を貸さなかった。
その途中スタークは皆にソニックのやった事は内緒にしておいてほしい、といった。
皆は少し不思議がったが、承諾した。
村に帰った時、ミルナがすぐさまソニックの元に駆け寄った。
「ソニック!!」
ミルナが嬉しそうにいうと、ソニックは少し顔を上げ、ミルナの顔を見た。
その瞬間ミルナの顔から笑顔が消えた。
ミルナの目に映ったのは目が虚ろで血まみれなソニック。
ミルナは一瞬、目の前にいるソニックをソニックではないと感じてしまい、
つい口に出てしまった。
「あなた・・・だれ?」
そういった瞬間ソニックはそのまま気を失ってしまった。
この時に見た目が今のソニックの目と同じだったのだ。
ミルナは嫌な予感がしてたまらなかった。