二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル  39話更新 ( No.51 )
日時: 2010/02/15 19:02
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

23話
   意外〜前編〜





「・・・・!!ソニック!」

しばらく暗い穴の淵に立っていたソニックが突然、穴の中に
身を投げようとした。

ミルナが思わず叫ぶ。

—ガシッ—

あと少しで落ちるというところで、スタークがソニックの腕をとり助けられた。
ソニックは以前と同じように気絶をしていた。

「ちっ。世話のかかるやつだな」

そういい、スタークはソニックの腕を思いっきり引っ張り、ミルナにパスする。
ミルナがみたその顔はいつものようで、眠っているかのようだった。

「いつかまた、こんなことが起きるのかな?」

ミルナがソニックの顔を見ながらいった。

「俺が知るかよ。本人に聞けって言っても覚えてねえだろうしな。
とにかく、この場から離れようぜ」

その言葉にミルナがスタークの顔を見る。

「この場所が悪いってこと?」

スタークはすくめたようにして

「少なくとも少しは関係があるだろう。ここに来ていきなりのあの状態。
偶然とは俺は思えない。お前もそうだろ」

・・・・
・・・
・・




「ん?ここは」

それからソニックが目を覚ましたのは、丸一日経っていた。

「あ。ソニック。目が覚めたんだ。よかった」

「おれは・・・いって!」

ミルナが喜んだのもつかの間、ソニックが痛がる。原因は簡単。

「目が覚めたなら、とっとと自分の足で立て」

ソニックをおんぶしていたスタークが地面に落としてしりもちをついたからである。

「ちょっとスターク。もうちょっと優しくおろしなよ」

スタークは頭をかじってミルナの無視して、ソニックの目を見た。

「ソニック。お前はあの穴の所にきた後どうなったか知らないのか?」

ソニックはスタークが何を聞きたいのか分からなかった

「あ、ああ。なんか急に意識が朦朧としてよく・・・」

「知りたいか?」

ソニックがすべてを言い終わる前にいった。

「スターク!!」

ミルナがスタークが言おうとしていることに気づき止めようとする。
だが、スタークはミルナを睨み付けて言葉を制した。

「いつまでも黙ってられるもんじゃねえだろ。だったら俺たちの口で言った方が
こいつもそんなに傷つかないだろ」

ミルナにそういうと、またソニックに向き直る。
その時ソニックのほうが先に口を開いた。

「自分のことは知っておきたいしな。話してくれ」

それからスタークはすべてを話した。ミルナは心配で堪らなかった。
もしその事を知ってしまえば、それからずっとソニックがソニックでは
なくなってしまうのではないのかと思ったからだ。

しかし話を聞いたソニックの第一声は意外なものだった。

「へ〜。俺がそんな事をしたのか」

その言葉にこもっていたのは、自分にたいする負の感情でも
モンスターにたいする同情でもなかった。
あったのは、自分の新たな一面にたいする感心だった。

「それ・・だけか?」

スタークのソニックの意外な反応に目を丸くしていう。

「あ、ああ。それだけだ」

「軽いね。もう少しなんかあるかと・・・」

ミルナはソニックの態度に先ほどまでの心配が呆れと安心に変わり、
ソニックに微笑していう。

「そういわれてもな。俺にはその時の記憶はないんだし・・・」

そこでソニックが言葉を止める。何かを思い出したかのような顔だ。

「どうしたの?」

ミルナが聞く。

「いや、別に。それよりも2人とも」

ソニックの言葉に耳を傾けるスタークとミルナ。

「もしまた俺がその状態になってモンスターだろうが誰でも生物を
殺すような事になったら、俺を本気で止めてくれないか?」

ソニックの言葉にスタークは。

「そのつもりだ。あの状態のお前はめんどくせえからな。
なった瞬間に頭ぶん殴って起こしてやるよ」

その言葉にソニックは苦笑して

「ほどほどにな。本気で殴られたらそのまま記憶が戻ってきなさそうだから」

「私もほどほどに殴るね。記憶少し失うかもだけど」

「ミルナまで・・・はあ、もうそれでもいいや。とにかく任せたぜ」

Re: モンスターハンター・バロル  39話更新 ( No.52 )
日時: 2010/02/15 19:02
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

23話
   意外〜後編〜





「そんで俺たちどこに向かってんだ?」

それからしばらく歩いていた時、ソニックが言った。

「次の町に行くの。そこであの場所で見たものを報告。
一応それが今の私たちの任務だし」

ミルナが答える。

「あの、暗い穴の事もか?」

ソニックがさらに尋ねる。
ミルナは頷いて

「うん。あれが今回の一番重要なことだと思うし」

「そうか」



〜町中〜

ミルナが言っていた町はその日のうちに着いた。
町は今までのどの町よりも賑わっていた。
どうやら、貿易が盛んな町らしい。それだけに、情報も集まりやすい。

ソニックたちがしばらく歩いていると
目の前にいた女の子が歩いている二人組みのハンターにぶつかってしまった。

「あ・・ごめんなさい」

女の子が即座に謝る。しかし、男はその女の子の肩を掴んだ。

「おいおい。人にぶつかっといてごめんだけじゃねえだろ」

男は笑いながら言った。するともう一人の男が出てきて

「そうだよね。人に迷惑かけたんだから、それ相応のことを僕たちにして貰わないと」

「あ・・あの、ええっと。わ・・わたし」

「あ〜。何か言ったか?」

「ひっ!・・・」

男が顔を詰め寄ると、女の子は言葉を止めて、下を向いてしまった。

「へ。よく見るとかわいい顔してるな。それじゃあ、まずはじめに・・・ゴフ!」

男が何かを言おうとした時、思いっきり吹っ飛んで壁に激突した。
吹き飛ばしたのはスタークだった。

スタークは拳を強くにぎり、歯を食いしばっていた。
どうやら、相当気が立っているようだ。

「き・・君!何をするんだい!?」

吹き飛ばされた男を見た後、もう一人の男がスタークに向かっていった。

「ああ」

スタークが相手をにらみつけて言う。相当な迫力だ。おそらく今のスタークの気迫なら、
イャンクックも恐れて逃げるだろう。それほど今のスタークは殺気を放っている。

「う、お前。俺たちが誰だかわ、わかってるのか?
ギルドが認めた封印のハンター様だぞ」

そういって男は震える手でハンターカードを取り出した。
そこには確かに俺たちと同じように印が押されていた。

それを見て、スタークが動きを止める。
それをみた男がにやりとして、今度は強気な言葉で

「君たちのような、一端のハンターとはわけがちだうの・・・ぶへ!」

その男も先ほどの男のように吹き飛ばされて、撃沈した。

「あんな奴が俺たちと同じ任務についているなんてな」

スタークが少しがっかりしたように言った。

「あ・・あの」

女の子がスタークに話しかけた。女の子は少し言葉を止めたが、すぐに

「助けていただき、ありがと・・きゃ!」

女の子がお礼を言い終わる前にスタークが女の子を胸倉をつかんだ。そして

「なんで、奴らが調子に乗り始めたときにうじうじしやがった!!」

と、怒鳴りつけた。あたりの人たちが一気2人を見る。

「やば。止めねえと」

ソニックが止めに入ろうとしたとき、ミルナが手で制した。

「ミルナ」

ソニックたちがそうしている間にも、向こうは話しが進んだ。

「俺はなあいつらのように、ものに力を言わせて調子に乗る奴が大嫌いなんだ!
だけど、それ以上にてめーみてーに、そういう奴らを
前にして、何もいえずうじうじするような奴のほうがまっと嫌いだ」

女の子は少し目に涙をためている。傍から見れば完全にスタークが悪者だ。
すると、女の子が口を開いた。

「わ・・私もうじうじしたくして、しているわけじゃありません。
本当は言いたいのに怖くて言葉が出てこないんです」

そこまで女の子は大きく息を吸って。

「私だってあなたみたいに、堂々とあの人たちに言いたかったです!!」

と、スタークにも負けない大きさで言った。
その後二人はしばらく睨み合った。