二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル  42話更新 ( No.83 )
日時: 2010/05/09 11:02
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

43話
   最終章突入




「くそっ、逃がしたか」

地面に降り立ったソニックは謎の物体を見届けながら言った。
すると、後ろから物凄い衝撃が走って倒れる。

「つ〜〜。何だ?」

「何だ?じゃねえだろこのタコ。いつまでも腹ん中でブラブラしやがって。
お前が出てくる前に片付いちまったぞ」

ソニックは後ろの大きな残骸に目を向ける。それはもう息絶えていたのだが、
ソニックはそれから声が聞こえた。

—助けてくれて、ありがとう—

その言葉に僅かに微笑む。するとまた後ろから蹴りを入れられる。

「何にやついてんだよ。それよりも早くサラ達にも会ってこい。お前の事心配してたみてえだからな」

ソニックは言われるまでもないといった感じで走っていく。だが、走る必要はなかった。
ミルナたちも下に降りてきてもうすでに自分たちの近くに来ていたのだから。
ミルナがソニックを見る。

「・・・・よう」

なんて言っていいか分からず、適当に言葉を言う。
ミルナは無言でソニックの刀2本を明け渡す。

「はい、わざわざ壁に刺さっていたの抜いて持ってきたんだよ」

「ん、サンキュー」

ソニックは受け取ろおうとして手を出したが右手が動かない。

「どうかしたの・・って言うか全身ボロボロだけど大丈夫?」

ミルナがソニックの体をじっくりと見た後言った。ソニックは冷静な表情で

「まぁ、対巨龍爆弾を0距離で受けたからな。右手一本で済んだのは逆に幸運かもな」

「やっぱり生きてたか、化け物だなお前も」

ショウリュウが寄ってきて言った。ソニックは鼻を鳴らすと

「そいつはどうも。こいつを簡単に倒しちまうあんたに言われたんじゃ、俺も大したもんだな」

皮肉めいて言った。ショウリュウは心外だといった顔で

「俺だけの力じゃねえさ。皆の力が・・・」

ショウリュウは言葉を切ると不意に上を見上げる。ソニックも上を向くとそこにはまだあいつがいた。
空中を漂ってまるで着いて来いとでも言っているようだった。

「何ぼうっとしてやがる。いくぞ」

スタークが叫ぶ。続いてサラとミルナも頷く。その勢いに乗りたいソニックだが

「ええっと。俺右手動かないんだが・・・」

「そんなの関係ねえ。いくぞ」

スタークに無理やり連れて行かれてしまう。

「スターク。持っていけ!」

そう叫んだのはシルバだった。そうして投げてきたのは赤く光る僅かに熱を発している鉱石。

「お守り代りだ」

「この前のナイフといい、そんなたくさんお守りはいらねえよ」

そう言いながらもスタークはそれをポーチに入れた。向かうは空に浮かぶ黒き物体のもとへ。



「それで、右手の調子はどうなんだ?ソニック」

向かう道中スタークが尋ねる。ソニックは少々怒りっ面で

「人を無理に連れてきたくせに今更心配かよ。・・・使えないが邪魔にもならないって感じだな」

右手は先ほどミルナに治療してもらったが、あくまで応急処置。とてもじゃないが1日や2日で治る怪我じゃなかった。
しばらく走ると辺りの森の景色が一変した。草木が枯れ落ちて、地面も死んでいる。

「さっきの黒い物体のせいか?」

「おそらくな。近くにいる。気をつけろよ」

さらに進むと完全に別世界だった。まだ日は高いのにそこには日が入らず、
僅かに闇が辺りを照らしているといった感じだ。

そんな中にそいつはいた。繭がビクンビクンと激しく波打っていて今にも何かが生まれてきそうだった。
いや、生まれてきた。繭を突き破り翼が生えた。そしてさらに腕、脚とどんどん見えてくる。

「うっ、気分が・・・」

ミルナが言う。その顔は青白く頼りない。ミルナだけじゃない、サラもスタークも気分が悪そうだ。
ソニックもそうだが、いうほどじゃない。何かに守ってもらっている感じだ。

—キュワアアアア!!—

甲高い声が辺りに響く。まるで赤ちゃんの泣き声だ。耳を抑えてもあまり効果をなさない。
先ほどまで繭があった場所はすでに一つの生物が立っていた。

暗闇が明るく見えるほどの漆黒に包まれた外観。そこから紅く光る眼は見る者を魅了するほどの
輝きを放っている。龍の原型ともいえるその姿はもしかしたら神と崇められるかもしれない。
だがそんな幻想を一瞬で打ち砕くのはそいつから発せられるどす黒いオーラ。

全てを終りに導くであろうその存在はまっすぐと目の前にいる自分よりも小さく弱い人間を捕えている