二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンスターハンター・バロル  43話更新 ( No.87 )
日時: 2010/05/16 20:08
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

44話
   絶対的チカラ




黒き龍は一点を見つめると口を開く。すると口から黒いブレスの玉を吐き出した。
ソニックはそれに嫌というほどの悪寒する。

「みんな、逃げろーー!!」

皆が散り散りに分散する。黒いブレスから十分距離を置く。
ソニックは少し安堵した。だが、すぐに顔色が変わることになった。

黒いブレスが地面に触れた瞬間、一気に大爆風が巻きあがる。
4人はそれになす術なく巻き込まれる。

砂煙が晴れたころには地面に50メートルほどのクレータが出来ていた。
そんな中立ち上がるソニック。

「ごほっ!ごほ!おい、サラ、ミルナ、スターク。
・・・生きてるか?」

ソニックの問いかけに3人がよろよろと立ちあがる。

「だ・・大丈夫」

「なんとか・・・」

「おいおい、冗談だろ。俺らがたった一発の攻撃でグロッキーかよ」

すでに限界が近い4人。だが、黒き龍はお構いなしにまた黒いブレス吐いてくる。
それが地面に落ちると、また同じようなクレータが出来た。

だがその中から龍に向かって走り寄る二人。ソニックとスタークだ。
振りかかるブレスをかわしながら二人は龍の足もとまで近づけた。

「溜め切り・・魔紅閃!!」
「気刃乱舞・・四鬼神(しきがみ)」

ソニックは渾身の一撃を、スタークは練り上げたゲージを全て一撃で爆発させて切り込む。だが・・・

—パキン!—

2人の刃が全て折られてしまった。しかもいとも簡単に。呆気にとられている二人に、
龍がブレスを吐く。今度は避けられなかった。

二人はミルナ達の近くまで吹っ飛び倒れる。二人が駆け寄っても反応はまったくない。
龍はもう飽きてしまったのか、口を開けると先ほどまでとは比べられない大きさの
黒いブレスを吐こうと、力を溜めこむ。

そして、特大の黒く禍々しいブレスを放った。
ミルナは固く目を瞑る。死を覚悟した。だが、その時辺りに不思議な音色が流れる。
どこかで聞いたことのあるような曲。

「諧謔曲(スケルツォ)」

すると突然、目の前のブレスは風船がしぼんでいくように小さくなっていき、消えた。

「おやおや、これは少し駆けつけるのが遅かったようですね」

「・・・クルトさん?」

サラが驚いた表情で言う。クルトはサラに微笑みかけると

「もう大丈夫ですよ。・・・とりあえず話は後ですね。
まずはここから逃げましょう」

龍は突然きた乱入者にブレスを吐きかける。クルトはまた笛を吹く。先ほどの曲とは違い
少し荒々しい曲だ。それと同時にクルトの目も怪しく変わる。

「狂想曲(カプリチオ)」

ブレスの玉の勢いがどんどん失っていき、逆に龍に向かっていく。
龍はそれに対抗して、またブレスを吐こうとする。
するとクルトはさらに笛を吹く。

「喜遊曲(ディベルティメント)・・閉口」

龍の口が突然何かに操られたように閉じる。自分の出したブレスが直撃する。
クルトはまだ、吹き続けている。

「すみませんが、あなた相手では手加減する気がありませんので。

五重奏・・・小夜曲(セレナーデ)、聖譚曲(オラトリオ)、神曲(ゴットブレス)、
追復曲(カノン)、遁走曲(フーガ)」

一体どんな仕組みなのか、あの龍が突然立つのが辛いかのように地面に倒れこんでしまった。
あの龍を・・・

「さあ、今のうちに逃げますよ。あれほどかけても奴には少しの間しか効かないと思いますので」

クルトは間違っていなかった。龍は直ぐに立ち上がるとこちらに特大のブレスを吐いてくる。
だが、ほんの数秒でも十分だった。クルトは地面に不思議な球体を落とす。
すると五人の姿は跡形もなく消え、龍は悔しそうに吠え続けた。



〜???〜

五人が行きついたのは不思議な村の門前だった。

「あの・・これは一体?」

状況が把握できていないミルナにクルトは笑顔で

「指定式戻り玉を使ったのですよ。これはたとえ自分がどこにいようとも、指定した村に帰れる
という非常に便利な道具ですよ」

「ん?・・おお、長!!戻られたのですね」

そう言って近寄ってきたのは竜人族の男だった。

「ええ、長が!?」
「おお、本当だ」
「やっと戻られたのですね」

村人がどんどん集まってくるが、皆竜人族。

「皆、まだ私の事を長などと言って・・・と、そんなことより皆、話は後で。
四人の治療を」

「はい、今すぐに」

「あ・・あのクルトさん!ここってもしかして・・・」

「はい、ここは私の故郷、竜人族の里です」



「それじゃあクルトさんが旅に出てた理由って・・・」

「は・・はい。皆さんにはお見苦しいところをお見せしました」

サラとミルナは治療を終えクルトの話を聞いている。
二人の怪我も軽くはなかったがさすが竜人族の技術、まだ人に知られていない治療法で
二人は直ぐに傷は完治した。

だが、ソニックとスタークの怪我はそう簡単ではなかった。まだ数日はかかるらしい。

「私は長と選ばれた日に旅をしました。普通の人間の私が竜人族の長など勤まるはずがないと
言っても、誰一人私に賛同する者がいませんでしたので」

「わしらに種族など関係あるものか。わしらが全員一致でお主を長と認めたのだ。
変えるはずなかろう」

「長老・・・」

長老はそこで、クルトとの話を区切ってミルナ達に視線を移す。

「さて、お主たちが戦った龍じゃが、確かにそれはお主たちが言う大懐龍・ガルドロスじゃな」

「やっぱし・・」

ミルナの顔が暗くなる。自分たちはあれを倒さなければならない。それが自分たちの使命。
だが、一度会ってみてはっきりと分かった。あれは普通に龍と呼ぶにはあまりに違う。
自分たちの武器や防具じゃあ、まったく歯が立たない。

「さて、まだ話足りないがまずはお開きじゃな。後の話は重傷者二人が目覚めてからにするかの。
お主たちもそれまでここでゆっくりとしていきなさい」